お家のなかから、旅の空まで。 STAMP AND DIARY 2022 autumn / winter

2022.10.19 AM11:00 ON SALE

STAMP AND DIARYがずっと考えてきたのは、
生活をベースにした、着心地のいい服。
デザインや機能性も含め、着るひとが納得できて
ふだんの生活の中で重宝される、
そう、つまり「いい道具」のような服です。



この秋冬の新作も、
重い服が多くなりがちなシーズンを、
自分らしく、気分よく過ごせる服がいっぱい。



STAMP AND DIARYらしい心地よさ。
ディレクターの吉川修一さんに、
素材のこと、デザインのこと、
お話をうかがいました。

――
ちょっと意外なんですが、
STAMP AND DIARYの秋冬物のご紹介、
ほぼ日では今回が初めてなんです。

吉川さんはいつも、
シーズンごとのテーマは特に設けず、
ふだんの生活の中での「いい道具」
っていうことで服を作られていますよね。
吉川
はい、そうですね。
僕は、シーズンごとにテーマを、っていうのは
自分の服には違うかな、とはずーっと思っていて。
目線が、着飾るっていうところじゃないんですよね。
やっぱり、生活の中で便利と感じるものとか、
気持ちいい、心地いい、リラックスできる、
そんなことを考えているんです。
――
今おっしゃった、
「着飾る」ではないっていうこと、ポイントですね。
吉川
人に見せるためっていうよりは、
自分が納得する服っていう感じですね。
――
飾るより馴染むみたいな、心地よさが大事。
でも、心地よさにもその時に応じたものがあって、
今作りたいもの、提案したいものを集めると、
そのシーズンのラインナップになる、
っていう感じですか?
吉川
そうですね。
自分の中でのトレンド、
セルフトレンドみたいなことかな、と思いますね。
こういうディテールがあったらいいな、
っていうところから始まって、
いつも素材を探してるみたいな感じです。
シワの質感が楽しい、
軽いコート。
写真
吉川
例えば今回のポリエステルのコートは、
パリでたまたま、古着のコートを買って、
これが、なんかすごくいいな、っていうのが
スタートだったんですよ。
――
ダブルフロントワイドコート、ですね。
吉川
はい。
軍モノなんですけどなにしろ古着なので、
何用だったのかもわからなかったんですよ。
でも、いいなあ、って思ったんです。
ずいぶんディテールは崩しちゃってるので
できあがったコートはもう、原型からは離れてますけど。
かなり大きいサイズで、
ゆったりとリラックスして着られるものがいいな、と。
これ、前に綿素材で作ったんですれけど、
クシャッと丸めてバッグに入れたいなっていうのが
ずっとあったんですよ。
写真
――
わかります。
吉川さん、旅好きですもんね。
バッグに入れることも条件のひとつですね。
吉川
そうなんです。
クシャッとしても大丈夫な素材を
ずーっと探してました。

