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ハカマバルーンパンツ。夏の主役はこれで決まり。

予告06 〈O2〉Frais - Frais

じぶんたちが納得した天然素材だけを使い、 服づくりのすべての工程を自社で手がけている ファッションブランド「FACTORY」。 代表の野村タカ子さんが立ち上げ、 いまでは息子の塁(るい)さん、 娘の仁美(ひとみ)さんとともに、 家族を中心としたチームでものづくりをつづけています。

2023年、2025年の2度、 「生活のたのしみ展」でもご紹介させていただき、 立体裁断のパターン技術を活かしたボトムスは、 体型を美しく見せながら 気になる部分もさりげなくカバーしてくれると、 大変ご好評をいただきました。

そして今回は特別に、 真夏でも快適に履けて、 なおかつコーディネートの主役になるパンツを 〈O2〉のためにつくっていただきました。

形は、「FACTORY」のロングセラー、 ハカマバルーンパンツ。 さらりとしてベタつかず、シワになりにくい 近江晒加工のコットン地を使い、 自社工場で丁寧に製品染めを施しています。

完成を機に、栃木県足利市の店舗と自社工場を ご案内いただきましたので、 パンツの魅力と合わせて、 ブランドのものづくりについてもお届けします。

自社工場は、足利市と、モンゴルにも。

きょうはお招きいただき、ありがとうございます。

タカ子 はるばるお越しいただき、 こちらこそありがとうございます。 代表の野村タカ子です。

息子の野村塁です。

「生活のたのしみ展」で FACTORYさんのことを知ったお客さまにとっては、 ボトムスのイメージが強いかもしれません。 こうしてアイテムを一緒に手がけるのは今回が初めてなので、 まずはあらためて、ブランドについて教えてください。 そもそも、どんなふうに始まったのでしょうか。

タカ子 もともとはセレクトショップだったんです。 でも、お客さまと接するなかで感じたニーズを 自分たちで表現したいと思うようになって、 かなり早い段階で 「自分たちでつくって届ける」方向に舵を切りました。 私の母の代から、 和装や洋装の注文服に関わってきた家でもあるので、 服をつくること自体は、ずっと身近にあったんです。

それに、足利はもともと繊維の町。 足利や桐生、佐野、太田、館林など、 群馬県南東部と栃木県南西部にまたがる地域は 「両毛(りょうもう)地区」と呼ばれていて、 古くから織物や繊維業が盛んなんですよ。

今のものづくりは 土地の背景ともつながっているんですね。 FACTORYさんはブランド名のとおり、 自社工場をお持ちなんですよね。

はい。 ニット、染色、縫製、撚糸まで、 店舗から車で15分ほどの場所で行っています。 縫製スタッフのほとんどは、 20年、30年選手のベテランの方々。 中国から来ている方が多いですね。

タカ子 それぞれの体型や腕の力、得意・不得意に合わせて、 この方は薄いトップス、あちらの方は厚手のパンツ、と 細かく割り振っています。 しかもパーツごとの分業ではなく、 基本的に1アイテムを1人で仕上げる形にしているんです。

自分がつくっているものの完成形が見えていて、 それぞれにしかできない持ち場があると、 “同じ釜の飯を食べている”ような 連帯感が生まれるんですよね。

ニットのプログラミングや編み機も拝見しましたが、 とても見応えがありました。 機械と人の手が一体になって、 服がつくられていくんだなあと感じて。

タカ子 実は、もともとは今の店舗の中に工房があって、 お客さんから作業の様子が見えるつくりにしていたんです。 だんだん手狭になってきて、 工場を別に設けることになったのですが、 それでも「自分たちでつくっている」という気配は、 ちゃんと服に現れている気がします。

FACTORYさんのものづくりは、 素材から丁寧に選んでいる印象もあります。

素材は、いちばん大事にしています。 どういう背景でつくられているか、 その糸ならどう織るのがいいか、 その生地をどう加工するか、 どんな服にするか。 すべてを一連で見ていくんです。 コットンはペルー、リネンはベルギーのフランダース地方、 ウールやカシミヤ、ヤク、キャメルはモンゴル。 自分たちで現地に行って、判断しています。

