うーんと!きれいなチノパンとデニムができました。

WESTOVERALLS 大貫達正さん

予告02

「穿いたときの美しさ」を追求するジーンズブランド、
WESTOVERALLS(ウエストオーバーオールズ)。
そのデザイナー大貫達正さんが、
〈O2〉のために特別にデザインしてくださったのは、
どんなスタイルにも合わせやすい、チノパンです。
TOBICHIでの試着受注会でも好評で、
穿いたときのシルエットが美しく、
「仕事に履いていけるかも」と
おっしゃる方もいたくらいでした。
このチノパン、ふつうのチノとは、
いったいどこが違うんでしょう?

また、〈O2〉では定番となった「801Sデニム」に、
今季は新色「リジッド」が登場します。
それぞれの特徴について、大貫さんに
くわしくお話をうかがいました。

大貫 達正(おおぬき たっせい)

フリーランス デザイナー。
小学生のころからヴィンテージ古着に興味を持ち、
アメリカやイギリス、フランスの古着を中心に
販売からバイヤー、ショップディレクションまで
幅広く携わる。
現在はフリーランスとして「HELLY HANSEN」の
クリエイティブアドバイザーをつとめるほか、
「HELLY HANSEN R.M.C」「OLDMAN'S TAILOR」そして
「WESTOVERALLS」の企画ディレクションを手がける。

万人に合う、にいつわりなし。

――
〈O2〉ではこれまで、ウエストオーバーオールズの
801Sデニムや806Tコーデュロイを
お取り扱いさせていただいていましたが、
今回、はじめてのコラボレーションが叶いました。
ほぼ日のTOBICHIでおこなってきた体験+販売会では、
ジーンズのシルエットがすごく好評でしたので、
このきれいなかたちを生かして何かできないかなと、
大貫さんに相談させていただいたところから
スタートしました。
大貫
ありがとうございます。
〈O2〉だけのとくべつなもの‥‥と考えていたら、
まだうちでもやっていなかった、
チノパンがいいんじゃないかなってひらめいて。
ジーンズにならぶベーシックなパンツで、
だれもが穿きやすい。
――
ありそうで、ほかにはないチノパンになりましたよね。
ふつうっぽく見えて、大貫さんがパンツにかけてきた
思いやこだわりがつまった一本になりました。
大貫
やっぱりシルエットは見てほしいところ。
WESTOVERALLSの801Sデニムと同じように、
おしり回りはゆったりさせながら、
膝に角が出来ないように、
すそにかけてテーパードしています。

▲ヴィンテージライクなジーンズの多くは、
「赤耳」と呼ばれるセルビッジ(生地の端)を
アウトシーム(外がわの縫い目)に用いており、
そのため人間の脚のかたちに対して、
ややラインが不自然になってしまいます。
ウエストオーバーオールズではあえてセルビッジを使わず、
穿いたときにシルエットがきれいに出るようにしています。

――
このきれいなラインは大貫さんが
人の体の出ているところ、引っ込んでいるところの
データをとって導き出したパターンですよね。
穿くとすっきり見えるので、
ほぼ日の乗組員のあいだでも、
「これいいよ!」とおすすめしあっている場面を
何度か目撃するくらいでした。 
それが今回のチノパンにも採用されていると。
大貫
ええ。
そもそもチノパンって1930年代以降につくられたもので、
米軍で採用されていた「41カーキ」「43カーキ」と言われる
パンツが源流なんですが、それら古きよき時代の
デザイン要素をミックスさせてつくりました。
サイドからカーブしているスラッシュポケットは
残しつつアップデートさせています。
チノパンは本来、ウエストベルトの裏に
別布を縫い付けられているのですが、
それをオリジナルゴムにしているところがうちらしい仕様です。
――
定番のジーンズと同じく、ウエストオーバーオールズの
“顔”ともいえるデザインですよね。
大貫
ほかにも、前開き部分は本来であればボタンなんですが、
それだと時間がかかるので、
さっと穿けるジッパーに変えています。
フロントのボタンもビンテージ加工をほどこして、
味のある雰囲気にしています。
本来ここは樹脂のボタンを縫い付けるのですが、
あえて、金具で打ち込んでつける、
メタルのタックボタンを使いました。
糸でつけるボタンだと、
どうしても着用していくうちに強度が弱まっていきますが、
タックボタンは頑丈だし、スムーズにかけ外しができます。
――
より脱ぎ穿きしやすくなっているんですね。
大貫
細かいところですが、
シルエットがきれいに見えるよう
裾のしまつにも心をくだいています。
本来だと三つ折りになっているものが多いのですが、
裾にかけて細くなるテーパードの形なので、
裾を三つ折りにしてステッチをかけると
生地がつってしまい、きれいに仕上がりません。
そこで、あえて裾口の裏の幅に合わせた
見返し布を付けています。
――
折り返しでなくて、べつのパーツで見返しをつけている。
はぁーっ、シルエットをうつくしく見せるためにそこまで。
大貫
そうですね。
手間はかかりますが、細部のつみかさねが
全体の見えかたにかかわってきますから。
――
生地はちょっと光沢があって、
さわってみるとコシがある感じです。
大貫
厳密には単糸で織ったチノクロスでなく、
2本の糸を撚って1本にした双糸で織った
ウエポン(ウエストポイント)生地ですが、
ぎゅっと度がつまって
生地の表面がきめ細かいから光沢があるんです。
ミリタリーっぽくもっと肉厚で頑強な生地もありますが、
ほどよい厚みとコシのつよさがちょうどいいバランスで、
通年穿いていただけます。
――
色も、どんな服にも合いそうなやさしいベージュ。
黄味が濃すぎることもなく、白っぽく薄くもなく。
大貫
ええ。
赤っぽくしたり、カーキによせたチノパンも多いんですが、
これは色で主張しない“ザ・スタンダード”なベージュ。
年齢も性別もスタイルも問わず穿けると思います。
――
何にでも合うと思いますが、
どんな着こなしがおすすめですか?
大貫
チノパンにマリンボーダーのシャツ!
もうこれは、定番ですね。
きれいめなジャケットでもいい。
みなさんが想像するチノパンっていう感覚じゃなく
穿けると思います。
――
チノパンというと、
カジュアル代表のパンツってイメージがありますが、
スラックス感覚ではけそうな上品さがありますよね。
大貫
それでいてスラックスほどかしこまらないし、
ほんのり光沢があってドレッシーですし、
きゅうくつさがなくて穿きやすい。
穿く回数をかさねていくうちに生地がやわらかく
クタリとしてくるのもたのしんでもらえたら。

