もともとは、糸井が愛用していたことから社内に広がった 「mont-bell(モンベル)」の折り畳み傘。 「これ、すごくいいんだよ」と教えてもらい、 「生活のたのしみ展」にご出店いただいたのがはじまりでした。 3日間で500本以上売れるという勢いに、 私たちも驚いたことを覚えています。 それからというもの、社内でも愛用者が続出し、 「3本、4本持っている」という人もいるほどに。 (※モンベルの傘を愛用している ほぼ日乗組員3名による座談会もどうぞ。)
これまでに〈O2〉別注カラーで 「トラベルアンブレラ」を2度つくっていただきましたが、 3度目となる今回は、 はじめての晴雨兼用モデル 「トラベル 2-Way アンブレラ 50」を、 これまでと同じグレージュカラーでお願いしました。 雨の日も、晴れの日も。 毎日の相棒になる一本です。
mont-bellの設楽(しだら)さんと古館(ふるだて)さんに スペックやお手入れ方法についてお話をうかがいましたので、 その内容をお届けします。
雨も、強い日差しも。一本で。
─ 今回の「トラベル 2-Way アンブレラ 50」は、 裏にサンブロック生地が張られていて、 広げると裏が黒いんですね。
設楽 そうなんです。 表は軽くて丈夫なポリエステル生地、 裏はサンブロック生地でしっかり遮光しています。 雨を防ぐ層と光を防ぐ層の“合わせ技”ですね。
─ 裏地がついていることもあり、 これまでのシリーズと比べると やや生地は厚めでしょうか。
設楽 そうですね。 従来は10デニールの糸で織っていましたが、 今回はもう少し太い20デニールに。 そのぶん耐久性はあがっています。 あと、前回の別注と同じグレージュカラーですが、 糸が太くなったぶん、ややグレーみが強くなっています。
─ 重量もすこし増えてはいますけど、 それでもとっても軽い。
設楽 これまでがLサイズの卵と同等の約90gだったところ、 今回は約130g。 糸が太くなったことに加えて、 裏面にサンブロックのコーティングを施しているぶん、 少しだけ重くなっています。 それでも、機能が増えたうえで 約40g増に収まっているので、 十分軽い仕上がりだと思います。 晴雨兼用になったことで、 ほぼ毎日持てることを想定すると、 多少重くなっても耐久性を優先しています。 「軽くてすぐへたる」より、 「少し重くても長く使える」ほうが、 結果的に相棒になりますから。
─ 紫外線遮へい率はいかがでしょう?
古館 99.7%です。
─ ほぼ100%! これだけ薄くて軽い生地で そこまで遮ってくれるのはすごいですね。
生地の話。
─ 表地は「軽くて丈夫」ということですが、 生地についてもう少し詳しく聞かせてください。
設楽 軽さと強度を両立したポリエステルの生地を使っています。 水をはじきやすい、疎水性の高い素材です。 薄手でありながら、日常使いにも十分な強度があります。 それを、リップストップ加工しています。
─ リップストップ?
設楽 格子状に糸を織り込むことで、 穴が開いても裂けが広がりにくいんです。 “裂けるのを止める”という意味で、 リップストップと言います。
古館 アウトドア用品ではよく使われる加工です。 傘でも、風や引っかけによるダメージを 最小限に抑えるために入れています。
─ もしも穴が開いてしまっても、 大きな心配はいらないんですね。
設楽 そうですね。 ただ、店舗にお持ちいただければ 生地を替えることもできますし、 穴埋めなどの補修にも対応しています。
─ 頼もしいですね。 mont-bellさんの傘は、 お直ししながら長く使えるところも魅力です。
古館 骨の修理もできますし、 グリップなどのパーツ単体での販売もしています。 “だめになったら使い捨て”ではなく、 できるだけ長く使ってほしいですから。
山から街へ、そしてまた山へ。
─ もともと晴雨兼用のモデルは、 mont-bellさんではいつ頃からあるんですか?
