猫は、かわいいのだから。中川翔子さん×友森玲子さん×糸井重里
第2回エイズ猫はかわいい。
中川 こんなにちいさいのに、
捨ててしまう人がいるんですね。
この子たちはさいわい助かって
たくましくミルクを飲んでるから、もう大丈夫ですね。
真っ白じゃなくて、バターみたいな色が入ってる。
かわいい。ちょっと‥‥かわいすぎて‥‥
写真撮っちゃおう。
糸井 授乳行為を撮影してね。
(ニャー)
中川 笑ってる。目がブルーだ。
友森 しょこたんは、授乳経験は?
中川 何度かあります。
私の家にツクシという猫がいるんですが、
その子も、生後1ヶ月ほどで我が家に来ました。
まだミルクを与えなくてはいけない状態で‥‥。
ミルクって、何時間かおきに
あげなきゃいけないので、すごく大変ですよね。
友森 その子も、捨てられてたんですか?
中川 いえ、台風の日に母猫が
2匹の子猫をちょっとずつくわえながら
警察まで歩いてきたそうです。
糸井 母猫が?
中川 はい。そして、子どもだけを警察に置いて、
去ってったらしいです。
それで、警察では、
「どうしようか」「もう保健所にやるしかない」
ということになっていたそうですが、
私たちはその情報をもらって
1匹を我が家に迎えることになりました。
警察に運んだ母猫は、
「この子たちをここに持ってくれば大丈夫だ」
という判断をしたんでしょうね。
(糸井の授乳を見て)
あぁ、この子たちもたくましい。
ミルク飲んで、笑ってる。
さっきまでピャッピャ鳴いてたのに、
幸せでうっとりしています。
この子たちは、こうして、
人間のさじ加減で命が決まるんですね。
助かる猫たちを見て、今日は感動しました。
友森 ミルクのサイズの子猫が
愛護センターに入ると、
やっぱりたいへんみたいなんです。
職員さんは、9時〜5時で働いてるから。
糸井 うん。面倒みるのは無理だよね。
友森 昔はこういうミルク期の子が入ると
助けられないとわかってたみたいだけど、
最近は助けようという方針なようで、
しつこく携帯に電話がかかってきます。
こっちが出るまで何度も鳴ります。
糸井 すごいね。
友森 いろんな愛護団体に電話するみたいです。
「子猫が入ったんですけど」
「いま、仕事中なんだけど」
「じゃ、何時だったら来られますか?」
というようなやりとりをします。
私が行ける時間まで、センターでミルクやって
待っててくれます。
そういう努力で、子猫の殺処分数も
ちょっとずつ減ってきているんです。
中川 あぁ。すごいですね。
友森 でも、やっぱり「全部」じゃないんです。
子猫の処分件数はもともと多すぎる。
もっと減らさないと。
にゃんこーずが解説するよ!
子猫の殺処分件数は、犬や成猫に比べて
ものすごく多いんニャ。
東京都動物愛護相談センターの
平成24年度の収容・処分状況は
こちらのページで見ることができるんジャスよ。
でも、近年ずいぶん減ってきているんニャ!
糸井 友森さんのところには
老犬もいっぱいいるんですよ。
年取ってたり病気の犬は
センターでも譲渡がうまくいかなくて、
残っちゃうんだよね。
だけど、ミグノンの譲渡会では
老犬を家族に迎えてくれる人もいるね。
友森 老犬もたまに家族が決まるんですよね。
これからは、老犬を
流行らせようと思っています。
中川 老犬、味わいがありますからね。
表情もあるし、
「酸いも甘いも」知ってるから、
手間がかからないですよね。
友森 老犬の味わいをみんなにも。
糸井 流行らせる(笑)。
でも、ぼくは友森さんから影響受けて、
実際に、老犬のことが気になってきています。
友森 最近は、老犬とエイズの猫を
「推し」でいってます。
エイズ陽性の猫も、なかなかもらわれないからね。
にゃんこーずが解説するよ!
猫のエイズとは、
猫免疫不全ウィルス(FIV)感染症のことニャり。
人間や犬にはうつりませんが、
ケンカや交尾で、
猫同士の感染の可能性があるジャス。
中川 エイズの猫は、ほかの猫を飼ってると、
部屋を分けて飼わなきゃいけないですね。
友森 そうですね。
エイズの猫は、
単独で飼ってもらえればいいです。
中川 そうすれば、問題ないですもんね。
友森 「エイズの猫ほどかわいい」
みたいなことでお知らせしてたら、
けっこうみなさん申し込んでくださって、
いまうちにいるエイズ猫は、
残り1匹になりました。
中川 ほんとうですか。ああ、すごい。
エイズについて、私にはちょっと
つらい思い出があるんです。

阪神大震災のとき、
「被災者の方の猫、里親募集です」
というニュースを見て、
飛んでいったことがあったんです。
最後に残っていた猫が、
もうおじいさんになってる子で、
まるまる太っててかわいかった。
うちにつれて帰りました。

そのとき、我が家の猫たちは
外と内を行ったり来たりできるようにしていました。
先にいたほかの猫たちにもやっとなじんだかな、
と思ったときに、
その子は外でエイズをうつされて帰ってきました。
うちに来たせいでエイズになった、と
すごく反省しました。

そこから、うちではもう、すべての猫を
室内飼いするようにしました。
もちろんその猫は最後まで部屋を分けました。
それまであまりなじまず
シャーシャー言ってたのが、
すごくゴロゴロ甘えてくるようになりました。
亡くなる前、痩せちゃっても、
ちゃんと階段も降りてきて、
トイレも自分でして、すごくいい子になって、
愛をわかってる子だった。
申し訳なかった。

野良は、病気がすごく流行ってるし、
寿命が思ってた以上に短い。
2年くらいって言いますね。
友森 だいたい、平均寿命は長くて3、4年かな。
外に猫がいると癒されるという意見の人もいるし、
それはわかりますけど。
中川 うん。それは、ほんとうは違うんですね。
糸井 街も変わったよね。
土もないし、昔の形してないし。
友森 環境が過酷すぎます。
糸井 水も、昔に比べてそうとうないね。
友森 おしっこやうんちを、
コンクリートの上でしてる野良ちゃんがいるから、
野ざらしになってて
感染症も蔓延します。
本来なら、猫はきちっと
排せつ物を埋めるんですけどね。
にゃんこーずが解説するよ!
しょこたんが阪神大震災のあとに引き取った猫、
フクちゃんのことは、
『ねこのあしあと』の本に、書かれているんジャス。
フクちゃんがきっかけとなって、しょこたんは
飼い主がいなくなった猫の保護について
活動をはじめたニョだって。
(つづきます)
写真:小川拓洋

 2014-04-30-WED

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