2018年の「海大臣」のおいしさ、
ちょっと長めに
説明させてください。

昨シーズン(2017年)以上のおいしい海苔が
これほどのバリエーションで採れるなんて、
期待はしていても、予想していなかったことでした。

そういえば今年の海苔の入札が始まる前、まだ寒い頃、
林屋海苔店の相沢裕一さんにお目にかかったとき、
「ことしは、ひょっとして、ひょっとしますよ!」
と、にっこにこして話していたのを思い出します。
きっとそれは「まだ内緒だけど、昨年以上にうまい海苔が、
たくさん採れそうですよ」という意味だったのですね。
有明海の漁協から「海大臣」候補の海苔を探すことが
ミッションである相沢さんですから、
何度も何度も有明海に足を運び、
ことしの海苔の生産のようすを、見ていたのでした。

一昨年は「超」がつく不作。
昨年は「久しぶりの」当たり年。
でも今年がどうなるのかは
海苔を育てはじめるときには、だれにもわかりません。
なにしろ海苔は、海を畑にたとえれば、
農作物のようなものです。
天候や海況がわるければ不作にかたむき、
赤潮が発生して被害がおよべば、
おいしい海苔どころか、
全体の生産量が激減することだってあります。
それぞれの生産者のたゆまぬ努力も味に影響します。
冷たい海にボートを走らせて、
1日2回、手入れに行くというだけでも
かなりの労力がかかる仕事なのに、
そのうえ「どうやっておいしくするか」は
それぞれの生産者のかたの育て方によるところが大きい。
そんななか、いろいろな条件がととのって、
さらに、入札で相沢さんががんばってくださったことで
(おいしい海苔は、問屋さんどうしで争奪戦ですからね)、
「有明海の、ばつぐんにうまい海苔」が
ことしの海大臣としてならぶことになりました。

▲林屋海苔店の相沢さん。築地から豊洲に移転したばかり。

選考会で選びました。

ことしの「海大臣」も、選ぶさいには、
食べ比べて決める「試食選考会」をひらきました。
相沢さんと林屋海苔店のみなさん、
九州の海苔関係者のかたがた、
フードスタイリストの飯島奈美さん、
「ほぼ日」からは糸井重里と担当チームのめんめん、
さらに、糸井重里が好きなおすしやさんである
「はしぐち」さんに協力いただきました。

そもそもおいしい海苔が集まったのだから、
さぞスムースに決まるにちがいない!
‥‥と思ったのはおおまちがい。
というのも「ぜんぶうまい」ものですから、
「ほんとうにこんなにたくさん選んでいいの?」
「落選にしたい海苔なんてないんだけど‥‥」
という迷いが出てしまったのです。
もともと「海大臣は毎年いくつ」という取り決めは
していませんでしたから、協議の結果、
思い切ってことしは「たっぷり」仕入れることにしました。

さらに。
いつもだったら「これはおいしいけれど、
ほかにくらべたら味が物足りないね」という海苔を
「しお加工」するのですけれど、
ことしの「しお」は、もとからそのままで
おいしい海苔を使っています。
(いつにもましてぜいたくです。)
その結果選んだ17種類のなかから、
この冬は、11種類をおとどけします。

海大臣は高い?

「生活のたのしみ展」で
お客さまの反応を見ていて思ったのですが、
「試食しておいしいのはわかったけど、高いなあ」
ということばが、あんがい多かった!
でもね。
海大臣は「1パック30枚」入っています。
これは海苔問屋である林屋海苔店さんの、
基本の流通の単位。
たしかに巷で売られている海苔は
「10枚」というものも多いので、
その値付けだったらたしかに高いでしょう。
でも30枚です。
「それでもなあ‥‥」と思われるかたは、
たとえばデパートなどで
進物用の高級海苔の価格をしらべてみてください。
缶入りなどは缶の価格も入っているでしょうけど、
なるほど、巷の海苔はこの価格か、と
わかっていただけるはずです
(パッケージの枚数がいろいろなので
板海苔30枚に換算してみてくださいね)。
海大臣は、缶入りでもないですし、
そりゃあ見た目には
小穴が多かったりしますけど、
見た目重視ではなく味重視で選んでいる海大臣です。
30枚4,700円という価格、
食べて納得いただけるはずだと信じています。

もどる