バブー&とのまりこの パリこれ! 住んでみてわかった、パリのあれこれ。


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「パリはすごいにおいで
 あふれている?!」

 
     
バブー&とのまりこの パリこれ! 住んでみてわかった、パリのあれこれ。
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「パリはすごいにおいで
 あふれている?!」

バブー

この「パリこれ!」が更新されるころ。
ボクたちはパリ着陸まぢかの
空の旅の真っ最中。

空港に降り立ってからのあの「パリのにおい」。
「お散歩天国音パリに帰ってきたな〜。」
って、今からワクワク楽しみにしているんだ。

とのまりこ

「パリのにおい」。
一言では表せないけれど、
いいにおいも鼻をつまんでしまうようなにおいも。
日本ではかぐことのない
独特な「におい」がたくさんあります。

今はインターネットを使えば
世界中の通りに飛んでいってみることができるし、
日々の生活の中で写真も映像もあふれていて
どこもかしこもが身近な存在になりますが、
「におい」だけは写真や映像から
「かぐ」ってことはできないですよね。

今回も日本一時帰国中、
何度もフランスやイタリアを紹介する番組
(母がヨーロッパ大好きなので
 全部録画してあって見せてくれる)
を見たのですが、
「いいにおい」も「鼻つまみなにおい」も
テレビから香るようになったら、
もっともっとリアルに現地が伝わるのになあ‥‥
なんて思いながら、ものすご〜く
魅力的に素敵に編集された
日本の番組を見ていました。

(日本の番組、とてもとてもよくできていて、
 ものすごくきれいに素敵に編集されているし、
 ナレーターやテレビに出てくる
 現地人の吹き替えなんかも
 味わいのある素敵な声やトーンが多いので
 実際よりも遥かにいい感じに見えることが多いです)

バブー
人間よりも1億倍も嗅覚がすぐれている
と言われているボクたち。
パリの街独特の素敵な「におい」を
感じているんだけど、
人間には言葉で表現するのが難しいよね〜。

一方、嗅覚がボクたちみたいに優れていなくても
毎日「におい」を感じる場面、
そして観光客の人達も絶対に体験するであろう場面。
いちばんは、パリのメトロかな?!

色々な人種の体臭。
ドブ川のような下水道のようなにおい。
ホームレス独特のにおい。
巻きタバコにマリファナのにおい‥‥etc。

う〜ん。
あんまり素敵じゃない「におい」が多いね‥‥。
パリのメトロには残念ながら
「いいにおい」の方はないかもなああ‥‥。

とのまりこ
文字で羅列してみると
なんだか恐ろしいけれど。
ホームも車内も。
これがパリのメトロの代表的な「におい」です。

世界中の人種が集まるパリ。
食生活も様々。
というわけで体臭も様々。
閉ざされたメトロの空間の中で
ちょっと気絶しそうになる「におい」に
遭遇することも珍しくありません。

フランス人だって、
シャワーを毎日浴びない人は多いので、
そして洋服は毎日同じものを着る人も多いので、
汗臭いすえたような「におい」も頻繁です。

地下を掘っているだけに下水道も近くなのか、
まるでドブ川の真横を歩いているかのような
かおり漂うホームも多いです。

ちなみに、14番線のマドレーヌ駅ホームの
「におい」は有名で、
「戦争で亡くなった人達が埋められている
 すぐ近くだからこんなにおいがするんだよ。」
という「都市伝説」
(だと私は思い込んでいますが
 本当だったら本当にどうしよう‥‥)を
一体何人の人から説明されたかわかりません。

メトロのホームにはかなりの確率で
ホームレスのひと達が住み込んでいるので、
なかなか強烈な「におい」に支配されていたり。

ホームの端っこの方や
連絡通路のあまり人通りが多くないところは
「立ちション」スポットと化していて
息を止めて足早に立ち去るしかなかったり。

外に出るまで我慢できない人達の吸う
巻きタバコやマリファナの「におい」が
充満していたり。
(駅のホームでのタバコは
 もちろん禁止されていますよ。
 でも守らない人もけっこう多い。
 ちなみにマリファナもフランスでは
 合法ではありませんが、
 実際けっこうみんな吸っています。
 この話はまた別の機会に‥‥)

バブー
日本だと、終電間際の
酔っ払いのお酒の「におい」は
かなり強烈だけど
日中の電車やホームで
「におい」を感じることってほとんどないよね。
「無臭、無臭〜。」

「におい」はないし、
ホームも車内もピッカピカできれいだし。
「快適、快適〜♪」
と感じます。
逆にラッシュ時の混雑とか
日本特有の問題はさておきね。

とのまりこ
と、パリの「におい」といえば思い出す
毎日お世話になる公共交通機関の
あまり素敵じゃない「におい」について
書いてしまいましたが、
もちろん素敵な「におい」だって
たくさんありますよ!

素敵な「におい」代表は
やっぱり食いしん坊としてはたまらない
グルメなおいしい「におい」。

焼きたてのバゲットのにおい。
お肉屋さんの店先で丸ごとチキンが焼けるにおい。
威勢のいいムッシューの声と魚屋さんのにおい。
「くささ」がたまらないチーズ屋さんのにおい。
‥‥‥etc。

肉屋、魚屋、八百屋、
パン屋、チーズ屋など
小さな個人商店が
パリのあちこちにあるおかげで。
そして毎日あちこちに立つ
マルシェ(市場)のおかげで。
パリの街では、
ありとあらゆる「食」の「におい」を
感じる機会がたくさん残されています。

バブー
いい「におい」も
鼻つまみものの「におい」も。
パリの魅力は「におい」なしには語れない!
テレビの中から「におい」も漂うようになったら
おもしろいのにね〜。

そんな未来もやってくるのかなあ‥‥。
あ、でもそんなテレビができちゃったら、
テレビの前のぼくたちイヌが
落ち着いて昼寝できなくなっちゃうね‥‥。
それも困ったもんだ。

 


※この連載を再編集し、
 書き下ろしも入れて新潮文庫になりました。
 こちらをぜひご覧ください!

 

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バブーくんは日本滞在時に、お店にいます。

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東京都杉並区西荻北4丁目5−24
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2016-11-22-TUE


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illustration:Jérôme Cointre