2013年のインタビュー(その2)瑠璃の鉢にお豆腐、白いうつわにトマト。


今回の「ほぷらす」では、
まず湯のみが、前回とちょっと変わりました。
背が低くなって、いわゆる、ふつうの蕎麦猪口です。



これは、蕎麦猪口でも使えるし、
コーヒー飲んでも、お茶飲んでもいいし、
使い勝手がいいんですね。
ヨーグルトとか、デザートにも合う。
茶碗蒸しが、おいしくできるって言う人もいます。

ごはん茶碗では、定番の唐子のほかに、
新しいうつわをつくりました。
小ぶりの青いのです。



これは、さっき話した、
瑠璃の鉢にお豆腐っていう、
僕の原点みたいなところから生まれたものです。

そして、小どんぶりにあたるのが、
「あなご丼」と名付けたこの器ですね。
最初の年に、ごはん茶碗として出しました。



そもそもは、
僕、根津で10年間、毎年、展示会をやってまして、
その会場が、お料理屋さんだったんですよ。
そこのオーナーが、
「お昼に来たお客さんに、あなご丼でも出そうか」と。

「じゃあ、僕、そのうつわ作ります」
って言って作ったのがはじまりです。
ご飯をよそって、あなご1枚、サッと乗せて。



その後も、そのお店で使ってくれてて、
すごく使いやすいって言ってもらったんです。
どんぶりだけじゃなくて、
お刺身盛ってもいいし、煮物盛ってもいいし、
何を盛っても、よく合うって。



この器のいいところは、
白だから、食べ物を邪魔しない。
いろんな色が生きるから、
食べ物の色で、絵が描けるっていうのかな。
赤でも黄色でも、緑でも。

今の季節だったら、トマト1個。
ニンニクをオリーブオイルで炒めておいて、
僕はバジルも香り付けて炒めて、
そこに、トマトの湯剥きして、種をとったのを、
サクサクッと切って、炒めるだけ。
あとは、塩と胡椒だけ。
とってもおいしいんですよ。



実生活の中で、
自分が食に関わってることが、
うれしいですね。



だから、「ほぷらす」のお話をもらったときに、
湯のみとごはん茶碗、っていう指定はうれしかった。
作ってると、考えるのは、
「これ、どう使おうかなぁ」
「何を盛ったら、おいしいかなぁ」
ってことばっかり。

それが、僕がいちばん、やりたいことだし。
買ってくれた人が、
毎日、手に持って、使って、洗って。



たとえば、同じ唐子のごはん茶碗を
2つ買ってもらっても、
家族の中で、「これは私の」、
「こっちはあなたの」って、
わかるくらいの、微妙な差が出てくるわけですよ、
どうしてもね。
どんなに同じに作ってもね。
それが、手作りっていうことですよね

だから、「この踊り方の唐子は、私の」っていうふうに、
愛着を持ってくれて、使われるっていうことが、
すごくうれしいんですよ。

2013-08-27-TUE


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