中でも、モンゴルが気になっていました。 FACTORYさんといえばモンゴル、 というイメージもあります。

タカ子 冬に向けたあたたかい素材を探して、 寒い地域の動物の毛を求めて モンゴルへ行ったんだよね。

オーストラリアもあるけれど、 もっと寒い場所のほうがいいんじゃないか、 でも、ロシアはちょっと怖い、 じゃあ、モンゴルに行ってみよう! みたいな(笑)。 そんなノリで、母とふたりで行ったのが始まりです。

タカ子 最初は2000年代の初め。 モンゴルの情報なんて、ほとんどない時代でした。

朝青龍が横綱になる前ですからね。 現地で日本語ができる女性をなんとか見つけて、 彼女たちに助けてもらいながら糸を探しました。 最初にカシミヤが見つかって、 ベビーキャメルのうぶ毛が見つかって、 次はヤクが面白そうだと、 どんどん深くなっていって。 当時のヤクは、モンゴルでもまだ珍しい素材だったんです。

それで今では、 モンゴルに工場まで構えていらっしゃるんですよね。

タカ子 最初は、そんなに大きくやるつもりはなかったんですよ。 本当に小規模で、必要な分だけ、というつもりで。 うまく言葉が通じていなかったのかもしれないけど(笑)、 話がどんどん大きくなって、 土地を1000坪買って、建物を建てて、機械を8台入れて。

今では、モンゴルに7人スタッフがいて、 現地で原毛を集めて糸にし、日本へ送っています。

すごい‥‥。 まさに“素材から自分たちでつくる”ブランドなんですね。

タカ子 外の工場にお願いしていた時期もありましたが、 細かい部分まで突き詰めるのは難しくて。 時間の制約もありますし、 感覚を共有するにも限界がある。 だったら、自分たちでやっちゃおうって(笑)。

その「やっちゃおう」が、 FACTORYさんらしいですね。

「お母さん」みたいなブランド。

母のすごいところは、 技術者が全部そろってから始めるというより、 「これやりたい」という衝動からスタートするところ。 とりあえず土地を買ったり、機械をそろえたりすれば、 もう逃げられないから、あとからちゃんと学んでいく。 母はそういうタイプなんです。

えっ。 じゃあ本当に最初は、 技術者の方はいらっしゃらなかったってことですか?

はい(笑)。 やっている本人だって、もちろん経験値ゼロです。 「ここ、土地買えちゃうんじゃない?」みたいな感じで、 始めちゃったんですよ(笑)。

タカ子 みんなやってるし、 なんとかなるんじゃない? って思うのよ(笑)。 でも、周りの人に「これ始めるんです」と話すと、 「自分が教えてあげるよ」と言ってくれる方が現れて、 いろんな人に支えられながら形になっていくんです。 とはいえ、やっぱり最初は失敗の連続でしたね。

たとえば、どんな失敗が‥‥?

タカ子 大量に染めムラが出てしまって、 倉庫にその生地が山のように積まれてしまったことがあって。

! どうされたんですか。

タカ子 絞り染めをしてみたんです。 ムラのある部分を活かして、 タコ糸で縛って染めてみたら、 思いがけずおもしろい柄ができて。 それがきっかけで、抜染したり色を重ねたり、 いろんなやり方を試すようになっていきました。 失敗は、成功のもとですからね。

マニュアル通りというより、 レシピのない“煮込み料理”をつくっているみたいだよね。

タカ子 実際、本当に初期の頃は、 自宅のお風呂場やキッチンで試したりしていました(笑)。

以前、「生活のたのしみ展」で糸井さんにお会いしたとき、 「ここは“お母さん”だね」と言っていただいたことがあって。 その言葉がすごくしっくりきたんです。 FACTORYのものづくりって、 きっちりした工業製品というより、 お母さんのお味噌汁みたいな、 そのときの感覚を大事にしているものなんですよね。

タカ子 それと、店舗があって お客さんと直接コミュニケーションが取れることも、 新しいことに挑戦するきっかけになっています。

長いお付き合いの方が多いので、 「これちょっと苦しいかも」とか「履きづらいよ」とか、 率直に意見を言ってくださるんです。 自社工場があるから、 そういう声をすぐに反映できるのも強みですね。