設楽 最初は雨傘からスタートしたのですが、 その後、日傘の需要が出てきて、 「だったら兼用で使えたほうがいいよね」という社内の声から、 晴雨兼用が生まれました。
─ アウトドアでも、傘を使う場面はあるのでしょうか。
設楽 ありますね。たとえばキャンプ。 急に雨が降ってきたときに、 さっと広げられると楽です。
─ レインウエアを出して着るよりも、効率的ですね
設楽 標高の低い山や平地のハイキングコースでも便利です。 樹林帯に入ると雨脚が弱まることもあるので、 ちょっとした雨ならとりあえず傘をさすだけでいい。 山を下りたあと、 そのままバス停や公共交通機関で使えるのもいいですね。
─ もっと過酷なアウトドアの場合でも、 使う機会はあるのでしょうか。
古館 今回の「トラベル 2-Way アンブレラ 50」は 名前のとおり旅行などに適しているので、 そこまで本格的な場面での使用は推奨していませんが、 晴雨兼用傘のアウトドアでの立ち位置の話をすると、 タフな場面でも使われる人が多くなっていますね。
─ 変化が起きているんですね。
古館 本来、「岩場では両手が空いているほうが安全」 というセオリーがあるのですが、 最近は日差しが強すぎるんです。
─ 傘をささざるを得ない、という感じでしょうか。
古館 そうですね。 森林限界という言葉があって、 だいたい標高2300メートルくらいを超えると、 大きな木が生えなくなります。 つまり、遮るものが何もない。 近年の真夏の稜線は、本当にカンカン照りなんです。 だから、雨も日差しも防げる 一本の価値が大きくなっています。 ただ、岩場では両手が空いていないと危険ですので、 歩行時の使用は避けてください。
長く愛用するためのメンテナンス。
─ 長く愛用するために、 使い方のアドバイスなどがあれば教えてください。
設楽 濡れたら乾かす、が基本ですが、 一番多いトラブルは、いきなりバッと開いて 骨が折れてしまうことですね。
─ すみません、 バッと開くの、やりがちです‥‥。
古館 広げる際は、 まずシャフト(中棒)を伸ばしてから、 すべての関節を伸ばしてあげてください。 この一手間で、骨折れは防げますよ。
─ 少し落ち着いて扱う、ですね。 収納時のアドバイスなどもありますか。
古館 今回の傘は、マジックテープが生地を擦ると、 遮光コーティングを傷つける可能性があるので、 専用カバーに入れるときは、 きちんとテープを留めてからしまうのがいいですね。
─ とにかく丁寧に扱ってあげることですね。 表地は撥水性がありますが、 その機能を長持ちさせるコツはありますか。 やっぱり、撥水スプレーがいいのでしょうか。
古館 撥水加工は、 表面にとても細かい“毛”のようなものが 立っている状態だと考えてください。 この“毛”のようなものは、 生地表面の「撥水基」と呼ばれる部分で、 よく“草原の木”に例えるんですが、 木が均一に立っていれば、水は地面に届きません。 でも、その木が寝てしまうと、水が入り込む。
─ なるほど。 寝てしまうのは、経年変化などが原因ですか。
古館 それもありますが、 人の皮脂や日焼け止めクリーム、 排気ガスなどの油分や汚れでも起こります。 撥水性が落ちたように見えて、 実は表面が汚れているだけ、ということも多いです。
─ じゃあ、使えば使うほど 汚れが溜まっていってしまうのでは‥‥。
古館 そのとおり。 でも、解決策はあります。 傘を開いて、汚れが付着した生地に 水かぬるま湯をかけ、 スポンジなどでやさしく洗ってください。 汚れがひどい場合は、 スポンジに中性洗剤を含ませていただいても大丈夫です。 その際は、洗剤の成分が残らないように、 しっかりと洗い流してください。 また、もっと手軽な方法として、 ぬるま湯を含ませた布で表面をやさしく拭くだけでも、 「撥水基」が立ち直ってくれる場合もあります。
─ 意外でした! ぬるま湯で拭いたら、 撥水が取れてしまうのかと思っていました。
古館 むしろ傘にとってはやさしいケアです。 それでも水を弾かない場合は、 撥水スプレーをしてあげてください。
─ mont-bellさんでも売っていますよね。
古館 あります。 ただ、スプレーは吹きかけるだけで終わりではなく、 その後にドライヤーを当てるまでがセットです。
─ ドライヤー、意外です。
古館 撥水剤は、熱を与えることで定着するんです。 スプレー後の生乾きの状態で、 少し離れた位置から温風をまんべんなく当てるだけ。
─ 初めて聞くお手入れ方法です。 どれくらいの頻度でやってあげるのがおすすめですか。
古館 毎回やる必要はありません。 気になったときで十分です。 「最近、弾かなくなったな」と感じたタイミングで。 少し手をかけてあげるだけで、 ぐっと長持ちしますよ。
─ これまでに使っていたmont-bellの傘も 一度きちんとお手入れしてみようと思います。 本日はありがとうございました!
mont-bell ×〈O2〉
トラベル 2-Way アンブレラ 50
¥7,150(税込)
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グレージュ