ほぼ日の水沢ダウン2018《春の先行予約会》

2018年の「ほぼ日の水沢ダウン」がはじまります。
今年は、まずは裏地の話からはじめましょう。

「ほぼ日の水沢ダウン」のいちばんの特長は、
なんといっても裏地全面にプリントされた編み柄です。
これまではニット作家・三國万里子さんにお願いして、
オリジナルの柄を編んでいただいたり、
過去の作品を使わせていただき、好評を博してきました。

今年2018年の裏地を考えるにあたってわたしたちは、
裏地の魅力の源泉である「柄」について、
あらためて考えてみました。
できることなら、ニットの編み柄以外にも
チャレンジしてみたかったのです。

ウェールズの
ゆたかな水がつくる伝統織物

注目したのは、「柄の宝庫」とでもいうべき英国です。
フェアアイル柄、アラン模様、アーガイルなど、
主要な柄の多くが英国から生まれています。
ここを探れば、まだわたしたちの知らない、
魅力的な柄が見つかるのではないか。
やがて出会ったのは、
ウェールズ地方でつくられる伝統的なウールの織物
「ウールダブルクロス(ふくれ織り)」でした。

表裏で色が異なる生地には、ふっくらとした立体感があり、
そのやわらかな色合いとあたたかみのある表情に、
わたしたちはすっかり魅了されました。

小川が多く、水がゆたかなこの地域には、
水車を動力とするミル(工場)が、
最盛期には400軒もあったそうです。
いまはごくわずかになってしまったその1つ、
1912年より3代にわたってつづく
「MELIN TREGWYNT(メリン トレグウィン)」の
ファブリックを今回使わせてもらえることになりました。

えらんだのは、「ST DAVIDS CROSS」という柄のうち、
「SILVER」と呼ばれているカラー。
素朴でシンプルなパターンを、
ライトグレーとアイボリーの組み合わせで表現しています。

ファブリックが、そのものではなくプリントされるのは、
メリン トレグウィンの長い歴史のなかでも、
はじめてのことなのだそう。
柄の源流をたずねた先には、
そんなうれしい出会いが待っていました。

三國万里子さんの柄は
シェットランド諸島から

三國万里子さんのオリジナル柄も、もちろんあります。
フェアアイル柄をモチーフに、
すてきなオリジナル柄を編んでくださいました。
フェアアイルは、
英国スコットランドのシェットランド諸島にある
フェア島(Fair Isle)を発祥とする、
400年以上も編み続けられている古典柄です。
これまでの「ほぼ日の水沢ダウン」でも、
フェアアイルはたびたび登場していますが、
今年はすこし雰囲気がちがっています。

ひし形がくり返されるのは「DICE」と呼ばれるパターンで、
その中に入っている模様は
伝統的に使われるものからピックアップしているそう。
色数を抑えた、シックでプリミティブなデザインが
いままでとはまたちがって新鮮です。
三國さんによると、
「色を段ごとに動かしていきながら、
柄の陰影が自然に表現されるように
心を配りました。
この柄ではグレーから白に向けて
光が移ろっているように見えたら成功です。
ダウンの裏地として、
中に着るセーターなどの邪魔にならないよう、
ひかえめでニュートラル、
でも味わいのあるものになるようにと
心がけてデザインしました」
とのこと。
メリン トレグウィンと三國万里子さんオリジナル、
どちらの柄も、英国の伝統をまとった
ゆるぎない魅力をたたえています。
あなたなら、どちらをえらびますか?