SAMさんに、ダンスのはじめかたを聞きにいく。 SAMさんに、ダンスのはじめかたを聞きにいく。
ほぼ日の読みものチームの田中です。
突然ですが、ダンスに興味はありますか? 



僕はいま37歳ですが、
1年ほど前に習いはじめたところ、
想像をはるかに超えておもしろく、
生活がダンスを中心にまわるようになりました。
教室にいくのが毎回たのしみで仕方ないし、
時間があれば練習をしたい。
「どうしていままでやらなかったんだろう?」
「もっとみんなやればいいのに」
と考えるようになりました。



とはいえ自分自身がそうだったように、
ダンスというのは、未経験の人が
「やってみようかな」と思うには、
すこしハードルが高い趣味という気がします。



そこで、未経験の人がダンスをはじめる
きっかけになる記事を作れたらと、
TRFのSAMさんに「ダンスのはじめかた」について
聞きにいってみることにしました。
というのもSAMさんはいま、普通の人に
ダンスの魅力を伝える活動をされているから。



動画の「SAMさんのミニダンス講座」も
ありますので、よければぜひご覧ください。
ここからダンスの世界に足を踏み入れる
人がいたら、僕はとても嬉しいです。
(Introduction)この企画のはじまり。
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こんにちは。ほぼ日の田中です。
ほぼ日では主に読みものの編集をしています。
先日、TRFのSAMさんに、
ダンスの話を聞きにいってきました。
目的は、普通の人向けの
「ダンスのはじめかた」について教わるため。



個人的な話になりますが、現在37歳の僕は、
昨年からダンスをするようになりました。
理由としては
「ステップを踏めるようになりたかったから」
です。



もともとそんなこと、思ったこともありませんでした。
ですが、旅行で訪れたブラジル・リオのカーニバルで、
現地のおじさんに「君も踊りなよ」と言われ、
自分がただの足踏みしかできなかったとき、
「いまここでステップが踏めたらなあ!」
と強く思ったのでした。
足踏みでも最低限のリズムはとれます。
だけど、いま、しっかり踊れていたら、
もっともっとたのしかったに違いない‥‥。
そんな小さな心残りがあって、
日本に戻ったあとステップを学べる教室を探し、
僕はダンスを習うようになりました。



最低限のことができるようになるだけでも
それなりに時間がかかりましたが、
ステップを踏めるようになると、
すこし、世界が違って見えてきました。



音楽が流れているときに、からだ全体で音にのれる。
そこには想像以上のうれしさがありました。
ひとつステップができるようになると、
またひとつ覚えたくなりました。
よりかっこよく踊りたくなって、
僕は20年来の猫背を直しはじめ、
なぜか身長が1センチ伸びました(ほんとです)。
踊ることがたのしくて仕方なくて、
いまは、週に2回レッスンに行くほか、
数日に一度、近くの大きな公園に出かけて
自主的に練習をしています(これもほんとです)。
贅肉が落ち、新しい友達もでき、
さらには踊ること自体に興味が出てきて、
バレエを見に行ったり、地方の盆踊りに出かけたり、
ダンスのワークショップに参加するために
海外に行ったりするようにもなりました。
(ウソみたいですが‥‥でもほんとです)。
ダンス用のウェアを探すのもたのしいし、
好きな音楽の幅が広がったのもうれしい。
やればやるほど、ますます興味が増えています。
写真
▲リオのカーニバル会場
「いまはダンスに関心がなくても、
良いきっかけがあればハマる人は
けっこういるんじゃないか」



生活のなかでダンスが大きな場所を
占めていくにつれ、
次第に僕はそう思うようになりました。
がんばればがんばるだけ上達するし、
目標にしたい人はいくらでも見つかるし、
踊っているだけでいい気分になれる。
とにかくやりがいのある趣味なのです。
そして、そこには人としての
根源的なよろこびのようなものがある気がします。
だからそう、いまは関わりがない人でも、
良いきっかけさえあれば‥‥。



じゃあ、良いきっかけってなんだろう?



