乗組員やえの疑問

工事現場の看板に高さ470mとありました。
634mの間違いでは?

スカイツリーおじさんの解説

よく工事現場で見かける「お知らせ看板」ですね。
これは、近くにお住まいのみなさんへ
その工事がどういう計画なのかを
あらかじめお知らせする看板で、
条例で設置することが義務づけられています。

東京スカイツリーの「お知らせ看板」は、
かっこ書きで「最高高さ634.00m」と
書かれているものの
確かに高さは「470.970m」になっています。

はじめに疑惑を晴らしておくと、
東京スカイツリーは、
「建築物」としての高さは
「470.970m」で、正しいです!
この高さのマジックは、
「建築物」と「工作物」の違いによるものなんです。

建築基準法という法律の話になるので、
少しややこしくなるのですが、
同法で「建築物」は次のように定義されています。

「土地に定着する工作物のうち、
 屋根及び柱若しくは壁を有するもの
 (これに類する構造のものを含む。)」
※ややこしいので、以下に続く文言は割愛しますね。

つまり「建築物」は「工作物」のいちジャンルなのです。
一方、同法の中で、
煙突、広告塔、高架水槽、擁壁(ようへき)、
ウォーターシュート、飛行塔を、
代表的な、建築物でない「工作物」としてあげています。
みなさんがよく見る高圧線の鉄塔なども、
建築基準法では「工作物」という扱いになります。

わかりやすく言いかえると、日常的に
人が入れるものは「建築物」、
人が入れないものは「工作物」と、
ザックリとらえてもいいかと思います。

東京スカイツリーの場合、
内側の、屋根、壁があるような部分=「建築物」と、
外側から頂部までの鉄塔部分=「工作物」があります。

「建築物」として一番高いところは
第2展望台上部で、
約470mの高さです。
外側の「工作物」区分で一番高いのは
タワー最頂部の634mで、
これを現したのが、
お知らせ看板の書き方になったわけです。

絵にすると、こんな感じです。

ちなみに、お知らせ看板ではこうなっているのですが、
計画書としては、内側も外側もひとつとしてとらえた、
一体的な建物ということで申請されています。

634mなのに470mと記される
マジックのタネは法律にあり、でした。

そうそう、最近、現場周辺は、写真に撮る人や
東京スカイツリーを見上げる人たちで、
人だかりができています。
ゴールデンウィークになりましたし、
全国からたくさんのかたが見に来てくださっています。
東京スカイツリーに対する期待が伝わってきて、
とてもうれしいです。
見物されるかたは、
事故などが起きるとあぶないですから、
交通マナーには十分注意してくださいね。
線路北側には見学広場もできていますので
ぜひご利用ください。

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2010-05-04-TUE