ほぼ日手帳 2016

絵が得意でも、そうじゃなくても。
「CHALK BOY(チョークボーイ)さんに聞いた」
ナイスな雰囲気で、
文字や絵を描く方法。

協力:オニバスコーヒー(ONIBUS COFFEE)

働いていたカフェで
メニューの黒板にチョークで絵を描いていた。
そしたら、あちこちから頼まれるようになって、
いつのまにかそれが本業になった。
そんな黒板描きアーティスト、
CHALK BOY(チョークボーイ)さん。
「黒板」と「手帳」という違いはありますが、
かっこいい文字や絵の描き方のヒントを
教えてもらえるかも?
そんな期待を胸に、ほぼ日の手帳チームで
お話を聞きにいってみましたよ。

ほぼ日
チョークボーイさん、こんにちは!
チョークボーイ
こんにちは。今日はよろしくお願いします。
あ、ほぼ日手帳、こちらですね。
‥‥へぇ。メッチャ開きやすいですね、これ。
(いろいろ触ってみて)
すごい、これメチャクチャいいですね。
ほぼ日
ありがとうございます。うれしいです。
チョークボーイ
今日は手描きの取材ということで、
ぼくも昔から描いていたノートを持ってきたんです。
ほぼ日
わ、かっこいい。
チョークボーイ
いまは黒板に絵を描くことが多いですけど、
ぼく自身、ノートに絵を描いてきた期間のほうが
ずっと長いんです。
ほぼ日
すごい、いろいろと描かれてますね。
チョークボーイ
日々、思いついたいろんなイメージや
ことばを描いてみたり、
あと最近は仕事のチョークグラフィックの
アイデアスケッチなども描いてます。
ほぼ日
これ、何ですか?
チョークボーイ
あ、これは楽譜ですね。
ぼくは音楽もやってるのですが、
それが「次に砂嵐の音が入って‥‥」みたいな
五線譜では表現できないタイプのものなんです。
だからこんなふうに記録してます。
他の人にまったくわからない楽譜ですけど(笑)。
ほぼ日
おもしろいです。
このノートを見ると、やっぱり昔から
文字に興味がある感じですね。
そして、こんなに手描きで
いろんなフォントを描けるんですね。
チョークボーイ
フォントは世の中にたくさんお手本があるので、
それを見ながらだと描けますね。
こういうフォントって、自分で一から考えるよりも
見ながら描くのがいちばんなんです。
ほぼ日
そうなんですか。
チョークボーイ
フォントは専門のデザイナーの人たちが
たくさん研究してきた歴史があるから、
実際にあるものから勉強したほうが早いんですよ。
真似して描いてると、ストックが貯まって、
自分の引き出しになっていく。
だからぼくは日々、真似して練習してたりします。
ほぼ日
もともとチョークボーイさんは
どういう経緯で今の活動をはじめたんですか?
チョークボーイ
もともとは、ずっとカフェで働いてたんです。
その日のメニューを黒板に書いているカフェで、
ぼくが担当することもあったのですが、
いつも、わりとすぐ描き終わっちゃってたんです。
で、あるときふと
「しっかり描いてみようかな」と思って、
近くにあったワインやビールケースを見ながら
ラベルデザインを描いてみたんです。
そしたら、すごい評判がよくて、
黒板を描く必要があるたびに
「また描いてよ」って言われるようになりました。
さらにそのお店の系列店とかで、
「こんど新しい店ができるから、
 ちょっとあの子に描いてもらって」
みたいになってきて。
ほぼ日
すごい。
チョークボーイ
それで、いろんなお店の黒板を、
描いたりとかしてたんですが、
あるときぼくが絵を描いたお店の一つが
『商店建築』という建築雑誌に、
載ることになったんです。
そのとき、ぼくが描いたチョークグラフィックが
けっこう写真にうつってて、
「クレジットのせてあげるよ」と言ってもらって。
ほぼ日
おおー。
チョークボーイ
だけどぼく、本名がヨシダコウヘイって
すごくふつうの名前なんですね。
で、そのままじゃ誰にも引っかからないと思って
「本名でいい?」と言われたときに
電話口で5秒とか10秒考えて
「あ、ちょっと待ってくださいよ
 ‥‥チョークボーイで!」
って、変えてもらって(笑)。
そしたら仕事が徐々に増えて、いまにいたります。
ほぼ日
しかも今、チョークボーイの活動だけで
食べてらっしゃるんですよね。
チョークボーイ
そうですね、これが本職になってます。
