日本を語る新連載、
プロローグがつづきます。
●北海道は広いから、解説は2回に分ける。
●どこで分けるかは、印象で分ける。
●北海道をパンツと見立てて穿けば
 ステッチが入っているから分かる。
が、前回までのお話でした。
プロローグ3日本はステッチだらけの国です。
みうら
ええっと、全てのものには、
ステッチが入るという話ですよね?
日本は小さい島国ですが、
ステッチがいっぱい入っています。
ステッチが47箇所入っている
ジーパンみたいなもんですよ。
日本は、1970年代半ばの人たちがよく穿いてた、
あのベルボトムのつぎはぎに似た
状態だということは、言えます。
ほぼ日
確かに日本地図は、やたらと細かい
県境のステッチが多いですね。
みうら
アメリカのステッチは大きいですよー!
大きくて、ばーんとしてるでしょ?
ほぼ日
直線ですし。
みうら
いっぽう日本は、あれだけステッチが入ってる。
ということは、つまり
「ものすごく動ける」ということなんですよ。
ひじやひざのところ、関節を曲げるから、
ステッチ入れとかないと、つるでしょう。
ほぼ日
ははは。
みうら
日本は、動きが自由なんです。
そういう国なんですよ。
岐阜県から隣の県に入るとき、
ステッチがびょーんって引っかかるでしょう。
あそこに見えないステッチがあるんですよ。
つまり、ソーイングの間をぬって
県に入らないとダメなんです。
それは、意外と
旅をしていないと、わからないと思う。
ほぼ日
ヨーロッパあたりを車や列車で旅すると、
国境がありますが。
みうら
ところが日本はステッチですからね。
どうソーイングするかということですよ。
ほぼ日
みうらさんは、旅の移動は
電車派でいらっしゃいますか?
みうら
やっぱり電車がよろしいですね。
飛行機は便利ですが、
ステッチを上から見ることになるわけです。
ぼくのような体験派としては、
新幹線がある県をそれぞれ
「チューン、チューン」と
抜けていく感じがいいんですよ。
ほぼ日
ははあ。
みうら
そうすると「ああ通過した!」って
気づくでしょう。
通過したことを
気づくか気づかないかの違い、

大きいんですよ。
人の成長だって、同じことです。
成長の過程で、ときに
「あ、これは通過した」と
言うことがあるでしょう。
それは、上で見てたらさ、やっぱり
自分が通過できなくなるじゃありませんか。
ほぼ日
‥‥なるほど。
上からだと、分析のように
「ふーん」と見るだけで。
みうら
うん、そうなっちゃうじゃないですか。
痛みとか
そんなことじゃなくなっちゃいますからね。
それに、新幹線で移動すると、
不思議なことに
何回乗っても
覚えられない風景

つづくでしょ。
ほぼ日
ふははははは。
みうら
何回、もう何十回、何百回乗ったか
しれないのに、
いつまでたっても覚えられない
看板やら原っぱやらがあるんですよ。
ひとつの看板を憶えていても、前後が
もうひとつつながってなかったりするでしょ。
あの部分がステッチです。
ほぼ日
そうなんですか。
みうら
あれを完璧に憶えない限りは、
真の旅人とは、言えないかもしれない。
ほぼ日
‥‥なるほど。
今回のお話をノーカットでごらんになりたい方は、
ほぼ打ち合わせ調のムードになっておりますが、
下の動画でどうぞおたのしみください。

旅はステッチを感じること、
ステッチの通過を肌で感じて
誰にも何にも頼らずに
我がものにすることが大事です。
プロローグは木曜につづきます。
2007-07-24-TUE