ほぼ日のいい扇子2014
予告♯3 はじめましての作家さん紹介           鈴木啓太さん

「扇子のデザイン」というかたちで、
今回はじめて「ほぼ日」とごいっしょするかたを
ご紹介しています。

ふたりめはこちら、
プロダクトデザイナーの、鈴木啓太さんです。


1982年愛知県生まれ。プロダクトデザイナー。
金沢美術大学製品デザイン学科客員教授。
2006年多摩美術大学プロダクトデザイン専攻を卒業後、
NECデザイン、イワサキデザインスタジオに勤務。
2012年にPRODUCT DESIGN CENTERを設立。
「緻密に緻密をデザインする」をテーマに、
スタートアップ企業やメーカーとのイノベーション開発、
漆のお椀からスマートフォンまでの
新製品開発に携わっている。

good design companyの水野学、
中川政七商店の中川淳と共に設立した
「THE」の企画運営も行う。

「PRODUCT DESIGN CENTER」Web Site
『THE』Web Site

(さらに詳しいプロフィールはこちらをどうぞ)

鈴木啓太さんと「ほぼ日」の出会いは、
鈴木さんご自身が「ほぼ日」に送信してくださった
一通のメールからはじまりました。


はじめまして。
プロダクトデザイナーの鈴木啓太と申します。

そんなご挨拶ではじまるメッセージには、
鈴木さんの自己紹介や、いままでのお仕事のことが
ていねいに記されていました。

メールの最後には、こんな一文が。


ほぼ日の商品開発のプロジェクトを、
前からとても興味深く見ておりました。

もし何かご一緒できる機会がありましたら、
ぜひお声掛けいただけませんでしょうか。

鈴木さんのお仕事のいくつかを、
ほぼ日の乗組員は、様々な場所で目にしていました。

シルエットを富士山に見立てた、美しいグラス。


▲富士山グラス(写真提供/PRODUCT DESIGN CENTER)

まるでシャボン玉のよう‥‥。
虹色にかがやくガラスの風鈴。

▲虹色風鈴(写真提供/PRODUCT DESIGN CENTER)

わくわくしました。

この、シンプルで美しいプロダクトを作っているかたと
いっしょにお仕事ができるかもしれない‥‥。

わたしたちはさっそく鈴木啓太さんに、
2014年に発売する扇子のデザインを依頼したのでした。

何度かお会いして、ミーティングを重ね、
試行錯誤を繰り返してたどりついたのが、この扇子です。


▲鈴木啓太さんの扇子『APPARE』。


「ほぼ日のいい扇子2014 Japanesque」では、
鈴木啓太さんデザインのアイテムを
扇子を含めてぜんぶで4種、販売いたします。

それぞれの商品についての解説をうかがったあとで、
デザインをお仕事にしようと思ったきっかけや、
なぜ「ほぼ日」にメールをくださったのかについて
あらためてインタビューをさせていただきました。

そのお話が、やはりおもしろくて、興味深くて‥‥。
せっかくなのでここに掲載いたします。
よろしければ、お読みください。

「ほぼ日のいい扇子」は、
たとえばこんな作家さんによってつくられています。





鈴木 デザインの仕事をしようと思ったきっかけ‥‥。
そうですね、
ぼくは中学生のときには、けっこうはっきりと、
「デザイナーになりたい」と考えていました。
ほぼ日 中学生のときにはもう‥‥。早いですね。
鈴木 当時、雑誌の『ブルータス』が
イームズの特集をしていて、
一大ミッドセンチュリーブームみたいな、
椅子とか家具のブームがありましたよね。
ほぼ日 ありました、ありました。
(※BRUTUS 1995年6/1号 特集:イームズ/未来の家具)
鈴木 あのころぼくは田舎の中学生で、
そういう東京のカルチャーに憧れていたんです。
はじめてイームズを見たときは、
すごくびっくりしました。
こんなかたちの椅子があるんだ、みたいな。
もう、すごい衝撃的で。
(チャールズ・イームズ/20世紀の半ばに活躍した
 アメリカのデザイナー、建築家、映像作家。
 当時の工業製品デザインに大きな影響を与えた)

ほぼ日 中学生で、イームズが好きだった‥‥。
鈴木 もともと美術が大好きだったんです。
中学校、高校と、
「日本のぜんぶの美術館を制覇する」と、
寝台列車や青春18きっぷを使って、
いろいろな美術館を回ったりしているような‥‥
ほぼ日 美術大好き少年だった。
鈴木 ええ。
その延長で、デザインに興味を持ち始めました。
あと、ぼく、ボーイスカウトに入っていて。
ほぼ日 ボーイスカウト。
鈴木 ナイフで枝を切って箸を作る、みたいな。
そういうことも好きだったんです。
ほぼ日 それ、プロダクトデザインですね(笑)。
鈴木 ええ(笑)。
ナイフ1本あれば何でも作れちゃうみたいな。
そういう思いがあって、
イームズにもあこがれていて、
「やっぱりぼくは立体を作る仕事がしたい」と。

