もしもタイムマシーンがあったら その1

(前回までの、もしもの世界)
前回、インコになりきった
関根さんの妄想の力で、
第3の「もしも」の世界に
行ってみたいと思います。
もしもタイムマシーンがあったら
西暦何年へ行ってみたいですか?
(サーシャのママ)
もしも、一度だけ過去に戻れるとしたら、
どの瞬間に戻りますか?
(まるきち)
 

関根

自分の過去だとね、高2の‥‥夏ですね。

ほぼ日 高2の夏。
ピンポイントですね。
関根 夏は夏でも、夏休みね?
ほぼ日 はい、夏休み。
なにかあったんですか?
関根

僕は高校1年のときに
好きな子がいましてね。
同じクラスだったんですけども、
思いを告げられないでおりました。
同じクラスですから毎日会えるんで、
それだけで、満足してたんです。
ところが、高校2年になったときのクラス替えで
別のクラスになっちゃいました。

ほぼ日 ああ、それは残念でしたね。
関根

高2の春‥‥。
彼女と毎日会えないことの苦しみが
否応無しに突きつけられて、
ああ、これが恋なのか、
思い知ることになりました。

ほぼ日 はい、それが高2の「春」。
同じクラスであることが
それまでは救いだったのに。
関根

でも、彼女のクラスまで行って、
チラッと覗けば見ることができるんで、
それで何とかしのいでいたんです。

ほぼ日 健気ですね。
関根 そんなとき、
「高1のときのクラスのみんなで
 夏休みに、2泊3日で
 軽井沢の学校の寮に行こう」
という計画がもちあがったんです。
ほぼ日 高2で高1の同窓会!
関根

その際になんとか、
軽井沢の白樺の林の力
を借りて、告白できると
僕は考えたんです。

ほぼ日 ははははは。
関根 そしたら彼女が、家の都合で、
その旅行に
行けなくなっちゃったんですよ。
ほぼ日 喜んだり悲しんだり‥‥。
関根 これは困りました。
でも、そこで
「けど、これだったら、
 “楽しみにしてたのに、なんで来れないの?”
 ということを訊くという大義名分があるから
 彼女の家に電話をしてもいいだろう!」
ということになったんです、自分の中で。
ほぼ日 はい、はい。
自分の中で。
関根

当時はもちろん携帯もありませんし、
何の用もないのに電話をかけるなんてことは
失礼なことだったんです。
そして、僕は、電話で話に詰まったら困ると思い、
台本を書きました。
レポート用紙に2枚ぐらいの台本でした。

ほぼ日 結構長いですね。
関根 「もしもし関根ですけど」
からはじまり、
全部カギカッコつきで書いていました。
一同 (爆笑)
関根 僕の家の北側の四畳半の部屋に
黒電話が置いてありました。ダイヤル式です。
「きっと6時だと食事してるから、
 7時半ぐらいがいいかなぁ」
なんて考えて、
7時半にその部屋に行き、
電気消して精神統一しました。
ほぼ日 はははは。
関根 そうやって精神統一してるうちに
「あ、8時すぎちゃったーっ!
 こんな時間になっちゃ、失礼だな」
それ、3日ぐらいやってたんですよ。
ほぼ日 ひどい逡巡ですね。
関根 だって、お父さんが出たらどうしよう、とか
考えちゃってね。
 
(続きます)
2008-08-04-MON
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