ほぼ日酒店 YOI

江戸桜

東京・芝の酒蔵「東京港醸造」と
「ほぼ日」がタッグをくむ
「トーキョーの日本酒。」第二弾は、
オリジナルのお酒です。
名前を「江戸桜」(えどざくら)といいます。
じつは「江戸桜」は「染井吉野」(そめいよしの)の別名。
稀少な酒米である「愛山」の
とれたての新米をぜいたくに使い、
低温で長期間じっくり発酵。
芳醇な甘みと旨みをもつ「純米吟醸原酒」がうまれました。
出会いと別れがある桜の季節、
うれしさもかなしさもあるこの時ですけれど、
笑顔で乾杯したくなるお酒、
あたらしい何かがはじまるこの季節をことほぐお酒です。
‥‥といっても、クセがあったり、
ツウにしかわからない、というお酒じゃありません。
日本酒になじみがない、という人でも
すなおに「わぁ、おいしい!」と
言っていただける飲みやすさがありますよ。
江戸からつながる東京のお酒、
ぜひ、一献。
04

「うまみ」の強いアテで「江戸桜」をたのしむ。

日本酒をはじめ、ワイン、ビール、焼酎、
ウイスキーにウオツカ、マッコリ‥‥と、
世界のあらゆる酒に精通している
編集者の(呑んべえの)鳥越達也さん。
ながく料理雑誌に携わってきたこともあって、
「おいしい酒とうまいもの」に詳しく、
酒の目利きでもあり、的確な批評もする人です。
そんな鳥越さんに、「江戸桜」について、
忌憚のない意見を寄せていただきました。
えっ‥‥? おいしくって、
批評を忘れて呑んじゃった? 
だからもう1本くださいって? 
ちょっと、ちょっと!
とりごえ・たつや
多くの日本酒関係の記事を作り続けてきた編集者。
全国各地の酒を飲み続けること十数年。
自宅の冷蔵庫には日本酒がぎっしり。
小さな四合瓶を2、3本選んでおいて、
料理に合わせて一杯ずつ飲み比べるのが楽しみ。

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ああ、すみません。
ほぼ日から送っていただいたこと自体を忘れていたのです。
それで先日、冷蔵庫にまだ開けていない日本酒を見つけて
飲んでみたらめちゃくちゃ美味しくて。
うわなんだこれ?! とびっくりして。
このあいだほぼ日から届いたお酒で
まだ飲んでいないのが残っていたと勘違いしたんですよね。
で、言い訳がましいんですけど
その日、名残の牡蠣をバターで炒めて青のりを振っただけの
名前もないような適当なおつまみを作っていて。
でもお皿があったかいうちに飲まなきゃと思っていたので
うわー、うわーって喜んで飲んで食っていたら、
すぐになくなって。
こりゃスゴイお酒見つけたぞ、と
瓶だけはとっておいたんですよね。

そしたらほぼ日から、
「そろそろ、こないだ送ったお酒の感想を」という
メールをいただいて。
空っぽの瓶を抱えて青くなって。
「とにかくおいしかったです」とか書けないので
平謝りでもう1本を所望した次第です。
スミマセンでした。

というわけで本日、2本目飲みました!
(呑みはじめて1時間、もう、瓶は空っぽ‥‥。)

ああ、なるほど。
うまい。
春先に公園でのびのびキャッチボールしていたら、
ズバンッ! とミットが鳴り響くような、
気持ちのいいストレートを受けた、
そんなイメージがありました。

最初に「おっ!」と感じる、
すっきりとのどを通ってゆく飲み口の勢いそのままに、
口の中にひろがる余韻にもしっかり味がのこります。
この後味の心地よさが印象的ですね。
そっか、このお酒、有名な酒米である「愛山」を
使っているんですよね。
自分は日本酒に使うお米の個性って、
後味に出ると思っているんですが、
なるほど、「愛山らしさがよく出てる」というのは
こういうことなんだって思いました。

味のカタチの印象を伝えると、
「直球ストレート」タイプです。
つまり、最初から最後まで変わらず、一気通貫。
太い味のラインがあるんです。

ああ、これ、めちゃ好きだな。
東京港醸造のお酒って、
けっこうシリーズによって、
それぞれの個性を意識して出してる感じがあるんです。
腕がしっかりした人の仕事ってそういうものですよね。
カレー屋さんにも、そういうお店があるじゃないですか、
種類の違うカレーを注文しても、それぞれに
きりっと個性の立った一皿をつくる。
そういう「職人魂」を感じます。

淡い味より濃い味で。

さて、「江戸桜」にどんなアテを、と考えるに、
おそらく合わせる相手を選ばないと思います。
ただ、淡い味のつまみは、酒が勝つ。
白身魚とか豆腐とか、
味の線の細いつまみを試してみたのですが、
もちろん「合う」のだけれど、
お酒の味が上回りますね。
それはそれでいいものだと思います。

ホタテのヅケ、旨いですよ。醤油:味醂:日本酒=2:1:1を混ぜて沸かし、適当にさましたものに10分くらい漬けるだけです。

でも、強めの味のつまみを合わせることを、
ぼくはおすすめしたいと思います。
たとえばホタテやマグロのブツをヅケにしたものとか、
味の濃いかまぼこやさつまあげ、
ねりうにを豆腐に乗せたりしてもいいですね。

ついでにマグロのブツも漬けてみたり。漬け時間はやはり10分くらいでいいですよ。浅く漬けたほうがマグロの味も映えますし。

あ、そうだ、総合的に、
「蕎麦屋のつまみ」を想像したらいいかもしれません。
厚削りの鰹節を問答無用でグラグラ煮出した
奢った力強いダシをベースにした料理が合うと思います。

味の濃いさつま揚げなんかは、小さく切り揃えると一口ごとにお酒に合わせられます。切り方ひとつで「アテっぽく」なりますね。

‥‥思い出しました。
かなり余談になるんですけれど、
以前、東京の神保町にあった
「嘉門」という料理屋さん、
いまは仙台に移ったんですが、
そこに「ねりうにと半熟たまごの酒肴」
っていうのがあったんですよ。
フレンチにある、生ウニとコンソメジュレの冷菜、
あれにヒントを得て店主がつくったというもので、
つくりかたを訊いたら、
小鍋で瓶詰の粒うに(75g)に卵黄(2コ)を、
弱めの湯煎にかけてフォークの背でつぶし、
ホイッパーなどで角がたつくらいまで練るんです。
これで2人前なので、
ふたつの皿に盛ってから、
それぞれに半熟たまごを1つずつのせる。
これ、やってみてください。
すっごくうまいです。
そして絶対に「江戸桜」に合います。

自分はスーパーで特売299円とかのお安い瓶詰でつくるんですよ。でもこの手間だけで割烹で出てくるようなアテになっちゃいます。

‥‥って、こういうことを書きはじめると
呑んべえ的にキリがないですね。
とにかく江戸桜には「旨味の強いもの」を合わせる。
それが言いたかったのです。
それが江戸桜の個性を引き立てて、
グンとたのしい酒席がつくれます。まちがいない。

美味しかったです!!!