お客さんと直結しているんですね。 〈O2〉チームのものづくりでも、 「あの人はこれ気に入ってくれそうだな」と、 乗組員の顔が思い浮かぶときほど、 いいものが仕上がるなと感じます。

ワイドパンツが苦手な方にもすすめたい、
ハカマバルーンパンツ。

では、そんなFACTORYさんと一緒に 今回つくったパンツについて、 詳しくお聞きしてもいいですか。

〈O2〉× FACTORY ハカマバルーンパンツ

パンツのデザインを手がけているのは、 妹の仁美なので、ここは仁美に話してもらいますね。

仁美 よろしくお願いします。 ハカマバルーンパンツは、名前のとおり袴が発想源です。 ワイドパンツって、 足の太さが強調されてしまうのが気になるから、と 苦手な方も少なくないと思うんです。 なので、足元を少し細くしたり、 左右で生地の分量に差をつけたりして、 あえてアンバランスな太さにしています。 そうすることで、視線が分散されるんです。

ワイドパンツに苦手意識がある方も履きやすいよう、 考えられているんですね。

仁美 ゴムは後ろ身頃だけに入れているので、 正面から見たときはすっきりとした印象になります。

それでいながら、立体感もありますよね。

仁美 平面的にパターンを引くのではなくて、 立体裁断でつくっているので。 着たときにどう見えるか、どう動くかを基準に、 分量や位置を調整していくことで、 自然と立体的なシルエットになります。

だから、動きやすさも兼ね備えているんですね。

仁美 そうですね。 股上は深いですが、 足さばきはいいように設計しています。 自転車もラクに漕げますよ。 あと、実はお腹まわりの内側に、 小さな穴を開けているんです。 そこに少し遊びが生まれることで、 体格のいい方が履いたときにも 変に突っ張ったシワが出にくくなっています。

見えないところで、 シルエットを整えているんですね。 今回は〈O2〉のリクエストで、 足首が見える丈だったものをフルレングスにして、 さらに後ろ姿のアクセントになるよう 後ろポケットもつけていただきました。

仁美 ポケットの位置や角度も、 お尻が大きく見えないように調整しています。

至れり尽くせりなパンツですね。

夏に快適。綿100%、近江晒加工の生地。

素材についても、ぜひ教えてください。

今回はコットン100%。 100番手の細い糸を使った平織りの生地です。 ペルー綿なども検討したのですが、 少し保温性があるんですよね。 今回は真夏にカジュアルに使えるものを目指したので、 さらりとした爽やかなコットンを選びました。

今回、加工も特別だそうですね。

滋賀県で近江晒(おうみさらし)加工を施しています。 灰汁(あく)を使って布をやわらかくして、 日光に晒して白くする工程を繰り返すのですが、 滋賀ではさらに手揉みで洗いをかけるんです。 そうすることで、不均一なシボが生まれるのが特徴です。 その自然なシワ感が、独特の表情につながります。

仁美 もともとフランスで似たような生地を見たことがあって。 シワ感があって、少しペーパーライクな質感なんです。 それをヒントに、つくり方を探っていく中で、 「近江晒でできるんじゃないか」とたどり着きました。

さらに、綿糸にシルクのような光沢を与える 「マーセライズ加工」も施しています。 シャリっとした風合いで、折れジワもつきにくい。 熱がこもりにくく、暑い季節にも快適に着ていただけます。

一点ものの風合いになる製品染めで。

今回のパンツは、生地の状態ではなく、 洋服に仕上げたあとに染める 「製品染め」をしていただいているんですよね。

そうです。 製品染めは、染めることで服が縮むので、 縫製のわずかなズレが ねじれやシワとしてそのまま現れます。 だからこそ、縫製がきれいでないとできないやり方なんです。

タカ子 今回はウエストがゴム仕様ですが、 ベルト部分の幅も縮むことを見越して、 ほんの少し余裕を持たせて縫っています。 ただ、余裕を取りすぎると、 中のゴムが動いてねじれてしまうことがあるので、 きちんと収まりながら、 動かないギリギリの幅に調整しています。 細かな部分ですが、 こういうところにも技術が必要なんです。

土台となる縫製の精度が問われるんですね。 実際、製品染めはどのように行われているんですか?