黒板を描いたり、商品のアートワークを手伝ったり。
あとワークショップをすることもあります。
ほぼ日
ワークショップではどんなことを
教えているんですか?
チョークボーイ
基本のテーマは
「チョークグラフィックの描き方」です。
ぼくがこれまで描いてきた中でわかった
いろんなコツとかをご紹介してます。
ただ、3分の2くらいの時間は
文字の描き方をやってますね。
ほぼ日
文字の書き方がメイン。
チョークボーイ
そうなんです。
というのも文字って、ちょっと集中して練習するだけで、
一気にうまくなるんですよ。
特にアルファベットなら文字数も少ないし、
なおかつ「E」と「F」とか、似てるものも多いので。
ほぼ日
へぇー、そうなんですね。
もしよければ、ちょっと教えてもらうことって
できますか?
チョークボーイ
はい、たとえばまず筆記体とかだったら、
斜めの角度を揃えるのがいちばんのポイントです。
だいたい同じ角度で揃えていくと、
それだけでだいぶ、きれいな印象になります。
ほぼ日
おぉ‥‥たしかに。
チョークボーイ
あと、筆記体で難しいのが「s」や「r」なんです。
でも逆に、そういった文字が
うまく描けるようになると、締まるんで、
そこを練習してもらったり。
ぼくはどこも尖らないクルクルした文字が好きなので、
個人的にはこういう「s」や「r」をオススメしてます。
ほぼ日
ちょっと意識するだけで、ずいぶん変わりそう。
チョークボーイ
ええ、ちょっと練習するだけで変わりますよ。
あとワークショップでは袋文字もやりますね。
袋文字はそれぞれの幅が
できるだけ変わらないのがポイントです。
‥‥この手帳、方眼で練習しやすいですね。
ほぼ日
あ、たしかに(笑)。
チョークボーイ
「S」は袋文字でも難しいんです。
カーブの連続だから。
これもちょっと描き方のコツがあって、
先に十字を作ってから描くとやりやすい。
そういった細かなコツを、
いつもワークショップでお伝えしてますね。
ほぼ日
おもしろいです。
チョークボーイ
あとワークショップでは
「自分の名前を描いてみよう」とか、
「文字に影を付けてみよう」とかやっていて。
さいごに、バシッと描いた文字を、
絵や装飾と組み合わせて、
1つのアートワークにするのが基本ですね。
ほぼ日
絵を描くときのポイントってありますか?
チョークボーイ
うーん、絵はですね‥‥ワークショップでは
「まずは自分が描きたいアートワークを
 真似して描いてみて、
 それを自分なりに1ヶ所アレンジしてみよう」
といったことをやってます。
絵はたぶんその方法が、
いちばん上達が早いんじゃないかなと思いますね。
ほぼ日
なるほど、描きたい絵を真似して書いて、
ちょっとだけアレンジする。
チョークボーイ
ええ、フォントを見ながら
文字を練習するのと同じ仕組みですね。
ただ実はワークショップで、
絵の描き方はそんなにやらないんです。
‥‥というのも、絵って、
描くのが好きかどうかにも左右されるし、
好きなテイストも人それぞれだから、
コツが伝えにくくて。
だから、誰にでもおすすめできるのは
「まず文字の練習をすること」。
文字がうまくなるだけで、全体の絵が
けっこう決まるんです。
ほぼ日
そうなんですか。
チョークボーイ
ええ、どんな絵でも、そのそばに、
練習してうまくなった文字をバシッと乗っけると、
カッコよくなるんですよ。
この絵とかも、コック帽のイメージですけど
絵だけ見たらメッチャ子どもっぽい‥‥(笑)。
ほぼ日
言われてみれば(笑)。
チョークボーイ
だけどこれ、文字がたくさん入った中に、
こういう抜けた感じのイラストがあると、
これがあるおかげで字がうまく見えるし、
抜け感がすごくよくなる。
組み合わさって、雰囲気がよくなるんです。
そういうことをワークショップでお伝えしてますね。
ほぼ日
はあぁー。
そのほかに、チョークボーイさんならではの
手帳に使えそうなコツってありますか?
チョークボーイ
僕が自分のノートでよくやってるのは、
「ページにタイトルを描く」ことですね。
たとえばこんな感じで
ページの頭に、タイトルをつけるんですよ。
すると、「描くぞ!」とちょっと気分が盛り上がる
ほぼ日
たしかにそうかも。
チョークボーイ
あとぼくはよく、どんなに日本語でも、
タイトルは「アルファベットで描いて」ます。