そんなことを考えていて
「このかたに話を聞くといいのでは」 と思いついたのが、TRFのSAMさんでした。



というのもSAMさんはいま、
普通の人たちにダンスのたのしさを伝える
活動をされているのです。
象徴的なのは「ダレデモダンス」という、
TRFの曲などを使って、
ダンスの超基礎を教えてくれるワークショップ。
振付や選曲、教えかたなど、
ダンス未経験の人やシニアのかたでも
たのしさを味わえるように考えられているもので、
その目ははっきりと普通の人のほうを向いています。
「はじめてダンスをしたけれど、
こんなにたのしいとは思わなかった」と話す
参加者のかたも多いそうです。
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また、普通の人にダンスのたのしさを伝える
という意味では、SAMさんたちTRFの
ダンサーチームが作ったエクササイズDVD
「EZ DO DANCERCIZE」は、
すでに、たくさんの人がダンスに触れる
きっかけを作った実績があります。
TRFの曲に合わせてたのしく踊りながら
健康増進ができてしまうDVDプログラムですが、
なんと、ミリオンセラーになっているとか。
つまり「エクササイズ」を切り口に、
100万以上の人にダンスをさせてしまったということ。
これもまた、SAMさんたちの視線が
普通の人のほうを向いていたから‥‥という気がします。



そんなSAMさんに、
これまでダンスに縁のなかった人たち向けの
「ダンスのはじめかた」を聞きにいったら、
良いきっかけになるようなお話を、
いろいろと教えてくれる気がしました。



そして‥‥完全に蛇足ですが、
すこしだけ個人的なことを書いてしまうと、
僕自身は20数年ほど前、田舎に暮らす、
TRFの大ファンの中学生でした。
ファンクラブに入って、家では常に
CDラジカセでTRFの曲を聞いていました。
通学時にウォークマンで聞いていたのも
ほとんどTRFでした。
土曜日の夜に流れるTRFのラジオは
カセットテープに録音するのが毎週の習慣。
家のリビングでTRFのライブ映像を見ながら、
踊りともいえない変なダンスをしては、
母親に呆れられていた記憶が、うっすらとあります。



TRFのおかげで、ダンス自体や
ダンサーの人たちに対して、
なんだかすばらしくかっこいいイメージがあって、
漠然と「SAMさんみたいになりたい!」とは
思っていたけれど、田んぼだらけの
田舎に暮らす中学生としては、
ダンスを習いにいく、なんてことは
まったく頭にも浮かびませんでした。
25年前、まだインターネットが
一般には普及していない時代です。
ただ、いつだったか、中学生の自分が
こう思ったことは覚えています。
「SAMさんのダンス講座のビデオがあれば、
自分は絶対買うし、
めちゃくちゃ本気でやるのにな‥‥」



そんなほぼ日の田中が、
SAMさんに「ダンスのはじめかた」について
聞きにいってきた
‥‥というのが、このコンテンツです。 



まずは取材時に、
SAMさんに自由に踊っていただいた動画を
ご紹介します。



1992年のTRFのデビューから27年が経ち、
現在のSAMさんは57歳。
40年以上にわたり踊り続けてきたからこその、
軽やかな動き、美しさ、安定感などなど、
伝わりますでしょうか‥‥。
MUSIC: Mella Dee "Club Vibe"
取材のなかで、SAMさんはこう言いました。
「ダンスに年齢は関係ない」
「やればみんな『たのしい!』って言いますから」



どんな人も、遅くないと思います。
だから、すこしでも興味が湧いてきたら
‥‥あなたもダンスをはじめてみませんか?



そしてイントロダクションの最後に、
余談のようにもうひとつ。
20数年が経ち、お会いしたSAMさんは、
かつてテレビで見ていたイメージそのままで、
とても優しくて、親切で、
ダンスの基本について、ていねいに、
わかりやすく教えてくれました。
取材の帰り、出かけたみんなで
「SAMさん、優しい人だったねー」
と言い合いながら帰りました。
僕は数日、ぼーっとした日々を過ごしました。
(つづきます)
2019-09-30-MON