バブー&とのまりこの パリこれ! 住んでみてわかった、パリのあれこれ。


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「甘いものと
塩っぽいものを
きっちり分ける?!」

 
     
バブー&とのまりこの パリこれ! 住んでみてわかった、パリのあれこれ。
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「甘いものと塩っぽいものをきっちり分ける?!」

バブー

先週ね、フランスでは遠足の時とかの
お弁当のお供に、みんなポテトチップスを
持ってくるって話したじゃない?!
「ポテトチップスはじゃがいもだよね?!
だからお弁当のお供にちょうどいいじゃない♪」って考え方。

これ、つまり、
ポテトチップスはあくまでも
「お弁当の時の添え物」という考えなので、
逆にお弁当じゃないおやつの時間に食べていると
変な顔をされるっていうことがあるんだよ!


▲先週のコラムで登場した、フランスのお弁当のお供「チップス」。
幼稚園の遠足でも8割以上の子どもたちが1袋持ってきている。

とのまりこ
息子のクラスメイトの男の子、
お弁当の時に食べ損ねたチップスを
(彼の荷物を担当していた私がお弁当の時に出し忘れた‥‥汗)
おやつの時間に食べていたら
先生からめちゃめちゃ突っ込まれてました。

「またチップス?!
お弁当の時間じゃないのよ。
なんでおやつの時間に
チップス食べてるのよ?」
って‥‥。
『おやつ=甘いものを食べる時間』
なのに、
『おやつに塩っぽいものを食べるなんて変よ』
という構造です。

日本人の私たちは、もうなんの疑問もなく、
甘いものと塩っぽいものを交互に♪
クッキー食べて、お煎餅食べて‥‥、
って世界で過ごしてきていますが、
『おやつの時間=甘いものを食べる時間』
であるフランスでおやつに塩っぽいものは
なんだか奇妙に感じるらしいのです。

バブー
例えばね、
フランスでは学校が終わる時間に
お迎えの人がおやつを持参して、
学校帰りにおやつを食べる習慣があるのだけど、
その時も甘いものばかりだよ。

チョコのオンパレードに、クッキーに、
甘いパンに、フルーツのコンポートとか。


▲学校を飛び出したとたん、お迎えの親やベビーシッターさんにおやつをねだるのが
フランスのお決まりの下校風景♪
下校時間が16時半になるのでみんなお腹ペコペコなのです。

とのまりこ
一方、我が家は、やっぱり日本風で、
ついつい甘辛ミックスで選びたくなるので。
「しょうゆ煎餅」「揚げ煎餅」
「アンパンマン煎餅」etc...
パリのアジアスーパーで手に入るような
塩系のおやつも持参しているのですが、
お友達におすそ分けするたびに、
「これ、ジャポンのスナックだからね。
塩っぽい味のチップスみたいなやつだからね。」
と、「甘くない」という解説を入れて渡しています。

見たこともない異国のおやつ、
子どもたちがどんどん群がってきて、
みんな欲しがるのですが、
「おやつ=甘い」が
脳内に刷り込まれた上で食べるので、
塩っぽいものだということを宣言してあげないと、
口の中に入れた途端、
「?!?!」と、変な顔になるのです(笑)。


▲フランスの子どもたちにも日本のおせんべいとかは大人気。
ただし「甘くないよ。塩っぽいものだよ」と言って渡してあげないと
「あれっ?!」となることも。

バブー
ちゃんと前もって「甘くない」を言ってあげれば
みんな美味しそうに食べるよ。
「もう一個ちょうだい!!」
ってせがまれることもしばしば。
やっぱり塩系だっておやつになるよね♪
みんな美味しいものは美味しいよね♪
というわけで、ボクたちは
クラスの子どもたちに塩系のおやつを配り、
地味〜に「甘辛ミックスおやつ推進運動」をしています♪


▲学校の校門の外で、学校の近くの公園で。
みんなで遊びながらおやつタイムをするのがフランスの子どもたちの下校風景の定番。

ちなみに、この甘いものと塩系のものを
きっちり分ける様子、朝ごはんでも感じるよ。

フランスの定番の朝ごはんといえば
ジャムたっぷりのパン。
パンオショコラ、
ショソンオポム(りんごパン)、
ショコラショー(ココアのようなチョコドリンク)、
コーンフレークなどがお馴染みでさ、
基本「甘い」なんだなということは
前から気づいていたけれど‥‥。

とのまりこ
これをはっきり確信したのが学校の行事のひとつ。
フランスの幼稚園や小学校では
クラスの親たちの親睦を深めるために
年に1回「朝食会」と呼ばれるものを
開催することが多いのです。
朝ごはんを分担して持ち寄り、
見送りの際そのまま親も学校に残り
サクッと朝ごはんを食べながら親交を深めます。

この時に皆が持ってくるのが
クロワッサン、パンオショコラ、
パンオレザンなど『ヴィエノワズリー』と
呼ばれるバターやクリームや砂糖を使ったパン。


▲こういう「ヴィエノワズリー」と呼ばれるバターたっぷりの甘いパンが
フランス人にとっての「朝ごはん」に登場するパン。

「甘いものばっかりだから、
じゃあ私は塩系のパウンドケーキとか
サンドイッチとか持って行こうかな。」
なんて発言すると、
「まりこ、それは違う。」
「朝だから甘いものがいいのよ。」
と、フランス人ママたちからプチ説教されます(笑)。

みんなそうは言うけれど、
本当に甘いものばっかりがいいのかなと思って、
今年はこっそり「ソーセージパン」を
置いてみたのですが、見事敗北!
本当にフランス人たち甘いものしか食べません。
あえてアピールすると
みんな食べてくれるけど、
自ら塩っぽいものに手はつけない。
「フランスの朝ごはん」=「甘い」なのだ!
ということを確信したのでした。


▲今年も校庭にテーブルを運んでみんなが持ち寄った朝ごはんや飲み物で盛り上がった
クラスの「朝食会」。
私の「ソーセージパン」作戦は見事失敗したけれど‥‥笑。

バブー
この「ソーセージパン」とかさ、
ワイン片手のアペリティフタイムに開催される
「ご近所祭り」(詳しくは過去の記事を参照してね)
なんかに持っていくと、秒殺でなくなるんだよ。
やっぱりフランスでは
「塩っぽいもの」の時間と「甘いもの」の時間が
ボクたちよりもきっちり別れているのかもしれないね。

そんなことを書きながら、
今日も朝から塩っぽいものも欲しいなあと
クロワッサンにハムとチーズを挟んでいる
ボクの飼い主まりこちゃんです。

 

 

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パリの小さなアパルトマンで楽しむおうち時間」
出版社 : 世界文化社
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※この連載を再編集し、
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2022-07-12-TUE

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illustration:Jérôme Cointre