さよならアルネ   2002-2009 and beyond... Arne
Arne30-表紙

第11回 「アルネ」は島、「ほぼ日」は船。
糸井 大橋さんが『アルネ』を
始めたのは何年でしたっけ。
大橋 2002年ですね。
糸井 その時は、
ぼくはインターネットを
やっていたわけですけど。
大橋 そうですよね。
糸井 2002年っていうと、
ぼくがほぼ日を始めてから4年目ぐらいですか。
だから、紙とか印刷とかっていうのは、
とにかくえらい大変だから、
それがなくてもいいんだと思って
インターネットを始めた時に、
大橋さんがへっちゃらで紙で出してきた(笑)。
大橋 紙しかなかったから、私には。
糸井 考えもしなかったっていうことですよね。
そこはやっぱり愉快ですよね。
大橋 たぶん私の中では、目の前にある手で広げるもの、
ぐらいのことしか、考えられなかった。
たとえば、糸井さんはもっとこう、
広いじゃないですか。
だけど、対象になるような人たちも
広いけれど──ていうか、
ものすごく広範囲の方に届けてらっしゃいますけど、
私のほうは単に、この中で、
この中のことを皆さんの中で
なんとなく好きっていうふうに
言ってくださればうれしいな、
みたいな程度だったの。
糸井 友だちですよね。
大橋 そう、みんな友だち、みたいな。
だから、『アルネ』を買ってくださってる
人については、もうすごいやっぱり
なんていうんだろう、友だちみたいな、
読んでてありがとう、みたいな。
だからそれ以上にはやっぱり広がらない代わり、
やっぱりそれはそれで、私は満足してるの。
糸井 超・絵手紙みたいですね。
大橋 そうですね。そうです。
糸井 そうだ、スーパー絵手紙だ。
大橋 そうなっちゃうか、わかんないです、
スーパーまで行くか。
糸井 超‥‥つまり、
1枚の絵手紙じゃなくて、
綴じるぐらいまで。
大橋 そうですね。
糸井 それだ、と思ったら
作り始められますね、たしかにね。
大橋 だから、あんまりすごく
大変っていうのはなかったですね。
糸井 で、ひと通り、会いたい人っていうことで
だいたい会った気がするし、
物も紹介していったと。
いろんなことを、
おもしろいことを順番にやっていったら、
「いやぁ、最初の頃に思ってたことを
だいたいやっちゃったな」みたいな。
大橋 そうですね、たぶん、ほとんどやりました‥‥
やったというか、お願いする人も、
私がこの人にぜひお会いしたいっていう方も、
ほとんどクリアっていうか、お願いできたから。
もう私の中ではこの絵手紙は
もうここで終わりにしても大丈夫じゃないかな、
みたいな。
糸井 そうか、読むだけの側っていうのは、
いつでも分量とか、長さとかっていうのを
無限にもっともっとって言うものですからね。
読者としての自分っていうのも、
作者としての自分っていうのも、
お互いに話し合って終ったんですね、きっとね。
大橋 はい、思うんですけれどもね。
糸井 ぼく、よく、ふつうの仕事をやる時に
「4回やりましょう」とか
「5回やりましょう」とか、
「1年続けましょう」とか、
サイズを決めてやるっていう仕事は
人を不自由にするなって思ってたことがあって。
だから、原稿を頼まれるにしても
「原稿用紙で3枚お願いします」って、
その分量に合わせてものを考えるって、
やっぱりプロはできるんですっていう
言い方もあるんだけど、めんどくさいんですよね。
で、書きたい分だけ書いたら、
もうちょっと「うん」って言ったら、
20行でもいいし、10行でもいいし、
1冊分になっちゃってもいい。
で、そういうのがいいなぁと思ってたところに、
インターネットっていうのもあって。
大橋 ああ、そうですね。
糸井 それが、何か自分を
ずいぶんラクにしてくれたんですよ。
大橋 なるほど、わかります。
糸井 大橋さんの『アルネ』も、
あと3年ですとかって決めないおかげで、
会いたくない人に会う必要ないし、
決めてたら、違うことやらなきゃ
なんないですよね。
そうか、何か、それちゃんと今、
読者って、もしかしたら
言えばわかる時代かもしれないですね。
「私の中では本当に終りましたから」って、
心から言えば通じる読者みたいな気がしますね。
「やめないでぇ〜」とか言われないでしょう?
叫びみたいな‥‥。
大橋 そういうのはないです。
糸井 ないでしょう。
大橋 はい、ありません。
糸井 アイドルのファンクラブだったらもう‥‥
続けてくれないんだったら殺してやる、
みたいなことだってありますからね(笑)。
その意味では、だから本当に
絵手紙を交換してる友だちですよね。
大橋 そうですね。
糸井 その『アルネ』の話になると、
なんとなく、ぼく近いから。
ぼくの自分の心にすごく、すごく近いんですよ。
大橋 そうですか、へえ。
糸井 あそこに『アルネ』があるっていうのは、
ぼくにとって、なんだろう、
海を船で進んでいるとしたら、
あの島、っていうみたいな、目標なんですよね。
大橋 そうなんですか、
まあどうもすみません、
ありがとうございます。
糸井 こちらこそ、なんです。
あの『アルネ』の島を横目に見ながら、
みたいなところがあるんです。
ああ、『アルネ』がやりそうだなとか。
だから、大橋さんとお知り合いになれて、
やり取りできるような時に、
島と船にこう桟橋が付いたみたいな。
本当にうれしかったですね。
本格的にがっぷり四つに組むって
いうようなことは別にないですけど、
でも、桟橋で物の荷下ろしをしたり、
逆にその産物を積んだりみたいな、
そういうのって、たのしいですね。
大橋 私はありがたいと思ってます。
糸井 その、運命共同体っていうほどじゃないんだけど、
仲良くしてるから取引ができる、みたいな。
船と桟橋みたいな。
  (次回、最終回につづきます)

2009-12-26-SAT


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