10代、20代のみなさん、あなたの悩み、教えてください。 10代、20代のみなさん、あなたの悩み、教えてください。
しいたけ.青春の悩み相談室。

「しいたけ占い」などで人気の
占い師・作家のしいたけ.さんによる、
ざっくばらんな悩み相談室です。
みなさんからの青春の悩み相談と、
しいたけ.さんのお返事を、
毎回ひとつずつご紹介していきます。

青春の悩み 10
友達がたくさんいないことが
恥ずかしい。

送ってくれたひと

まる 38歳 女
1982/02/28生まれ

しいたけ.さんへの相談

私はもうすっかり青春から遠くなってしまいました。
でも、ずっと気になっていて、
誰かに相談したかったことがあったんです。

友達が多くなく、そんな自分が恥ずかしかった覚えがあります。

はずかしいことではない、
合う合わないはあるものだから、
とわかってはいても、
こう、大勢の中でぽつんとしている自分が
航空写真みたいにイメージできて、
よくしょんぼりしてました。

どうして、たくさんの友達に囲まれていないと、
自分は恥ずかしい、と思ってしまうのでしょうか‥‥。

いまはその気持ちは薄まりましたが、
答えはわからないままです。
しいたけ.さん、どうぞよろしくお願いします。

私のマイブーム

ピザトーストにはまっています。
ピザソースとピーマンとチーズとマッシュルームです。
ぽくぽくとした食感にはまり、
毎日もくもくと食べています。
ちなみにマッシュルームは、切らずに
手で4等分にしてたくさんのせるのが
いまのお気に入りです。

しいたけ.さんからの答え

僕の師匠であり、大切なお友達でもある
名越康文先生があるとき
「旅をする外国の人の目は未来に向いていて、
日本人の目は過去に向いている」
と言ってたんです。
聞いたとき、僕もすごくびっくりしたのですが、
どういうことかを説明しますね。

いま、日本には外国の人たちが観光に来ることが
めずらしくなくなったじゃないですか。
そういう人たちって、見ていると
「異様に楽しそう」なんですね。
大人でも子どもみたいな顔つきで、未来に向かって
「この旅行を100%楽しもう」としている雰囲気がある。

逆に日本の人たちの場合は、
おそらく全員じゃないだろうけど、
旅をするときに「過去」を思い出していることが
わりと多いと思うのです。
日本人は、旅という行為に
「過去を整理し、清算して未来へ向かう」
という意味をこめたりもするでしょう?
まるさんのお便りを読んで、
僕は名越先生のその話を思い出したのです。

そして、ここから先は僕の暴論ですが、
過去への興味が強い日本の人たちは、
少し「友達」を神聖化しすぎる傾向があると思うのです。
その傾向は僕にもあるんですけれども。

日本はSNSなどで、毎年桜の写真を
「あなたと同じものを見ているよ」と伝えあう、
同調性がかなり強い文化です。
そういう日本の人にとっての「友達」は、
ただ一緒に過ごす人というだけでなく
「変わらなかった頃の自分、
そして、あの頃すごく頑張って、変わった自分の見届け人」
でもある。
日本の人たちは、そういう
「過去を共有し合える存在」としての友達を、
すごく大事にしていると思うんです。

でも何か、最近ちょっと僕自身、
「友達」に対する考え方が変わってきたのです。
過去を共有し合える存在としての友達も
とても大切なのですが、各友達に
「外国の人たちが旅をするように、勝手に楽しんでほしい」
と勝手に願うようになりました。
また僕自身もそういう、勝手にはみ出して
「いま、ここで楽しむぜ!」という姿勢が
必要なんじゃないかと思っているのです。

だからなんとなく、お節介ながら、
まるさんにもいま、外国人観光客のような目が
もっと必要なんじゃないかと思いました。

たとえばピザトースト研究会から、
新しい友達を作るとか。
100人中99人が「ふーん」と言うかもしれませんが、
ひとり「ピザトースト!?」という人がいたりするから。
未来を向いて、自分の好きや熱狂を、愛を持って耕し続け、
同じぐらいの愛を持った人に届けることをたのしむ。
友達について、そんな存在として考えてみたら
どうかなと思いました。

機会があったら、外国人観光客たちの楽しそうな目を
マジマジと見てみるのもいいかもしれません。

(第1シーズンは今日でおしまい。
ご愛読ありがとうございました。
しいたけさんへのお便りは、
引き続き受け付けています。
次回もどうぞ、おたのしみに!)

2020-03-05-THU

イラスト:死後くん