ほぼ日 中学生で思っていた。
鈴木 はい。
その後、多摩美術大学に入って、
そこでは、プロダクトデザインを専攻できるので、
そこからはもう、
立体のデザインを学んで、ずーっと学び続けて‥‥
今に至る、みたいな感じです。
ほぼ日 卒業後は、就職を?
鈴木 最初は、NECという、普通の会社に勤めたんです。
インハウスデザイナーと呼ばれる、
その会社のものだけを
ひたすらデザインしていく部署にいました。
大きな会社で多くのことを勉強させていただいて、
そのあと、
社員が社長を入れて3人という事務所に移りました。
そこでひたすらデザイン漬けの日々を送って、
両方を経験することができたんです。
ほぼ日 なるほど。
それで、独立されて今のかたちになって‥‥
どのくらい経つのでしょう。
鈴木 ちょうど2年です。
ほぼ日 あ、まだ2年なんですね。
2年でこんなにヒット商品を‥‥。
ほぼ日の仲間もみんな、
「富士山グラス」のことを知っていました。
鈴木 ありがとうございます。
ほぼ日 中学時代からずっとブレない思いが‥‥
すばらしいです。
やはりずっと、
シンプルできれいなデザインがお好きなのでしょうか。
鈴木 好きなデザインは‥‥
そうですね、やっぱり‥‥
なんでもないものがいちばんだと思います。
すぐに飽きたり、消費されてしまうものではなく‥‥。
けっきょく自分でも、
飽きずに長く使っているのは、
なんでもないものなんですよ。
だから、そういうものを作っていきたい。
でも、それって実は本当にむずかしくて‥‥。
山のように作って、
その中にひとつあるかないか‥‥みたいな。
ぼくの仕事は、
それを探していくことなんだと思っています。
ほぼ日 なるほど。

話は変わりますが、
今回ごいっしょさせていただいたのは、
鈴木さんからいただいたメールがきっかけでした。
鈴木 はい。
ほぼ日 なぜ「ほぼ日」と何かをしてみたいと
思っていただけたんでしょう?
鈴木 それは‥‥
あの、すごく正直に申し上げると、
「ほぼ日」って、毎日は見てなかったんですね。
たまに見ている感じで。
存在はもちろん前から知っていましたが、
毎日チェックをしにいくほど、
ヘビーなユーザーではなかったんです。
ほぼ日 はい。
鈴木 それでも、「ほぼ日」以外でも、
ビジネス関係の誌面とかで
糸井さんのお話に触れることがあるんです。
そこで知った、組織としての糸井事務所とか、
会社としての「ほぼ日」のあり方に
すごく興味が出てきたんです。
ぼくらもモノを作ってますけど、
それをコンテンツにしていくということは、
考えたことがなかったんで。
そういう視点で、「ほぼ日」をあらためて訪れたら、
「伊藤まさこさんの白いお店」が開いてて‥‥。
ああー、なんかすごい。
やっぱりおもしろい、と思って。
ぼくらも、もし何か、
いっしょにやらせていただけることがあればと、
ああいうメールを送ってしまいました。
ほぼ日 ありがとうございます。
メールは鈴木さんひとりの思いつきで?
鈴木 いや、みんなで話し合ってです。
ほぼ日 こちらはいま、お仲間は何人いらっしゃるんですか?
鈴木 いまは、えぇと‥‥
1、2、3、4、5人、ぼくを入れて5人です。
ほぼ日 5人。5人のチームで。
そうですか‥‥
ぼくらもそうなんですが、
ミーティングの時間が、きっと多いんですよね?
鈴木 多いです。
毎日お昼ごはんをここで作って
みんなで食べてるんですけど‥‥
ほぼ日 え、そうなんですか!?
ここで毎日、みんなでごはんを。
鈴木 ええ、
そのときにも、いろんなことを話します。
「ほぼ日さんの扇子どうしよう」とか(笑)。
悩みを共有したり、
新しいことについて話したり。
ほぼ日 ぼくらも、よく食べながら話してます。
週に一度、給食があるんですよ。
鈴木 給食(笑)、いいですねぇ。
ほぼ日 おしゃべりの中から
アイディアが生まれてくるみたいな。
鈴木 あ、そうそう、うちもそんな感じです。
ほぼ日 会議というより、雑談みたいで。
鈴木 ぜんぜん会議じゃないです。
ほぼ日さんにメールを出したときも、
「最近のほぼ日、なんかすごいよね」
「じゃ、ちょっとメールでも送ってみる?」って。
ほぼ日 そんなノリでしたか(笑)。
鈴木 はい、そんな感じでした(笑)。
ほぼ日 そのおかげで出会えてよかったです。
鈴木 こちらこそ。
たのしい仕事でした。
全力でやらせていただきました。
ほぼ日 すみません、いろいろとわがままを言って。
鈴木 いえいえ、ほんとにたのしかったんです。
ほぼ日 さっきうかがった、
「なんでもないデザインが好き」というお話は、
ぼくら、とても共感できます。
まだ仲良くしていただけるんじゃないかと
勝手に思っていますので、
これからもどうぞ、よろしくお願いいたします。
鈴木 もちろんです。
ありがとうございました。

中学のころから、デザインについて考え続けてきた
鈴木啓太さんは、
現在もずっと考え続けていらっしゃいました。
仲間といっしょに。

鈴木啓太さんは、
日傘作家のひがしちかさんと、ほぼ同年代。
チームの人数は、それぞれ同じく5名。
インタビューの最後には、
どちらも「みんなで食事」の話になりました。
‥‥たぶん、偶然の符合だとは思います。
でも、その一致が、
とても印象的なインタビューになりました。

「好き」をつづけるということ。

仲間といっしょに目標へ向かうということ。

よろしければ、
ひがしちかさんのインタビューも、お読みください。

「ほぼ日のいい扇子」は、
たとえばこんな作家さんによってつくられています。


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2014-04-18-FRI

model/colliu Erika Hostrop 
photo/白川青史(model)・富井義人(item) styling/川上薫 hairmake/小澤麻衣(モッズ・ヘア)