その3 和食からイタリアンまで。

取碗と平取碗、そして土鍋。
和食のためのもの、と思いがちですが、
イタリアンや中華などにも使えるんです。

雅武さんがなにやらつくっています。
「いつもこうして、気まぐれにつくるんです」

これは何かというと‥‥。

土鍋でゆでておいた「ツガニ」を‥‥。

むき身にして、ゆで青菜と和えたものなんです。

ツガニは、上海蟹の仲間だそうで、
だからでしょうか、ちょっと中国そうざい風に。
紹興酒に合いそうな
「酒のアテ」な一品になりました。

次に道歩さんがつくるのは、土鍋のアクアパッツァ。
魚を一尾、まるごと蒸し煮にするイタリア料理です。

トマトとあさりをたっぷり入れて、火にかけます。

手早い道歩さん、その間にもう1品を仕上げました。
紫の芋を入れた、ポトフです。

「こうした長さのある具材は、
 それぞれを中央に向けて盛りつけます」

おつゆもたっぷり。

ポトフ、完成。

その間に、アクアパッツァにも火が入りました。

こういった料理は、大胆に(かつ繊細に!)、手早く。

主役(魚)を真ん中に、というのが鉄則です。

食材さえあれば、どんどん料理が思いつく、
というのが福森家のひとびと。
円さんもつくります。

葉ニンニクを、お浸しに。

こちらは、酸味の強い白菜漬けを、豚ばら肉といっしょに
スープにしました。中国東北料理ふうですね。
取碗の深さが、スープ料理に向いています。

道歩さんがつくったのは‥‥?

いつのまにスパゲッティを!
「アクアパッツァの残り汁を使ったんですよ」

なるほど! こんなふうにも使えるんですね。
和食器ですが、フォークとの相性もいい。

残った車海老を、キャベツといっしょにさっと炊きました。

灰釉の淡い色と、食材の濃い色がよく合います。

続いて円さんがつくるのは、つみれ汁。

にらをたっぷり入れて仕上げました。

鍋ものを取り分けるときの基本ですが、
まず「お箸で具材を」。
お玉よりも丁寧な仕事ができます。

そして仕上げに、お玉で汁をそっと。

つみれ汁、完成です。
おつゆをいっしょに頂く料理は、この取碗が便利です。

道歩さんの、パクチーたっぷり鍋。
レモンをつかって、「すっぱ辛」に仕上げました。
調味料は、日曜市で買ったパクチーオイルと、辣油です。

具材は鶏だんごです。

さあ、ラストに近づきました。
きわめてシンプルな、湯豆腐。
アメ釉の深い黒が、白い豆腐をひきたてます。

こちらはパクチーだけのサラダです。
フルヤジさんの畑でとれた無農薬のパクチーです。
上に乗っているのは、パクチーの花。
とても香りが強いんですよ。

骨つき鶏もも肉のトマト煮。スペイン風の料理です。

高知の食材ということで「くじら」です。
関西風のはりはり鍋にしました。

そして〆は、うどんです。
土楽でもよく食べている、油揚げとねぎのうどん。

おつゆもいっしょに頂く料理ですから、
深さのある取碗に。

「たっぷり」盛ってもだいじょうぶ。
そう、この取碗と平取碗は
「料理が、さまになる」うつわなんです。

2016-03-18-FRI