Hobo Nikkan Itoi Shinbun
ウォルト・ディズニー・スタジオ・ジャパン ゼネラルマネージャー塚越隆行さん✕糸井重里 対談
第7回 クラブ活動的なメンバー。
塚越 いままでぼくらは、どちらかというと
ルーチンだったかもしれないし、
与えられたことしか
やってこなかったかもしれない。
けれども、あたらしいことと出会ったときに、
自分たちがつくれることがある、ということを
すごく感じています。
糸井 「きみとなら、こんなことができそうだ」
ってことをね。
塚越 はい。
つながっていくということと、
あたらしいものを付加していくということ‥‥。

糸井 そういう意味では、ディズニーランドのもつ世界とも、
できればもっと連携していけるといいですね。
お互いが徹底的に歩み寄ったり
逸脱したりしながら遊んでいく。
むずかしいことだけど、
両者でやれることは山ほどあると思います。
塚越 うん、ありますね。
ディズニーランドのもっているエンターテイメント性、
なにより「楽しい」ということは
ビジネスがふくらむという意味において
ものすごいことですから。
糸井 ともかく、何かをあらたにつくることよりも、
メディアミックスすることを
まず先に考えたほうがいいとぼくは思ってます。

塚越 うん、うん。
糸井 しかも1回限りじゃなくてね。
塚越 そうですね。ツリーハウスも同じです。
MovieNEXという商品の形もそうです。
インフラやメカニズムのような部分について
ぼくらはやっといま、半歩踏み出しましたが、
これからさまざまなことを実行していくうえで
もっと力になってくると思います。
糸井 いってみれば、昔からあるものしか
いまの世の中にはないんです。
あたらしいものとなんか、まず
会えないと思ったほうがいい。

しかし、たとえ古いもの同士であっても
出会ったら違うものになります。
例えば、ラジオというメディアとぼくは
両方、昔からあったんだけど、
ぼくとラジオが会って
「何かできるかも」と思いついたときには、
あたらしいものが生まれます。
塚越 そうですね。
こういうときだからこそ、
ぼくらのいままでの業界じゃなくて、
別の場所にいる人たちの刺激を
受けたほうがいいと思っています。
糸井 うちはツリーハウスでスタートして、
塚越さんはメディアのあたらしい形を考えて。
塚越 それがつながりました。

糸井 そういう刺激はいいですよね。
どっちも共通しているのは、
コンテンツの魅力を大切にすることです。

おもしろいものじゃなかったらダメなんですよ。
コンテンツがよくないものは、
どんなにマーケティングしても、苦労しても、
ソリューションはありません。

昔の人はそういうことでも喜びました。
「こんなクソッタレなものを、俺は売ってみせる」
「俺が仕掛けたから売れたんだよ」
広告をやってる人の中には
そういう人がいっぱいいたと思う。

でも、いまやってることは、逆に
「広告が簡単になる商品をつくっていく」
ということです。
塚越 なるほどね。
糸井 うん。こういうことをここで、
あんがい、告白のように。
塚越 うん(笑)。かなり吐きましたね。
でも、そうすれば確実に
いい広告をつくることができます。
企業のたたずまいも、自分たちが思うように
変化させていくことができる。
そういう観点でやらないと、
ぼくらもパートナーのみなさんから協力を得られないし、
いい循環になりません。
糸井 そうですね。

塚越 結局、コンテンツの中身の問題です。
今度はそこをつくっていけるように
なっていかなきゃいけないし、
そのプロセスをどう組み立てていくのかが、
ぼくらのチャレンジだと思います。
糸井 以前からある、慣れ親しんだものであっても、
やり方がうまくいかないせいで
行き詰まっていることはたくさんあると思います。

たとえば「◯◯組合」「☓☓協会」なんかも
そうかもしれない。
以前からの慣習と考え方を持ってることで
いいこともあるだろうけど、
すごく不自由になってしまう面もあります。
なぜなら、単純に「そこにある市場」で
やっていかなきゃいけなくなるからね。
塚越 それはそうですね。
だから、メディアを変えて、
相手を組みかえる必要がある。

今回、MovieNEX CLUBで、
いろんなコンテンツを配信しているのですが、
みなさんのいちばん興味があったのは、
ピクサーの堤大介さんの
イラストのダウンロードなんです。
あれは、とても人気でした。
糸井 ああ、そうだったんだ。
塚越 こんなこと、いままでのパッケージビジネスでは
できなかったことです。
これからは「こんな発想をしてもいいんだ」と
わかりましたし、
次はこの人気をどうやってニュースにして
伝えよう、という気になります。

そして、ぼくらの体制が
こんなふうに変わったわけだから、
ビジネスパートナーである、
たとえばCD屋さんにも
「じゃあ、こう変えていきましょう」
という提案をしていかなきゃいけない。
糸井 そのとおりですね。
塚越 「じゃあ、どういうことができるんだろう?」
これはうちの営業が、
いまたいへんに悩んでるとこだったりします。

(つづきます。次回は最終回!)
2014-02-28-FRI
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