とのまりこさんによる、タンピコレポート

素朴さと上質さ、
そしてかっこよさ。

ニコルさんがパートナーのディディエさんと
暮らしているのは「ミュシダン」という
タンピコのアトリエがある田舎町のすぐ近く。

前回登場した、
タンピコが生まれる源ともなった
ニコルさんが青春時代を過ごし、
現在は週末を過ごす場所となっている
海沿いの町「アルカション」からは
内陸の方へ車で2時間ほどです。

2つの地を結ぶちょうど真ん中くらいが
あのワインで有名な「ボルドー」になります。

今回はそのニコルさんとディディエさんの
暮らす、田舎の大自然に囲まれた
ミュシダンのご自宅にもおじゃまして、
タンピコバッグが生まれた背景を
ちょこっとだけのぞいてきました。

ミュシダンの自宅は、
1759年にできたという歴史ある古い建物。
もともとはこの家のすぐそばにある
教会の司教の家だったそうです。
その後あるじは何人か入れ替わって、
亡くなったニコルさんの元旦那様の代から
マルタン家が住むようになったそうです。

▲250年以上の歴史を持つ古い建物です▲250年以上の歴史を持つ古い建物です

高級ビーチリゾート「アルカション」にある
「週末の家」が、黒と白を基調とした
スタイリッシュでモダンでかっこいい、
タンピコのある一面に。

一方、ご近所から牛の鳴き声が聞こえ、
周りを農家に囲まれたこの田舎の家の
暖かい木のぬくもりとリラックスした空気感が、
シンプルで上質で、素朴な素敵さを併せ持つ
タンピコの、またある一面に表れているようです。

「アルカションとミュシダンは、
全く違う場所だけれども、
この両方がなくてはタンピコは生まれなかったわ」

というニコルさんの言葉。
タンピコのバッグを初めて手にとったとき、
こんがり日焼けしてサングラスの似合う
みんなの視線を集めてしまうような
バリバリキャリアなマダムが
大きなバッグにボンボン荷物を放り込んで
ビーチでタンピコバッグを持っているような
かっこいいイメージも、
田舎のマルシェ(市場)で、
おじいちゃんが使い古して洗い倒して味の出た
タンピコバッグに新鮮な野菜やフルーツを
ボンボン放り込んでいるような
味わいあるイメージも、
両方が思い浮かんだのには、
「アルカション」と「ミュシダン」という
2つの場所が隠されていたからなんだと納得です。

▲ご自宅の庭にはプライベートプールも!▲ご自宅の庭にはプライベートプールも!

7500㎡という広い広い敷地には、
季節ごとに実をならせる
アプリコット、チェリー、りんごの木。
毎年様々な色を楽しませてくれるというアジサイ。
色と香りでリラックスできるラベンダー。
パリのどのお花屋さんにあるものより立派な芍薬‥‥
などなど美しい緑がいっぱい!

▲まるでホテルのようにきちんと手入れされた素敵なお庭▲まるでホテルのようにきちんと手入れされた素敵なお庭

▲ニコルさんいちばんのお気にいりは、このデッキチェア▲ニコルさんいちばんのお気にいりは、このデッキチェア

「ちょっと新しいデザインを考えたい時には
このデッキチェアに座ってぼ~っとするの。
よかったらあなたもちょっと昼寝してみたら?!」

なんてうらやましいことを言うニコルさん。
彼女のお気に入りの庭は当然自然のままじゃなく、
ディディエさんと2人の庭師が
なんと週に45時間(!)もかけて
手をかけている場所。

▲「写真は苦手なんだよ~。」とちょっぴり恥ずかしそうなやさしいムッシュー▲「写真は苦手なんだよ~。」とちょっぴり恥ずかしそうなやさしいムッシュー

タンピコのバッグは、
そんな庭仕事が大好きなディディエさんの
よきパートナーにもなっているそうです。
とにかく丈夫で頑丈な作りだから、
庭仕事のための道具を入れたり
なんでもポイポイ入れるのに最適なんだそう。

たしかにミュシダンのご自宅には
あちこちにタンピコのバッグが転がっていて
(「転がって」なんて失礼だけど、
そのくらい普通にタンピコのバッグが
インテリアにとけこんでいるんです)
どうやらお出かけ用バッグだけではなく
「道具入れ」とか「趣味のもの入れ」とか
「買い物バッグ」とか「リネン入れ」
などに使われている模様です。

▲バブー、すっかり気に入ってもらって、まるでファミリーの一員に▲バブー、すっかり気に入ってもらって、まるでファミリーの一員に

「じょうぶ」とか「たくさん入る」とか
機能性のことだけではなく
「極めてシンプル」で「素朴」、ということも
どんなものとも、どんな雰囲気とも溶け合い、
おしゃれに馴染んでしまう秘密のようです。

フランスにも有名ブランドが好きだって人も
もちろんいます。
でもそれは「雑誌に載ってるから」とか
「セレブが持っているから」ではなくて
自分がそのブランドをたまたま好きだから。
みんなと一緒は絶対イヤだ、
自分は自分らしく、がフランス人の基本。
そしてシンプルで上質で、流行りに関係なく
いつまでも使えるものが大好きです。
まさしくタンピコって、そういうブランドなんだろうな。
そう感じたニコルさんのご自宅訪問なのでした。

取材・文・写真 とのまりこ

(つづきます)

2016-08-03-WED

タンピコにかかわるひとびと。その3 ジュリーさん

Julie Martin(ジュリー・マルタン)さん。
美しくて華やかなこの女性は、
ニコルさんの娘さんです。
ニコルさんの2番目のパートナーとなった
ディディエさんとは血のつながりはないけれど
バカンスや週末となれば集まったりする
仲良しファミリーです。

母ニコルさんの影響を受けて
育ったジュリーさんは
やっぱり母と同じ道に。
16歳の娘を育てながら
タンピコのデザインを手伝ったり
家族経営の会社タンピコを支えています。

ジュリーさんもニコルさんと同じく、
エネルギッシュでハッキリしていて。
華やかで自分らしさに誇りを持っている、
フランスの典型的な女性像。

というわけで、
娘ジュリーさんと母ニコルさんは
ぶつかり合うこともしょっちゅう。
今回も、「はじめまして」で会った
その日のランチタイムから、
タンピコ商品のデザインのこと、
これからのタンピコの展開について
などなど、意見交換がヒートアップして
半分親子げんかみたいになっていました(笑)。

そんな2人を「いつものことだ。また始まった。」
と見つめるディディエさん。
「でた~おフランスあるある。」
とニヤニヤしてしまう私。

同じデザイナー同士、
そして言いたいことはなんでも言い合うフランス人、
そして親子だからこそ余計、
議論なのかけんかなのかわからないようなことも
多いようですが、大丈夫、
言いたいこと言うだけ言って
根に持たないのがフランス人です。
タンピコというブランドを
本気で大切に想う気持ちがあるからこその
「けんか」のような「ミーティング」。

タンピコの創始者ニコルさんとともに、
娘のジュリーさんがこれから
どんなタンピコを展開していってくれるか。
とっても楽しみになる「親子バトル」なのでした!

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