バブー&とのまりこの パリこれ! 住んでみてわかった、パリのあれこれ。


2 5 0

「フランスでは、
 こどもが産まれる前に
 名前を決める?」

 
     
バブー&とのまりこの パリこれ! 住んでみてわかった、パリのあれこれ。
2 5 0
「フランスでは、
 こどもが産まれる前に
 名前を決める?」

バブー

フランスで、子供が生まれた場合、
絶対に忘れちゃいけない
大切な急ぎの手続き。
それは赤ちゃんの名前の届け出。

なんと名前の届け出は
生まれた日から3日以内(土日をのぞく)。

3日以内に赤ちゃんが生まれた病院の
管轄区や市に届け出を出さいないと
戸籍を取得できなくなってしまうんだ。

とのまりこ

日本は生後14日までに出す出生届。
伝統的に「お七夜」という
命名式に名前をつける風習もということで、
あまり急ぎのイメージがなかったので
この部分はかなりドキドキ。

赤ちゃんの顔を見てから
どれにしようか決めよう。
という余裕はほとんどないので、
フランスではほとんどの人が
生まれる前から名前を決めています。
それもかなり前から。

性別は生まれるまで
知りたくないという人は、
男女両方の名前を考えておくそうです。
今回も、かなり早い段階から
検診に行くたびに
「名前は何にしたの??」
と聞かれ、
「う〜んまだ決めてないの。」
と答えることに。

フランス人たちって
そんなに早く決めてるのかあ‥‥。
ということを毎回実感しておりました。

そんなわけで出産前に
名前が決まっているのが通常パターンのため、
新生児が入るベッドのところにつけられる
カードや、手や足につけられるバンドにも
当たり前のように名前が記されます。


▲新生児用ベッドの頭のところに貼られる名前カードには、
 名前、体重、身長、生まれた日時など。
 両親の姓は記載されないので名前が決まってないと空欄に‥‥。

バブー
ボクたちの友達で、
出産後も名前が決まっていなかった
パターンが1回だけあったんだけどさ。


▲名前が決まってないと「Je m'appelle .....」(ボクの名前は.....)の部分が
 空欄になっちゃうんだよね。

その時は名前のところが、
「ボクの名前は___です。」
って空欄になっていて、

手や足にはめられるバンドには
「ボクの名前はgarçonです。」
(ギャルソン=男の子)って
書かれていたよ。


▲名前が決まってなかったので、
 「ギャルソン=男の子」と書かれたバンドをつけられていた友人の子供。

とのまりこ
さて、その3日以内の届け出。
名前が決まっていたとしても、
産んですぐは入院中なのだし、
3日以内に届け出なんて無理じゃないか!
と焦っていたら、
病院の中に区役所の出張所的な役割があり、
担当の人が各部屋をまわって
届け出代行をして
できあがった出生届を持ってきてくれました。

大きな病院は大抵このシステムがあるようで
(でも全ての病院ではないらしく、
その場合はやっぱりどうするんだ?!
旦那や家族が届けてくれるのか??
シングルマザーだったり家族が近くに
いない場合はどうなるんだ??
という疑問はいまだにあります‥‥)
結果的にとっても便利。

でも産んだ翌日の朝には
この区役所戸籍係のマダムが
手続きにやってきたということは、
3日以内に決めればいいとはいえ、
やっぱり生まれる前に
名前が決まってないと大慌てだなあ‥‥。
と感じたフランスのお名前事情なのでした。


▲本当はこの区役所に出生届を出さなくちゃいけないけれど、
 代理でやってもらえたよ。

バブー
ボクは、なんだかちょっとずつ
事情が飲み込めてきたと思う。

「なんでこの子は
いつもうちに遊びにくるちびっことは違って、
いつまでも帰らないんだろう‥‥。」
って思いながら。

ボクと違って、
ギャン泣きすると抱っこしてもらって
ごはんをもらえるらしい
不公平さを感じながら。

ワンともスンとも言わず、静かに見守っているよ。
ボクのおやつもちょっと多めにしてくれると
うれしいんだけどな‥‥。

 

※この連載を再編集し、
 書き下ろしも入れて新潮文庫になりました。
 こちらをぜひご覧ください!

フランス雑貨のお店オープンしました。
バブーくんは日本滞在時に、お店にいます。

「Boîte」(ぼわっと)
東京都杉並区西荻北4丁目5−24
【地図】 【駅からの道順はこちら】

 

2017-04-25-TUE


まえへ
トップへ
つぎへ
illustration:Jérôme Cointre