第18回 最大のニート
「ニートのヤツらは、はたらかないよなぁ」
だのなんだの、今、さんざん、言われていますよね。

バイトで雇っちゃったほうが
都合のいい商売がものすごくできちゃったものだから
そうなっているに決まっているのに
しかも、昔はむこうみずに、わからないまま
なにもできてない人たちがたくさんいたわけだし‥‥
就職先は、時代にあわせて
できたりできなかったりしているだけなんですよね。

「つとめないニートのヤツらはダメだ」
と責めている人は、なにを言ってるんだろうなぁ。
「タモリさんだって、ニートだぞ」と、言いたい。
オレ、いまだにニートです。
時間給がすごい高いニート。
(笑)
なんの保証もないですからねぇ‥‥。
フジテレビからは、なんだかんだいっても、
アルバイトあつかいですから。

契約書もない。
「はい、もうやめましょう」
と言われたらそれだけなんだから。

1時間の番組でいくらというのは、
もう、これは、ニートですよ‥‥。
最大のニートです。
(笑)
正社員になりたがらないヤツもいますよね。
日経ビジネスでは
「管理職になりたくない」って特集をしてますよね。
今、そういう人、多いですよねぇ。
「正社員になりたくない」と、
「管理職になりたくない」は
けっこう、おなじところに根っこがあって、
みんなが、なりたいにちがいない、
と、決めつけられていたことのほうが、
たぶん、ヘンなんですよね。

みんなが「向上したい」と思っているように
見える社会では、向上したくない人は、
「存在しないもの」にされているわけで‥‥。
向上心なんてなかったですからねぇ。
今もないし。
昔は、ふつうの中小企業がいっぱいあって
社長さんは、床屋にいったりしていたけど
それがなくなりつつあるというか。
中小企業が、ほんとにすくなくなりましたもんね。

今日も、マネージャーと、
「昔は、こんなバイクメーカーがあったんだぞ。
 ライラック、メグロ、陸王‥‥」
と、話しながらここに来たんです。
メグロは、白バイまでやってましたよねぇ。
陸王は、ハーレーのマネで。
うん。
それだけのメーカーがなくなって、
いくつかの大企業に集約された。

カメラ会社は、ちっちゃなメーカーの社名の頭文字が
AからZまであったって言うんだから。
ヤシカとか、
ついこないだまでありましたねぇ。
どんどん、
そういうものが大手になってきて‥‥
昔は、個人レストランもたくさんあったけど、
今は、だいたいチェーンでしょう?
「昔は、今よりも目がとどいていなかった」
というひとことなんじゃないかと思うんですよね。

ネット以後、
自主的な「五人組化」みたいなものがすすんで
「タモリが、あそこでションベンしていたぞ!」
みたいに、告げ口をしあっては、
常識の強要みたいなことがおこなわれているのは、
ちょっと、キツイですねぇ。
われわれの前の世代はそうだったんですよね。
だから、以前に、似ているんです。
ぜんぶがイナカだったし、
メニューがすくなかったから、
管理しあってたんですね。
いったん、ルールだの、マナーだのが
拡散したものだから、
また、メニューがすくなくなってきている。
そうそう。
いちど、解体したはずなのにねぇ。
だから、歴史もまとめられておかしくなって。
去年も、戦前がおかしいという話をしたけど、
「近代史がおかしい」って話題は、長持ちしますねぇ。
うん。

クラスでジャズをきいていたのだって、
オレひとりですからねぇ。
舟木一夫も、橋幸夫も、
知ってはいても、みんながそろって
「イイ!」なんて、ぜんぜん言ってなかったもん。
今年も、
タモリさんに、歴史の事実が
ちいさくあばかれました。

どうもありがとうございました!
ありがとうございました!

2007年も
ひとつよろしくおねがいします。
おわります
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2007-01-17-WED

(C)HOBO NIKKAN ITOI SHINBUN