第1回 書くって決めてない人

糸井 白岩さんは、広告の勉強をしながら、
小説を書いてたんですか?
白岩 広告の勉強は、書いたあとですね。
『野ブタ。をプロデュース』を書いてから、
広告の専門学校に入ったんです。
糸井 じゃ、賞(第41回文藝賞)を取ってから、
専門学校に?
白岩 いえ、書いてから入って、
賞を取ったのは学校に入ってからです。
糸井 ああ、なるほど。で、そのまま?
白岩 結果的には、そのまま書いてます。
『野ブタ。』が出たころは、
広告代理店かなにかに
勤めたいと思ってたんですけど、
小説家としてデビューしたことで
自分の中で目指す方向がいろいろと変化して、
けっきょくは、就職せずに第二作を。
糸井 『野ブタ。』から、今度の『空に唄う』までは
どのくらいかかったんですか。
白岩 4年です。
糸井 きっと、書こうかどうしようか
迷ってたんでしょうね。
白岩 そうです(笑)。
糸井 もともと、「書く」って
決めてない人なんですよね、きっとね。
白岩 そうです、はい。そうなんです。
糸井 そういう人は意外にいるんでしょうね。
本業じゃなくって小説書いてる人って。
白岩 あの、僕自身は、これまで
あまり小説を読んでこなかったんです。
糸井 あー、おもしろいですね。
そういうのって、
昔の人が聞いたら怒るのかなあ。
白岩 そうかもしれない。
糸井 小説って、「じつは詳しい」とか、
「じつは自分でも書いてる」っていう人が
意外に、いるんですよね。
だから、油断がならない(笑)。
白岩 (笑)
糸井 あの、ほぼ日にも何度か出てもらっている
作家の保坂和志さんは、
昔、西武の社員だったんですけど、
ぼくは、その時代に仕事で会ってるんですよ。
白岩 へーー。
糸井

わりと、おとなしくその場にいる
感じの人だったんですけど、
そんな人が、資質としては作家で
じつはいろいろ考えてたんだって考えると、
なんていうんでしょう、
怖ろしいとまではいいませんけど、
おっとっと、っていうところはありますね。
その人の前での振る舞いとかがね、
その、作家として記録されてると思うと。

白岩 あー(笑)。
糸井 だからっていうと変ですけど、
作家の人って、「ほぼ日」にも、
あんまり登場してないと思いますよ。
白岩 それは、なんでしょう、
関わるのがちょっと怖い感じですか?
糸井 ああ、怖いですねぇ(笑)。
怖いというか、基本的なところで
「太刀打ちできない人」なんで。
もちろん、人によりますけどね。
でも、大きくいって、そのジャンルには
あまり触らないようにしてるかもしれない。
白岩 ああ、触んないように。そうか。
今日はめずらしい機会なんですね。
糸井 そうそう(笑)。
いや、でも、知ってる人も、
会いたい人も、多いんですけどね。
今回も、白岩さんと会いませんか
っていうお話をいただいたときに
ああ、会ってみたいなと自然に思いましたし。
とくに、若い人と会ってみたいなっていう
気持ちになったものですから。
白岩 ああ、そうですか。よかったです。
(続きます)
2009-07-21-TUE
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