ジーンズのあたらしいなかま

――
WESTOVERALLSの801Sデニムは、
〈O2〉では定番となりました。
この春は、あらたに「リジッド」が仲間入りします。
リジッドとは、水洗いを含めた加工が
いっさい施されていないデニムという意味ですが、
リジッドだからこそのよさってどんなことなんでしょう。
大貫
リジッドって糊がついているんですね。
ワンウォッシュだと洗って糊をおとして
やわらかくなっているんですが、
リジッドは糊がついているからちょっとかたい。
そのぶん型くずれしにくいので、
シルエットがよりきれいに出ます。
――
すとんと下に落ちるような。
大貫
はい。色も濃くのこっているので、
洗いをかけたデニムに比べて上品な印象です。
ジーンズ特有の綾目も、よりはっきり見えます。
ジャケットをはおったスタイルとかにも合いやすいですね。

▲左からナチュラル、ワンウォッシュ、リジッド。

――
ここ最近お店でみかけるデニムだと、
ワンウォッシュのほうが
多いような気がしますがどうなんでしょう。
大貫
そうですよね。ジーンズメーカー、それこそ
リーバイスとかリーではリジッドを展開していますが、
規模の大きなアパレルメーカーでは、
購入された方がご家庭で洗濯したときに
縮んだり色落ちしやすいという特徴もあるので、
それを避けるために
ワンウォッシュで仕上げることが多いです。
でも、イチから自分で育てるジーンズが好きという方や、
洗い加工したものにはない風合いを求める人には
根強い人気があります。
――
リジッドっていうと、
ビンテージのリーバイスのようにもっと色が濃い、
濃紺のイメージがありました。
大貫
うちのは、従来のリジッドに比べると青みがつよい。
デニムの発祥とされている
フランスのニームから着想を得ているんですが、
たぶんこういう色合いのリジッドは
ここ日本ではほかにないと思います。
――
リジッドのジーンズって、
洗わないほうがいいと聞いたこともありますが‥‥。
大貫
そういう考えもありますが、ぼくはガンガン洗います。
やっぱり汚れるので(笑)。
洗濯すると少しずつ色抜けしていきますが、
それも味としてみとめてもらえたらうれしいです。
――
リジッドも洗っていいんですね。
でも、洗ったあとの縮みも気になるところ。
WESTOVERALLSのリジッドを選ぶときは、
ジャストよりちょっと大きめを選んだほうがいいんですか?
大貫
最新のスルザー織機で織っているので、
むかしみたいに縮みとかねじれってほぼないです。
ただ、洗濯や乾燥方法によって多少なりとも
縮みが出ることもあるので、
1サイズアップぐらいを選ぶと安心ですが、
個人的には、なるべくジャストで
穿いてもらえたらって思ってます。
――
洗ったあとに糊づけしたほうがいいですか?
大貫
無理にしなくてもいいと思いますが、
デニム用洗剤というものが最近でているので、
それで洗うと色止め効果があって、
少し糊がきいてかたくなります。
あと、アイロン用の糊づけスプレーってあるじゃないですか。
――
シュッシュッとするだけで
糊付けできるもの、ありますよね。
大貫
普通に洗濯したあとに、
そういうひと手間を加えて、都度アイロンをかければ
パリッとした感じはキープできて、
きれいに穿けるとおもいますよ。
――
いままで穿いてきたウォッシュジーンズとは違うものとして、
あたらしい穿き方ができそうな気がします。
合わせる靴も変わってきそう。
大貫
革靴にも合いますよ。
最初から脚になじむワンウォッシュのよさもありますが、
リジッドならではの穿きジワの寄り方、
アタリの出方があって、穿いていくと
自分だけの一本になっていき愛着がわくと思います。
――
さっそくワードローブに加えたくなりました。
ありがとうございました!

(おわりです)

シェアする