猫は、かわいいのだから。中川翔子さん×友森玲子さん×糸井重里
第4回猫族の出会いは突然。
中川 いまうちにいるショコラという子も、
Twitterで情報を見たことがきっかけで
もらってきた猫です。
あのときは、北海道の江差保健所まで
引き取りに行きました。
江差、空港から遠かった
保健所には、Twitterで情報出てた子だけじゃなく
ほかの猫も保護されていて、
「いまからこの子たちも
 処分になりますけど、どうしますか」
って言われたんです。
糸井 保健所の人も、わかってるんだ。
中川 「そんな‥‥もらいますよ」
ということになって。
友森 置いて帰れないですもんね。
糸井 処分する場所にいる人たちも、ほとんどが
動物を好きだから、
その仕事をしているわけですよね。
にゃんこーずが解説するよ!
東京都動物愛護相談センターには
約60人の職員さんが所属しているのニャが、
そのうち37名が獣医さんなのジャス。
中川 「この子もいまから処分なんですけど、
 どうですか?」
と私に言ってくれたってことは、
そのひと言で、状況を知らせることが
できるからですよね。
つまり、その保健所の人が
「なんとかしたい」という気持ちが
あったからですよね。
糸井 そうだね。
友森 連れて行ってほしいから、言ったのよ。
中川 そんな情報すら出てない子は
1時間、違ってたら
処分しちゃってたんだそうです。
糸井 いまは自分で情報を見て
そういうことができるかもしれないけど、
子どものときは、動物の保護はできないですよね。
どうしてたんですか?
中川 子どもの頃はネットもないし、
よくわからないので、
近所に捨てられてる子を拾ったり、
「猫もらってくれませんか」
という貼り紙を見たりしてました。
病院にもそういうお知らせがあったし。
糸井 そういう貼り紙を、
気をつけて見てたんですか?
中川 はい。
捨て猫がいたら、もらいに行きました。
母にも特に言わず、
勝手にもらってきちゃって。
糸井 お母さんはなんて?
中川 「あ、わかった。ふぅん」「今日からこの子もね」
という感じです。
猫は常に20匹くらいいたので、
どんどん増えてきて。
友森 すごいです。
中川 里親さんに出そう、ということも
その頃から変わらず継続してやってきました。
糸井 里親探しはどうやってたの?
中川 近所の人に呼びかけてもらいました。
町内には、だいたいひとりくらい
「猫おばさん」がいるんですよ。
いま住んでるところにも猫おばさんがいて、
協力してもらっています。
子どもの頃は、猫をたくさん飼ってるということが
学校でも知られてたんで、
友だちから「飼える?」と声をかけられたりしました。
いつも「巡りあったら」「縁があったら」という
感じです。
糸井 そうか。
猫の交番みたいになってたんだね。
友森 「猫を拾ったら、中川さんちに」ってね。
中川 アルバム「9lives」の表紙になってる、
マミタスもそうでした。
高校のとき、私には
ほとんど友達がいなかったんですけど、
卒業してから
「そう言えば、猫飼ってるんでしょう」
みたいな感じで友人から連絡が来て‥‥。
糸井 友達いなかったけど、
高校卒業してから、連絡が来て(笑)。
中川 そうです(笑)。
それで、千葉の柏まで行って
5匹もらってきて
近所の公園で里親譲渡会をやりました。
変な人にもらわれてもいやだから、
ちゃんと自分たちで譲渡会をやりました。
でも、マミタスは子猫のとき
けっこう不細工だったせいで
譲渡会で残ってしまいました。
何回もやったんですけど、
マミタスだけは残ったまま。
「もう、うちで一緒に暮らす運命だね」
ということになって、かわいくなるように、
「中川魔法の天使クリィミーマミたん」
という名前にしたら、
ものすごい美女に成長されて
私を毎日起こしてくれて、
絵の具やら写真やら
プレゼントくわえてきてくれたり、
女子同志の運命スパイラルというか、
それまでの猫との出会いも
それぞれのエピソードがあるけど、
マミタスはとりわけすごく。
糸井 プレゼントをくわえてくるんだ。
中川 悩んでるときに、
いつも何かをしてくれるんです。
ブルース・リーの缶バッジを
くわえてきてくれたりとか。
友森 (笑)
にゃんこーずが解説するよ!
しょこたんは、ブルース・リーさまが
大好きなんだニョ。
中学時代、ちょっぴり引きこもり気味だった
しょこたんを救ってくれたビデオが
『ドラゴン怒りの鉄拳』であったそうなのニャ。
特技のヌンチャクを手にしはじめたのも
ブルース・リーさまの影響に
よるものだそうジャスよ。フガァーチョー!
中川 猫の絵をこんつめて描いてるときも、
マミタスが靴下をくわえて持って来てくれて、
片方だけ置いて去ってって、
意味が深すぎてわからなかったけど。
友森 (笑)
中川 履いたら、肩こり治りました。
友森 えぇ!
糸井 意味深いねぇ(笑)。
友森 「まぁ、靴下でも履きなさい」
という意味だったのかな。
糸井 「お前、冷えとるんじゃないか」と(笑)。
マミタス、おかしいね。
中川 相談すると、必ずゴロゴロ言いながら
のしかかってきてくれて、
どんなときも、助けてくれて。
マミタスとゲームしながら、
「こんなことがあったらいいね」
なんて言ってると、ほんとうに、
忘れてた頃に、それが繋がったりする。
なんだかすごく不思議なパワーを
持ってるなぁと思います。
糸井 (中川さんの新しいアルバム「9lives」を見て)
マミタスは、水晶玉みたいな猫だね。
中川 マミタスのおかげで、
猫族全体への感謝とリスペクトも、
改めて考え直すようになりました。
糸井 うん、わかる。
中川 マミタスだって、ほんの1日でも違ったら、
出会っていない。
いま飼ってる黒猫のルナもそうでした。

こんな性格の私がたまたま
CDデビューすることになって、
不忍池で撮影をしていたとき、
池のほとりにひとりのおじいさんが
座っていたのですが、
おじいさんは、黒猫の赤ちゃんと楽しんでて、
「あ、あのおじいさん、猫飼ってるんだ」
と思ってたら、その猫が私を見つけて
一目散に走ってきました。
友森 へぇ。猫が見つけたんですね。
中川 そう。振袖着てたんですけど、
駆けのぼってきました。
「もう、あんたが拾ってくれないと、
 俺、だめだからね!」
みたいな顔してくる。
そして、離れなくなっちゃったんです。
おじいさんに訊いたら「野良です」だって。
そのままいるとカラスに
やられちゃったりするから、猫も必死です。
糸井 うん、うん。
中川 それで、そんなこと言ったことないんですけど、
マネージャーさんにタクシー代をお渡しして
「お願いだから、うちに連れてってください」
友森 うん(笑)。
すごいなぁ。
中川 仕事中に猫を拾うなんて
はじめてだったんですけど、そのときも
撮影が1時間違ったら、1日でも違ったら、
という不思議な気持ちになりました。
(つづきます)
写真:小川拓洋

 2014-05-02-FRI

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