バブー&とのまりこの パリこれ! 住んでみてわかった、パリのあれこれ。


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「デモ? 暴動?
いつものパリ?!」

 
     
バブー&とのまりこの パリこれ! 住んでみてわかった、パリのあれこれ。
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「デモ? 暴動?
いつものパリ?!」

バブー

2019年幕明けの「パリこれ!」
更新日は1月1日、元旦となりました。
みなさん明けましておめでとうございます!

日本では、お正月特番などTVを見ながら
おせち料理をつまんだりして
ゆったりのんびり過ごしている方が
多い頃でしょうか?!

ボクたちはフランスで
ただただ食べて飲んでおしゃべりを楽しんで
酔っ払っているうちにカウントダウンが終わり
いつの間にか年が明けていた〜。
っていうフランス流の
お正月を迎えているよ。
(この原稿を書いているのは年内だけど、
間違いなく今年もいつもの迎え方のはず!)

とのまりこ

1月半ばまでダラダラと
クリスマスモードが続くフランス。
年末年始も世界中から人が集まっていますが、
最近「パリ」と聞いたら
日本でもニュースで連日流れていた
『黄色いベスト』デモ運動を思い起こす方も
多いのではないでしょうか??


▲いつもと変わらず観光客だらけの凱旋門とシャンゼリゼ大通り。
今はクリスマスイルミネーションの時期で夜までさらにすごい賑わい。

私も12月のクリスマス前までを
日本で過ごし、フランス雑貨のお店
『ぼわっと』のイベントで
百貨店の売り場に毎日立ったりしていましたが、

「うわ〜。なんかパリのやってる〜。
かわいい〜♪」
「パリって言えば
今それどころじゃないんじゃないの?
大変なことになってるらしいじゃん?」

と言うような会話が
1日に何回も何回も耳に入ってきました。
売り場でお話しするお客様からも
「パリどうなんですか? 今。
めちゃめちゃ危ないんでしょ??」
と言う質問を1日何回も何回も受けました。

バブー
警察と暴徒が対立し、
カフェや車や色々なものが燃やされ、
催涙弾が投げ込まれ、
白い煙と炎でいっぱいになっていた
シャンゼリゼ大通りのあの映像。

まるで戦争のようになっている映像が
連日報道されているのを見て
パリ中が危険な状態になっていると
思っている人が多かったみたいだよ。


▲凱旋門に一番近い横断歩道に警察の車が停まっていたり、
警官が歩いて見回りはしていますが、
警戒というよりはおしゃべりを楽しみながら‥‥。
これはテロなどの警戒も含め、わりといつも通りの姿。

とのまりこ
11月17日に始まった『黄色いベスト』デモ。
そもそもは2019年から燃料税を引き上げると
発表されたのがきっかけです。

あの黄色いベストは、
車の中においておくことが
義務付けられているもので、
(事故などがあった時には、安全のため、
黄色いベストを着て車の外に出ます。)
どの車にも必ず積んであるものなのです。

燃料税の引き上げに反対する人たちが
(とりわけ車しか移動手段がないような
地方在住の人には大きな影響があります。)
高速道路やロータリーを封鎖したり
料金所を占拠したりして
デモが始まりました。

デモ自体は、フランスでは
本当にしょっちゅう、ごく日常的にあるもの。
バスや鉄道関係、LGBT、学校の教職員、
パイロット、大学生、医者‥‥etc.
ありとあらゆることですぐデモをします。
大人も子供も普通に参加します。

だから「黄色いベスト」デモも
はじまりはその中のひとつに
過ぎなかったのです。
しかし残念なことに、一部が暴徒化して、
さらに極右グループや極左グループ
それ以外にも色々な人がそこに便乗して、
あんな戦争状態のようなことを
してしまっているから
世界的なニュースになってしまったのです。

バブー
だから『黄色いベスト』デモ自体が
恐ろしい暴動というわけではなく、
フランスでは日常的に年中行われている
市民のデモの一部が
暴徒化してしまっている人たちのせいで
ものすごく怖いことが起こっている、
というイメージになっちゃっているんだよね。


▲銀行など一部の店は板張りで今後のデモに備えて防御、
もしくはウィンドーをすでにめちゃくちゃにされたため修繕前の応急処置。


▲銀行は閉まっているように見えますが実は開いていて、
「営業中」の張り紙がしてあったりします。


▲大手のスーパー「モノプリ」。全面的に防御しつつ、壊されたところを修繕中。


▲「モノプリ」も入り口部分のみ、このように開けています。

とのまりこ
パリの街自体は何事もないように
全くもって普通です。

デモは今のところ、
毎週土曜日に行われているので
あの便乗暴動が起こるのも毎週土曜日。
シャンゼリゼ大通りも
土曜日以外はいたって普通で
大にぎわいです。


▲ウィンドーが割られたところはとりあえずガムテープで補強。

正直、あのニュースで流れていた映像と
同じ場所?!?!
と見回してしまうくらい。
あまり爪跡も残っていません。
(観光的イメージを損なわないように
かなり早く片付けをするようです)

でも、世界中から観光客が訪れる
シャンゼリゼ大通りをはじめ、
オペラ座近辺やモンマルトルの丘など
観光客に大打撃を与えるような場所で
毎週暴動が起きているのは、確か。

毎週たくさんの高級ブランドやお店の
ウィンドーなどが破壊され、
中にある商品などまで盗まれるという
被害が続出しているので、
一部の店や銀行は建物の外側を
板張りにして防御。


▲ついこの間のデモの暴徒化でめちゃくちゃにされたという「ディオール」。
ウィンドーを割られるだけでなく中の商品も全て盗まれるという被害があるお店も
毎週あちこちに。それでも何事もなかったかのように営業中。

出入り口になる小さなドアの部分のみ
板がない状態なので
一見営業しているのか閉まっているのか
わからない状態です。

シャンゼリゼのとあるブランドに
勤める友人の店は、
金曜日の夜になると、
店の外が全面板張りにされるそうです。


▲サッカーグッズで人気のパリ・サンジェルマンのお店も。
近づかないと営業していることがわからないほど。

バブー
毎週のように在仏日本大使館からは
デモに巻き込まれないよう、
不要不急の外出は控えるように、という
注意喚起のメールが送られてきてはいるよ。

ボクたちももちろん、
デモで人が集まるとされている場所には
絶対に近づかないようにしているしね。


▲色々なものが燃やされた時の被害が未だ残るビル。
このように暴動の跡が残る場所は少ないので一見いつも通りだが、
このような場所を見るとその凄まじさが少しわかります。

だからと言って
パリ全体が毎日危険な状態、
ってわけではないんだよ!

以前、テロが起こった時とちょっと似ているね。
ニュースでは怖いシーンばかりが流れるから、
あたかもパリ全体が
そういう状況にあるのかと思われてしまう。


▲地下パーキングで入り口のエレベーターも粉々に割られています。

とはいえ、いずれにせよ
危険なこともある状態であることは、確か。
観光でパリに来る予定の方は
しっかり情報収集して、
そして野次馬気分で見に行ったり、
というのはしないように注意してね。

それではみなさん、
2019年も素敵な年になりますように!
今年もどうぞよろしくお願いいたします♪

 

※この連載を再編集し、
 書き下ろしも入れて新潮文庫になりました。
 こちらをぜひご覧ください!

フランス雑貨のお店オープンしました。
バブーくんは日本滞在時に、お店にいます。

「Boîte」(ぼわっと)
東京都杉並区西荻北4丁目5−24
【地図】 【駅からの道順はこちら】

 

2019-01-01-TUE

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illustration:Jérôme Cointre