完全に好みですけど、そうすることで、
気分がちょっと上がる感じがあるんです。
たとえば「手帳」と日本語で描いてもいいけど
アルファベットで「TECHO」とか、
「HOBONICHI」と描くと、かわいいんですよ。
ほぼ日
へえー。
チョークボーイ
特にぼくが好きなのは形容詞で
「おいしい」とか、「oishii」みたいに描くと
日本語よりかわいく見える。
最後にいっぱい「i」があって、顔みたいにも見える。
なんかキュートな感じなんですね。
ほぼ日
ほんとだ。
チョークボーイ
とにかく、技術ということ以上に
描くのがたのしくなるほうがいいなと思うんです。
そうだ。それで言うと、
「ちょこっとでもイラストを入れる」のも、
いいですよね。
ほぼ日
あ、イラスト。
チョークボーイ
ええ。
自分は絵がそんなに上手じゃないって思ってる方も
いると思うんですけど、
上手か下手かの問題ではなくて、
なんか器用じゃなくても思いがあるものって、
愛嬌があってかわいいんですよ。
ほぼ日
それ、わかります。
チョークボーイ
きれいにカッコよく描くことよりも
「とりあえずそこに描いてみる」のが大事。
さらにいえば、絵が得意じゃないと思ったら、
文字の力を借りちゃえばいいと思うんです。
イラスト描いたそばに
文字で何の絵かを補足する、という。
ほぼ日
ちょっと描いたもののそばに、
「おまんじゅう」などと文字で描くとか?
チョークボーイ
そうそう、そのとおりです。
それだけでおまんじゅうってわかるし、
なんとなくページがかわいくなる。
これは、たのしく描く方法のひとつですね。
ほぼ日
‥‥あと、ぼくらの手帳は
「1日1ページも何描けばいいかわからない」と
言われることがあります。
チョークボーイ
ああ、それはもう、逆に考えれば
何を描いてもいいというわけで。
机の上のものとか、目の前にぶらさがってる電球とか、
そんな感じで、まったく意味のない物を描くので
いいのかなと思います。
そのときいるカフェのショップカードを
模写するのでもいいし。
ほぼ日
そういえば以前、食べたお菓子のロゴがかわいくて、
なんとなく模写したことがあるんですけど、
思った以上にたのしかったです。
チョークボーイ
そうそう。しかもそれ、いちど描いたら、
なんとなく今もちょっと描けるんじゃないですか?
ねぇ、ぼんやり。
ほぼ日
たしかに、描ける気がします。
チョークボーイ
そんな感じで、やっていればそのうち、
ちょっとずつ上手になるものなんです。
あと「今日はなにも描かなかったな」も
いいと思うんですけどね。それはそれで。
ほぼ日
そうですね。
チョークボーイ
上手になって誰かに見せるのも嬉しいけど、
やっぱり自分が描いててたのしいのがいちばんかなと。
「たのしいかどうか」がいちばんだいじだと
思うんですよね。
そういうのができる手帳づかいになっていくと、
いいんじゃないですかね。
ほぼ日
チョークボーイさんは、絵を描いているときは、
もうテンションが上がりまくる感じですか?
チョークボーイ
あ、いや、まぁぼくも、
いつもアゲアゲで「ウフー♥」みたいなので
描いてるわけじゃないんですけど‥‥(笑)。
ほぼ日
(笑)
チョークボーイ
ただ、ぼくはメモばっかり描いてても、
テンションがあまり上がらないんで、
日々、できるだけたのしく描ける方法を
考えるようにしてますね。
せっかく描くことが大好きなので、
たのしくやらないのは、もったいないと思うんで。
ほぼ日
なるほどなぁ。
今日はありがとうございました!
チョークボーイ
いえ、なにか、お役にたてばうれしいです。
こちらこそありがとうございました。
<チョークボーイさんに聞いた、描き方のコツ>

1.いいなと思った文字や絵の
 真似からはじめると上達しやすい。
2.文字が決まると絵全体がうまくみえる。
3.ページにタイトルをつけると、気分が上がる。
4.日本語でも、あえてアルファベットで描くとカワイイ。
5.絵が得意でなければ、そばに文字で説明を添えればOK。
6.なによりたのしむのがいちばん。

チョークボーイさんの
グラフィックの描き方を詰め込んだ本も、
出たばかりだそうですよー。

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