染め場にご案内しますね。 ドラム式の機械もありますが、 今回のボトムスはパドル染色機を使っています。 薄い生地なので、デニムのように叩くのではなく、 水の中で“泳がせる”ように染めていきます。

タンクの数が多いですが、 もしかしてこれ、中身は水ですか?

そうなんです。 下洗いから柔軟まで、全部で9工程あって、 1工程につき約1100リットルの水を使います。 なので、一度の染色でおよそ9900リットルですね。

すごい量ですね。 パターンや生地の話に加えて、 この製品染めの工程を聞くと、 一枚ができあがるまでに、 どれだけ手間がかかっているかがよくわかります。

その分、洋服としての“ツラ”がすごくいいんです。 生地もミシン糸もすべて天然素材なので、 染めることで糸も一緒に縮んで、 生地にぐっとなじんでいく。 そうすると、パーツごとに縫われていたものが一体化して、 どこか一点もののような表情になります。 ほんの少し個体差があるのも、ご愛嬌ですね。

日常にも、よそゆきにも。

今回のカラーは、ブラックとセージの2色。 どんなシーンで着るのがおすすめですか。

タカ子 旅行にはとてもいいと思います。 シワになりにくくて、動きやすくて、洗えるので。

たしかに、持ち運びもしやすそうです。

タカ子 でもそれだけじゃなくて、 日常でもたくさん履いてほしいですね。 ハカマバルーンパンツは、 これまでも素材や色を変えてつくってきましたが、 色違いで何本も買ってくださる リピーターの方もいらっしゃるんですよ。

仁美 カジュアルには必ず合わせられる、 というのを前提にしていますからね。 古着とも合わせられますし、 Tシャツ一枚でも成立する。 1回しか着ない服にはしたくないので。

お仕事などでも着られますか。

仁美 もちろんです。 合わせ方次第で、印象も変わります。

近江晒の生地自体、 慶弔の場にも使えるような 品のある素材ですからね。

タカ子 しっかり湯通しもしているので、 縮みの心配もありません。 気にせず、どんどん履いていただけたらうれしいです。

FACTORYのみなさんに着ていただきました。

身長153cm/Fサイズ着用
<着用アイテム>
バンブーコットン タンクトップ ¥8,030(FACTORY)
GIMAコットン ロールネックセーター ¥14,300(FACTORY)

黒は、上に軽さを足すのがポイントです。 白や透け感のある素材を合わせて 抜けをつくると、重たく見えません。 五分袖やロールネックなど、 首まわりや袖に少し動きを出すと、 より軽やかな印象に。

フルレングスなので足元はすっきりまとめて、 サンダルや軽めの革靴で バランスを取るのがおすすめです。

身長159cm/Fサイズ着用
<着用アイテム>
アイリッシュリネン(シワ加工)カジュアル半袖シャツ ¥26,400(FACTORY)
バンブーコットン タンクトップ ¥8,030(FACTORY)

セージのような中間色は、 色数を3つに絞るとまとまりが出ます。 シャツを少し開けて、インナーに白をのぞかせることで、 全体のバランスがぐっと整います。 トップスは明るめの色を選ぶと、春夏らしい軽やかさに。 足元は黒で引き締めても、白で抜けをつくっても。

合わせる色によって、 印象がやわらかくもカジュアルにも変わります。

身長161cm/Fサイズ着用
<着用アイテム>
和紙コットン スムースニットカーディガン ¥38,500(FACTORY)
ベルギーリネン シャツカーディガン ¥25,300(FACTORY)

セージは、黒とも相性がいいカラーです。 淡いトーンの中にほどよい締まりが生まれ、 重たくなりすぎません。 足元は軽さのあるスニーカーで抜けをつくると、 黒のトップスを合わせたときも軽やかに見えます。

〈O2〉× FACTORY
ハカマバルーンパンツ 各¥23,100(税込)

  • 〈O2〉× FACTORY ハカマバルーンパンツ セージ

    セージ

  • 〈O2〉× FACTORY ハカマバルーンパンツ ブラック

    ブラック