料理人に使ってもらうシリーズ 料理家坂田阿希子さんの牛スネ肉の
ビーフカレー。

人気料理家の坂田阿希子さん。
テレビの料理番組にもよく登場するので、
ご存じのかたもいらっしゃると思います。
肉料理、オーブン料理、サラダ、おやつ、
保存食やお弁当、常備菜にお酒のつまみ、
和・洋・中そしてカレーと、
坂田さんのレシピは、気取らずシンプルで、
ガツンとパワフル。
そんな坂田さんに料理をお願いしました。

メニューは、

  • 牛スネ肉のビーフカレー
  • トマトのサラダ
  • ゆで卵のウスターソース漬け
  • きゅうりのピクルス

おいしそうでしょう? おいしいんです。
レシピを載せますので、ぜひつくってみてくださいね。
そして「ほんとにだいじなカレー皿」に
よそってみてください。
今回のスタイリングは、
坂田さんの友人でもある伊藤まさこさん。
カレー皿って、なるほどこんなふうにも使えるんだ! 
というヒントが、いっぱいですよ。

坂田阿希子(さかた・あきこ)

料理家。1968年新潟生まれ。
強靭な胃袋を持つ食いしん坊一家に育つ。
料理の本を作ることを目指して、
料理雑誌の出版社に入社。
その後、自ら料理する道を選び、
料理研究家のアシスタントからスタートする。
さらにフランス料理店、
フランス菓子店での経験を積み、
料理家として独立。
1998年、料理教室「studio SPOON」をスタート。
雑誌、テレビなどでも活躍中。
旅好き。猫好き。そしてとにかく食いしん坊。
趣味は旅先で料理をすることと、バレエ鑑賞。
2019年11月、東京・代官山ヒルサイドテラスに
自らがオーナーシェフをつとめる
「洋食KUCHIBUE」をオープン。

坂田さんの著作はこちら

前編牛スネ肉のビーフカレーのつくりかた

都心のヴィンテージマンションの一室に、
ヴィンテージのユニットを設えた、
坂田阿希子さんのキッチン。
たくさんの厨房機器に、
調味料、調理器具、うつわ、食材。
「おいしいものがここからうまれる」
そんなワクワクした空気が漂います。
(料理教室も、ここで開いているそうです。)

今回、坂田さんがつくってくださるのは、カレー。
カレー粉と小麦粉を使うベーシックなものですが、
圧力鍋で下ごしらえをした牛スネ肉を使うこと、
野菜を炒めるのにラードを使うこと、
仕上げにカラメルを使うこと(!)など、
いくつかの坂田さんらしい
「おいしくするポイント」があります。
では、くわしく説明しますね。

【材料】(7~8人分)

  • 牛スネ肉:1kg
  • 水:2.5~3リットル
  • カレーベース
    • ラード:80g
    • 玉ねぎ:2個
    • にんにく:2かけ
    • しょうが:大1かけ
    • 赤唐辛子:2本
    • 小麦粉:30g
    • カレー粉:大さじ4
    • 塩:小さじ2~大さじ1
    • マッシュルーム:10~12個
    • りんご:1/2個
    • にんじん:1本
    • トマト:1個
    • スネ肉の煮汁:5カップ
  • カラメル
    グラニュー糖:40gと水少々
  • 白いごはん

牛スネ肉の下ごしらえ

牛スネ肉は、分量の水とともに
圧力鍋に入れて火にかけます。

沸騰したら弱火にして加圧20分で火を止めます。
圧力鍋は、仕込みに使うのに
最適な調理器具。
今回は、肉をやわらかくすること、
いい出汁をとることが目的です。

圧力鍋を使わない、ふつうの鍋の場合は、
分量の水を入れて沸騰したら、
アクをとりながら弱火で1時間半ほど煮ます。
途中煮詰まってきたら、
その都度肉がかぶるくらいまで水を足します。

玉ねぎを飴色に

別鍋にラードを溶かし、
みじん切りのにんにく、
しょうがを揚げるように炒めます。

玉ねぎを加えて水分が出てきたら、
赤唐辛子を入れて、
じっくりと濃い飴色になるまで
20分ほど炒めます。

最初から焦がすまで強火です。
料理は強気!
弱気の料理は味も弱気です。
弱気になると、タイミングを逃したりします。

しんなりとしてきたら、
こげる程度に、なにもしないで放っておきます。
ただし、目は離さずに。
ブチブチブチブチと音が変わったら、
かきまぜます。

玉ねぎは、ドーナツ状にまんなかをうすめにします。
すると、その穴から水分が出て広がります。
そうして、鍋に張りつくくらいこがす→こそげとる、
これを繰り返します。

水分がなくなって、
こそげにくくなってきたら、
ちょっとだけお水を足して(小さじ1~2杯)、
こそげやすくするといいですよ。
水は蒸発してなくなるし、
蒸気があるほうが炒めやすいので、
水を利用するんです。
(つまり、油と蒸気で料理をする!)

カレーのルーをつくります

玉ねぎの鍋に、小麦粉とカレー粉を加えて炒め、
香りがたつまでさらに炒めます。

牛スネ肉のゆで汁4カップを
少しずつ加えながら溶きのばし、
湯剥きして種をとり、
乱切りにしたトマト、
すりおろしたりんごとにんじんを加え、
10分ほど煮ます。

お肉を入れます

スネ肉を大きめに切って加え、
蓋をして30分ほど煮込みます。
味をみて、塩、黒胡椒で整えます。

マッシュルームを入れます

5mmに薄切りにしたマッシュルームを
バター大さじ1でさっと炒め、鍋に加えます。

仕上げにカラメルを加えます

別鍋かフライパンに
グラニュー糖と水を入れて火にかけ、
カラメル状に焦がしたものを鍋に加えます。

カラメルを入れると、甘く、深みが出て、
香りもよく、色に深みが出ます。
当日作っても「ひと晩置いた味」になるんです。

ひと煮立ちしたら味をみて、
最後に塩で整えます。
カレーは塩が決まらないと、味がしまらないので、
最後の調整は、念入りに!

次回は、副菜編。どうぞおたのしみに!

2019-11-29-FRI

お知らせ

坂田阿希子さんが、2019年11月7日に
代官山ヒルサイドテラスに
「洋食KUCHIBUE」をオープンしました!

営業時間 12時~21時(L0 19:30)
定休日 火曜日、水曜日

くわしくはwebサイトをご確認ください。
kuchibue.tokyo

スタイリング 伊藤まさこ

取材・文・写真 ほぼ日刊イトイ新聞