ほぼ日酒店 YOI

トーキョーの日本酒 トーキョーの日本酒

「ほぼ日」がお届けするお酒のコンテンツ
「ほぼ日酒店 YOI(よい)」。
第4回でご紹介するのは、
東京港醸造で醸された清酒です。
まずは、東京産のお米と水と酵母を
東京都心の酒蔵で仕込んだ2つのお酒。
「えっ? 東京の都心に、酒蔵があるの?」
そうなんです。
「しかも、東京のお米と、水と、酵母で?」
そうなんです! ちょっとびっくりしちゃいますよね。
東京港醸造のユニークさを理解するのにぴったりな、
生きた乳酸菌を使った(ちょっとシュワッとした)日本酒、
あわせて3つのお酒を紹介します。
05

乳酸菌で日本酒をつくる

販売する日本酒トリオのひとつ
「Palla-Casey」(パラカセイ)は
生きた乳酸菌を使ったお酒です。
どんな性格のお酒なのか、
どんなつくりかたをしているのか、
寺澤さんに教えてもらいました。

乳酸菌でトリプル発酵!?

い香りをつくる
パラカセイという乳酸菌の働きで
トリプル発酵させた微発泡の日本酒
それが「パラカセイ」というお酒です。

香り高いほのかな甘さと、ほどよい酸味。
山田錦(酒米)が出す深いコクと旨味。
洋食全般、とくに肉料理やチーズに合う、
微発泡ならではの爽やかさがあります。

「パラカセイ」と呼べる酒質と香味にするには、
発酵させるときに酵母と乳酸菌の働きを
うまくコントロールすることが必要です。

日本酒づくりは並行複発酵といって、
タンクのなかで2つの変化が並行して起きています。

①麹の酵素によってデンプン(お米)を
グルコース(ブドウ糖)に変える糖化。

②できたグルコース(ブドウ糖)を酵母によって
アルコールと炭酸ガスに変える発酵。

この糖化と発酵が同時に起こる
並行複発酵という製法によって、
アルコール度数が高い(度数20%前後)
お酒をつくることができます。

アルコール度数は、ビールは5~6%、
ワインは12%くらいです。
日本酒はアルコール度数が20%近くでます。
並行複発酵というのは
効率よく発酵させるテクニックなんです。
この製法は日本酒ならではで、
世界に類を見ない技術です。

パラカセイをつくる工程では
その世界に類を見ない製法にプラスして、
生きた乳酸菌の働きを加えることで、
トリプル発酵をさせています。

3つの変化を同時にさせるためには、
糖からアルコールを出したい酵母と、
アルコールが苦手な乳酸菌の関係を
コントロールしてあげる技術が必要になります。
うちでは、うまいこと「トリプル発酵」をさせて、
ほんの少し炭酸ガスが残る「微発泡」の
お酒をつくっているんです。

ビンづめのひみつ

くの酒蔵さんは、ほとんどの場合に
できたお酒を殺菌に必要な温度に温めてから
ビンに入れてキャップをします。
殺菌に必要な温度と、かかる時間は決まっています。
小さなビン(180mlなど)の場合は、すぐに冷えてしまい
殺菌に必要な温度を必要な時間キープできないので、
もとのお酒の温度を上げちゃうんですよ。
本来なら、63℃でいいものを、
小さいビンの場合は、70~75℃に上げるので、
炭酸ガスやアルコール分や香りや味がとんでしまって、
たとえばカップ酒などビンが小さくなるほど、
どのお酒を飲んでも同じになっちゃう。

うちは、お酒を搾ってそのまますぐにビン詰めをして
そのあとビンごと湯煎にかけて殺菌するんです。
冷えた状態で密閉してしまえば、香りや味が逃げません。
一升瓶も小さなビンも、同じ酒質にできます。
もちろん炭酸ガスも封じ込めているので
パラカセイ独特の「微発泡」を感じる風味が出るんです。
開栓するるとき「シュッ!」と音がするのはうちならでは。
みなさんもパラカセイを「シュッ!」としてみてください。

(つづきます)

取材・文:金澤一嘉