そうしたら、うちの生地の担当者が知り合いだった
福井の生地屋さんに出会えたんです。
海外の有名なブランドにも卸しているところで、
そちらから、このディテールに合う素材感のものを
チョイスして、このコートができたんです。
キュッと握るとそのままになるような、
ちょっと、形状記憶的な感じがあって。
――
シワ感ができる。
自分でかたちが作れるみたいな感じですね。
吉川
ちょっと丸みを作ったりもできて。
だけどゴワゴワするのではなくて、
ちょっとぬめり感というか、独特なんですよ。
柔らかさと、ハリ感もあって。
ちょっとね、ミラノのブランドがやりそうな
そんな素材感なんですよ。
写真
――
ラフに丸めると、ハンドボールぐらい。
たっぷりの布なのに、軽いですよね。
吉川
コートって、重いとか、硬いとか、
タイトすぎると疲れちゃうじゃないですか。
これぐらい大きければ、着てて疲れないし、
リラックスした感じをちょっと演出してみました。
脱ぎ着もしやすいですよね、大きいと。
――
すっと腕が通って、ストンと落ち着く。
着込んでいくと、布もこなれてきそうですね。
吉川
そうですね。
そこも楽しんでいただきたいです。
――
まさに、手に馴染む道具、ですね。
冬のコットンを、
コーデュロイで。
写真
吉川
初めてコーデュロイを使ったんです。
これはオリジナルカラーで染めています。
――
コーデュロイって、すごくカジュアルで、
ごわつく感じを想像しますけれど、
これは、とても柔らかい布ですね。
吉川
コーデュロイって中国製も多いんですけど、
これは、日本できちんと作られてます。
遠州ですね。静岡県で織ったものです。
――
ふわふわで気持ちがいいんですよね。
表情もやさしい感じで。
吉川
染める前に、すごく丁寧な処理をして表側の毛を整えて、
それから染めの工程に入るので、フワッとした、
パイルの丸みが美しいコーデュロイに仕上がるんです。
――
それでできたのが、ジャケットとパンツ。
素材のよさが生かされてますよね。
写真
吉川
セットアップでも着ていただけますし、
もちろん単品で、ほかのものと合わせても。
どちらもオーバーサイズ気味ですけど、
ちょっときちんと見える感じに作りました。
――
これはコーデュロイのイメージを変えますね。
色も素敵です。
エレガントですね。
吉川
そうですね。
ちょっとグレイッシュなベージュで、
コーデュロイらしくない色かもしれません。
コットン素材ですから、
ウールよりも早い季節から着られて、
長い間楽しんでいただけると思いますね。
最高級のメリノウールで、
大人のニットを。
写真
――
このニットがまたすごいんですよね。
ふわふわで。
吉川
「スーパーエクストラファインメリノウール」です。
イタリアの糸ですね。
しかも、スーパー120っていうもので、
わかる方にはわかっていただけるすごい糸なんです。
――
吉川さんの糸のこだわりが、今回も。
メリノって、少々汗をかいても大丈夫だから、
登山する人がよく着てますよね。
そういう、すぐれた機能性があるものを
日常着にしたら、使い勝手がいいでしょうねえ。
吉川
そうなんです。
しかもこれは細い糸で編んでいるので、
薄くて軽いニットに仕上がってるんですよ。
――
そしてこのチュニックとパンツが、
イタリアのマダムみたいなんですよね。
かっこいいなあ。
吉川
イタリアの糸を使うと、
やっぱりイタリアっぽくなるんですよね。
イタリアの糸は、僕の中では
表現をするうえですごくいいものなんです。
――
すごいことですね、素材がそこを支配しちゃう。
それにデザインもすごくいいんですよね。
たしかに、イタリアっぽい。
すごく着痩せして見えてうれしい、
っていう声もたくさん聞きました。
吉川
上質で落ち感のあるニットだからこそ、ですね。
素材の良し悪しがそういうところに出るんです。
それと、女性的なシルエットになるように
ところどころ、ちょっと絞ったりしてます。
体型を隠しながら、女性感が出るように。
――
面白いですね、体形を出すわけじゃないのに。
写真
吉川
隠してるのにフェミニンな感じが出るような。
やっぱり家で着るっていうのを想定しているので
リラックスできることが大前提。
――
いやー、それはもったいない(笑)。
家だけじゃもったいないですよ。
これは外に出て見せびらかさないと。
吉川
(笑)。
――
アクセサリーが映えますね。
服と、引き立て合う感じがします。
吉川
僕の、洋服を作る原点はそこにある気がするんです。
服そのものは目立たないんですけれど、
ほかのものを引き立たせる。
――
色もいいですよね。
ニュアンスカラーっていうのかな。
大人な色っていう感じで。
吉川
そうですね。このへんの色出しはやっぱり
ヨーロッパのマダムを思い出しながら。
――
そして2Wayカーディガンも、この素材で。
写真
吉川
はい。同じメリノウールです。
今シーズンは、スタイルが少し違うんです。
長袖にして、襟ぐりも詰まり気味で、
秋冬に使いやすいかたちだと思います。
タックの陰影を
ウールジョーゼットで。
写真
――
ブラウスと、ワンピース。
背中にタックのあるこのスタイルは、
おなじみ、とも言えそうですけれど。
吉川
そうですね。
うちの顔みたいなものなんですが、
素材が、これも初めて使ったものなんです。
――
ウールジョーゼット、ですね。
写真
吉川
愛知県の、尾州の生地メーカーさんのものです。
高級なウールの、紳士服地の産地として有名な場所ですね。
こちらもほんとに表情がきれいなんですよ。
ツルッとサラッとしていて。
ジョーゼットって、クラシックな表情があって、
上品でかわいい素材ですね。
――
ナイロンがちょっと入ってるんですね。
吉川
ウールの糸がものすごく細い200双っていうもので、
細すぎてナイロンを巻かないと織れないんです。
それでわずかに入っています。強度のためですね。
――
どうやってこの素材にたどり着いたんですか。
吉川
ひとつ大きかったのが、秋冬ものとして、
素材の置き換えもやってみたかったことですね。
いつも綿でやってるものを、
ウールでもやってみたいって相談したときに、
うちの生地担当が「これ、いいんじゃないですか」って
薦めてくれたんです。
写真
――
こういう素材、STAMP AND DIARYでは
すごく新しい感じがします。
吉川
こういうのをやりたいっていうのは僕の発案で、
探してきてくれたのがうちの生地担当ですね。
――
吉川さん、スタッフに恵まれてますよね(笑)。
吉川
はい。ものすごく助かってます。
――
ドレープとかタックの陰影が
すごくきれいなのも、素材ゆえ、ですね。
吉川
そうです、そうです。
これも素材の良さがポイント。
軽くて、ほんのりあたたかさもあって。
――
秋冬だけど軽いっていうのは魅力的です。
動いたとき、サラサラしてるのに、
とろみみたいなものもあるんですよね。
トロッとした感じ。
吉川
その「トロッ」をやってみたいと思ったんです。
ちょっとお出かけっぽくなるんですよ。
――
よく知ってるデザインなんだけど、
やっぱり全然、別物に見えますね。
吉川
ブラウスの形は一緒なんです。
素材の落ち感が違うんですね。
面白いですよね、ほんと素材って。
――
秋冬にふさわしい上質なものばかりですね。
上品な感じでとても魅力的です。
みなさんにご紹介するのが楽しみです。
ありがとうございました。
(おわり)
ITEMS
ダブルフロントワイドコート
39,600円(税込)
写真
コーデュロイのジャケット
27,500円(税込)
写真
コーデュロイのワンタックパンツ
24,200円(税込)
写真
ラウンドカラーバックタックブラウス
18,700円(税込)
写真
スタンドカラーバックタックワンピース
29,700円(税込)
写真
メリノAラインタートルネック
20,900円(税込)
写真
メリノ2Wayカーディガン
19,800円(税込)
写真
メリノニットパンツ
20,900円(税込)
写真
MOVIE
予告1(ティザー動画)



撮影・編集   馮 意欣

スタイリング  山口香穂

モデル     miu(NVRMND)

ヘアメイク   伏屋陽子(ESPER)