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やまなか けいすけ

1950年生まれ
1975年 九谷青窯入社
1981年 伊豆にて独立
1990年 長野の黒姫に移転、現在に至る


2013年のインタビュー(その1)「光象展」に参加して。


去年の9月に、奈良で、
(福森)道歩ちゃんと、
彫刻をやってる岸野承くんが中心になってやってる、
「光象展」っていうグループ展に誘ってもらったんですよ。



おもしろかったですね。
ほとんど若い人たちばっかりで。
参加していたのは、20人たらずで、
やきものだけじゃなくて、彫刻も、
ガラスも、木工も唐紙もいれば、絵画の人もいる。

やっぱり、若い人のエネルギーって、いいですね。
すごく新鮮でした。



うん、刺激されるっていうか。
やっぱり、この年になっちゃうと、
もう先が見えてくるじゃないですか。
だから、僕にもこんな頃があったなっていうのを
思い出せるのは、うれしかったんです。

「この時期が、一番大事なんだな」っていう、
こうやって、なにかができていくんだなぁっていうことを、
今さらながらに考えさせられたっていうか。

自分がその時にいるとわからなくて。
通り過ぎてきたから、わかる。
だから、若い人たちを見るのって、楽しいですよね。



僕自身、若い時に、いろんな年配の人に会って、
すごく教えられたことがいっぱいあります。

僕がいまだに思い出すのは、
石川県の九谷青窯にいたころ、
その時は専務だった秦燿一さんの
お母さまがいらっしゃいました。
つまり、魯山人の「星岡茶寮」の支配人だった、
秦秀雄さんの奥さん。

その方のお供で、
あちこち行ったんですよ。
骨董屋さんに行くと、
奥から、すごく大事そうなものが出てくる。
おいしいお蕎麦を食べに行って、
昼からビール飲んでるのを
「お、いいなぁ」なんて思いながら見てました。



そのおばあちゃんがお料理してくれて、
おいしいものもいっぱい食べさせてもらいました。
すごく印象的なのが、
ガラスの瑠璃の鉢があったんです。
で、その鉢に、四角いお豆腐を、
1個、ポンと入れて、出してくれて、
それがすごくきれいでね。

若いときに、いい人に会うことや、
いいものを見ておくことが、
すごく大事だと思うんです。

そのときはわかりませんよ。
わからなくていいんです。
おとなになってから、わかればいい。



若いときからわかってたら、気持ち悪いですよ。
若い人には、今はそんなことを考えないでほしい。
若い時には、もうメチャクチャなことやらないと。

僕だって、そのときは、
それほど恩義にも感じていなかったことが、
この年になって考えてみると、
あぁ、あの時のあれが、
僕の今を作ってるんだなってわかる。



僕は、本当に幸せだったと思う。
だから、僕も若い人のお手伝いができるんだったら、
うれしいですよね。
楽しいですよ、若い人と話してると。



(次回につづきます)
2013-08-26-MON


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