〈O2〉なロンＴをつくる　レディス篇 からだのなかで細くなっているところを出すと、 女らしく見えるんです。

ロンＴも、半袖とおなじ生地でやりたかった

――

春夏でつくっていただいた半袖Ｔシャツがとても好評で、
また宇和川さんにお願いしようということになりました。

宇和川

ありがとうございます。
うれしいです。

――

「生地は前回とおなじロータスで」と、
こちらからお願いしたのですが、
そのへん、宇和川さんとしてはいかがでしたか？

宇和川

わたしもロータスが気に入っていたので、
つづけておなじ生地でやりたかったんです。
だから、それが叶って「やった！」っていう感じでした。

――

あらためて見たりさわったりしてみても、
とてもいい生地ですよね。

宇和川

着ごこちがよくて、洗濯してもかたちがくずれないし、
光沢感も変わらないままで、すごく質がいいと思います。

――

半袖Ｔシャツはご自分でも着ていらっしゃいましたか？

宇和川

はい、この夏ずっと愛用していました。

――

それはよかった。
そのロータスでロンＴをつくることにしたわけですが、
実は女性って、ロンＴをあんまり着ない印象がありまして。

宇和川

あ、ですよね。

――

どうせやるなら、「女の人が着たくなるロンＴ」を
テーマにしようということになりました。
宇和川さんが出してくださった答えは‥‥

細いところを出すと、女らしく見える

宇和川

はい、手首がかくれるフルの長袖だと、
スポーティーになりすぎてしまう気がして、
手首が出る、８分くらいの袖丈を提案しました。

――

手首が出るのがポイントですか？

宇和川

手首や足首、それに首もそうですが、女性って、
からだのなかで細くなっているところが出ていると、
より女らしく見えると思うんです。

――

ああ、なるほど！
へえ、そういうものなのかぁ。

宇和川

逆にいうと、女性らしく見えるところを出す、
ということです。
そうするとスポーティな印象がうすまって、
レディスっぽく着られるんです。

――

いま、すごく納得しました。
袖以外は半袖の「ベーシックＴシャツ」から
変えていない気がするんですが、どうですか？

宇和川

そうですね、変えていません。
ありがたいことに半袖Ｔシャツの評判が
とてもいいとうかがっていたので、
おなじシリーズとしてやれたらと思いました。

――

「ベーシックＴシャツ」の
長袖バージョンということですね。
襟ぐりの開きぐあいもおなじですか？

宇和川

はい、半袖をつくったときに、
たくさん試して決めた襟ぐりだったので、
そこは変えていません。

――

あえて変えないことで、
襟ぐりがこのロータス生地を使ったシリーズの
目印になりそうですよね。

宇和川

そうなってもらえたらうれしいです。

ブラウス感のあるロンＴ

――

でも、袖が長くなるだけでも、別物というか、
半袖とはだいぶ印象がちがっています。

宇和川

なんか、ブラウス感がありますよね。

――

あっ、「ブラウス感」っていいですね。
たしかに、そんな感じがします。

宇和川

袖丈とか襟ぐりの女性らしさとか、
あとは襟が共地になっているせいで、
くしゅくしゅっと微妙にシワが寄ったりするのも、
ブラウスっぽく見える理由かもしれないです。

秋吉

そういえば、細かいところですけど、
袖の折り返しを半袖より１センチ長くとっています。
もともとシャツのカフスのようなつもりで、
折り返しを太くしていましたが、
より外着としての印象がつよまるように、
幅を４センチから５センチに変えています。

――

ほんとだ。
さりげないけど、ちょっと見えかたが変わりますね。

宇和川

目にとまるアクセントになるかなと思います。

女性が着たくなるスウェットをつくろう

――

実は今回、もう１つデザインを
提案してくださったんですよね。

宇和川

はい、最終的にスウェットになったほうで、
こちらは襟のうしろにスリットを入れることで
首が長く見えるようにして、
女性的な雰囲気が引き立つようにしました。
首もとを見せて、ちょっとドキッとさせるというか。

――

チラリズムみたいな（笑）

宇和川

そうです（笑）
もともとは、手首を見せるロンＴと、首を見せるロンＴ、
その２つを提案させていただいたつもりでした。

――

ああ、そうかそうか、そういうことだったんですね。

宇和川

さいしょは、どっちをえらぶかという話だったんですけど、
相談させていただいているうちに、
こっちはスウェットにしたらいいんじゃないかって、
みなさんがおっしゃってくださって。

――

宇和川さんのデザイン画を拝見したとき、
こういうデザインなら、積極的に着たくなる、
「新定番」のスウェットが
つくれるんじゃないかと思ったんです。

宇和川

そういえば、スウェットってベーシックなアイテムなのに、
すてきに着こなすのがむずかしいですよね。
ラフに着ると、ふだん着感が出すぎちゃう。

――

ロンＴとおなじで、女性が着たくなる
スウェットとかトレーナーって、あんまりないから、
それができたら、よろこばれるんじゃないかと思いました。

宇和川

当初のデザインでは袖丈を長くしていたんですけど、
ロンＴとおなじように、手首が出る長さに変えたので、
より女性が着やすくなったんじゃないかなと思います。

――

素材も、いろいろ検討した結果、
表糸にロンＴとおなじロータスを使うことにしました。

宇和川

ロータスを使うと、スウェットにしたときでも
ほんのりツヤ感が出て、品がよくなりますね。
きれいな着こなしにも合いそうです。
ボリューミーになりすぎないように薄手に仕上げたので、
使いやすいアイテムができたと思います。

――

ご自分でも着そうですか？

宇和川

はい、着たいです！
いまの気分で着るならベージュかな。
ベージュがマイブームなので（笑）

袖丈が１センチちがうだけで変わってしまう

――

“宇和川さんとニコイチ”の秋吉さんは、
今回やってみてどうでしたか？

秋吉

むずかしいなあと思いました。
８分袖のロンＴのほうは、
半袖よりも袖の丈感がむずかしくて、
１センチちがうだけでも全体のバランスが
まったく変わってきてしまうので気をつかいました。

――

１センチで！
袖丈を何センチにするかというのは、
経験から判断しているものなんですか？

秋吉

おそらくこれくらいかなというのはあるんですが、
宇和川の好みの長さというのもあるので、
それも考えながら落としどころを見つける感じです。

宇和川

いい塩梅で、と言うのは簡単ですが、
いざ決めるとなるとすごくむずかしいです。
袖幅とのバランスも考えなければいけませんし。

秋吉

スウェットのほうは、袖丈もそうですが
袖口のリブをどれぐらい絞るのか、
かなり試行錯誤しています。

――

しまるようにするか、ゆるめにするかで、
だいぶ雰囲気が変わりますよね。

宇和川

ここは、最後のさいごまで調整を入れました。

秋吉

うしろの首もとに入れたスリットの深さも悩みました。
最初は７センチくらいだったんですが、
深すぎたので最終的には４センチくらいにしています。

宇和川

いやらしく見えず、女性らしい品が出せたと思います。

――

ロンＴとスウェット、２つとも、
納得のいくものができあがりました‥‥よね？（笑）

宇和川
秋吉

はい！

――

よかった。
本日はどうもありがとうございました！

（おわりです）