最終回  京極さんが、眠るとき。

糸井 では、今日の「睡眠対談」をまとめると‥‥。
京極 どのへんが「睡眠対談」だったのか
わかりませんが(笑)。
糸井 うん(笑)、まず「寝ない人」である京極さんは、
ひじょうにムリのきく体質をお持ちで、
それゆえ、寝ないですんできたというか、
むりやり寝てなかった‥‥ことに最近気づいた、と。
京極 もともとショートスリーパーだったし、
自分は別に寝なくても平気なんだ、
というある種の思いこみが
「プラシーボ効果」になってたってことも、
あると思いますけどね。
糸井 つまり、熱を測るまでは平気だったのに、
測ってみたら、「えっ! 39度?」って言って
倒れちゃうみたいな。
京極 自分で自分をだましてたようなもんです。

だから、
まったく気負いのない状況で、寝てなかった。
糸井 切羽詰まって「寝られない人」じゃなく、
ゆる〜く、好きで「寝ない人」だったと。
京極 そう。少なくとも、スケジュールに追われてたりとか、
そういう切迫した状況で
目の下にクマをつくってる漫画家のアシスタントみたいな、
そういうせつない感じの「寝ない人」では、ないんです。
糸井 ぜんぜん、違いますね。
京極 眠くなったら寝りゃあいいという。
糸井 で、いつ眠くなるのかというと‥‥。
京極 仕事が終わったとき。
糸井 だから、だれにも恨みはないと(笑)。
京極 うん、眠りについてはむしろ得した感じ(笑)。
今日だって30分ぐらいしか寝てないけど。
糸井 身体は別に辛くないんだし、
寝ようが寝まいが
どっちでもいいんだよっていう考えかたが
ベースにあるんですよね。
京極 ひと区切りついたとき、ひとねむりしようかな、
でも、もうちょっと働こうかなっていうのは、
ぼくにとっては
どっちでもいいことなんですよね、わりと。
糸井 ええ、そうみたいですね。
京極 で、どっちでもいいんだったら
働くか、なんですよ、ほとんどの場合。
糸井 でも「働く」って言葉を使ってるとはいえ、
そんな実感ないでしょ、きっと(笑)。
京極 いや、書斎でやってる作業は
ぜんぶ「仕事」だと思ってますよ、ぼくは。
糸井 あ、そうですか。
京極 うん、ようするに
金銭を生み出せるかどうか、じゃなくて‥‥。
糸井 じゃなくて?
京極 たとえば、子どもの運動会につかう工作してたとしても、
ぼくは「仕事してるな」と思ってるんです。
糸井 問題は、そこが書斎かどうかだ、と。
京極 たんなる趣味で映像を編集してたりしても、
それは「仕事」なんです。
糸井 本はどこで読むんですか?
京極 書斎ですね。
糸井 じゃ、仕事だ。
京極 だから、旅先に本を持っていって
読む場合には、それは「遊び」なんです。
糸井 そのとき持っていく本っていうのは
仕事のときとは、違う種類の本なんですか?
京極 まえに一回、読んだ本ですよね。
糸井 ああ、純粋に楽しみたいんですね。
京極 で、どんな本を持っていこうかっていうのは、
書斎で考えてる。だからそれは「仕事」です。
糸井 じゃあ、逆にいうと、旅先では仕事しない?
京極 しない。
糸井 ていうことは‥‥
旅先では、寝たりするんですか?
京極 寝ますよ。そりゃ。
糸井 そうか、基本はどっちでもいいんだけど、
仕事はしないんだから、寝ますよね。
京極 寝ます、寝ます。
やることなかったら寝ますよ、そりゃ。
糸井 おもしろいなぁ(笑)。
京極 でも、さっき言ったように
5時間とか6時間、寝ちゃうと
あんまり調子がよくないもんだから、
朝食が8時だとしたら、
7時に起きるとして、そこから4時間さかのぼる。
糸井 つまり、逆算して3時に寝るんですね。
京極 そう、そう。

3時に寝ればいいんだと思ったら、
それまでは、本を読んだり、DVDを観たりして
時間をつぶしてるんです。それは、遊び。
糸井 つまり、京極さんの場合には
「寝過ぎを防ぐため」に
睡眠時間を数えてるわけですね。
京極 ええ、ふつうの人とはちがうんでしょうけど。
糸井 じゃ、そういう意味でいうと
旅先で睡眠時間を削ってまで読書はしない?
京極 うん、しない、しない。
でも、書斎ではいくらでも読む可能性がある。
糸井 つまり、それは仕事だから。
京極 ええ、仕事ですから。
糸井 なるほど‥‥わかりました(笑)。

京極さん、完全に自然体で、寝てないんですね。
京極 はい。平常心で、寝てないんです。
糸井 今日は、たいへん異色な「睡眠論」を
どうもありがとうございました(笑)。
京極 いえいえ、こちらこそ。

‥‥でも、この対談のどこを使うんだろ?
糸井 いや、おもしろかったんで、ぜんぶ(笑)。
京極 だいじょうぶかなぁ‥‥(笑)。

<おしまい>



2007-12-31-MON