谷川俊太郎さんの答え  ぼくの『あのひとが来て』という詩の中に、 「歓びは悲しみの息子」という一行がありますけど。 夜がなければ朝がこないように、 悲しみがなければ歓びもないんです。 でも悲しみって、 キーワードひとつで 乗り越えられるようなもんですかねえ。 乗り越えるというとなんだか山みたいだけど、 ぼくは悲しみはどちらかというと 川みたいだと思います。 身を任せて流れていくうちに、 悲しみのおかげで変わった自分に気づく。 ビフォアー悲しみに戻るんじゃなくて、 アフター悲しみの 自由で新しい自分を イメージするのもいいかも。 質問 四  大切な人との別れで深く悲しんでいるとき、 「時間が解決してくれる」と思って 必死に耐えるんだけど、 ほかにももうちょっと 悲しみを乗り越える仲間になってくれる キーワードはないでしょうか?  (ミューユー 三十四歳) 読者のみなさんからいただいた質問に、 詩人の谷川俊太郎さんから 答えが届きました。 「春休み」の期間中、全11回、連載します。 平日毎日ひとつずつ おたのしみください。