社会で指揮をとっている社長たちから、じかに学ぶ連載。
第3弾はCulture Convenience Club の増田宗昭さんが登場!
Culture Convenience Club は、TSUTAYA事業の、
おおもとを担う会社、というと、わかりやすいかもしれません。



ぼくはこのような
20年間の経営の経験から
「一・三の法則」
というものを発見したんです。

社員が何人いるか?
店舗は何店なのか?
売りあげは何億円か?

組織に「一」や「三」がつく時には
マネジメントの
スタイルを変える必要があります。

企業の成長曲線は遠くから見ると
カーブしているのですが、
近くに寄って見ると
階段状になっているんです。

成長のプロセスが
どういうものかといいますと……
ある時期にうまくいくスタイルが
まずはあります。

ところがそのスタイルを続けると、
すこし下降路線に入るんです。

そこでうまくマネジメントを変質できれば
また成長曲線に入ることができるのですが、
スタイルを変えないままでいると
落ちてしまうんです。

それが
どんなタイミングでやってくるのか、
というのが「一・三の法則」です。

人数でいいますと、
一人、三人、十人、三〇人、
一〇〇人、三〇〇人、一〇〇〇人、
三〇〇〇人、一〇〇〇〇人……
そういう時には、
かならず変化が必要なんです。

優秀なリーダーが
ベンチャービジネスをはじめて、
ひとりで必死こいて
がんばってやれるのは
三〇〇人までじゃないかとぼくは思うんです。

組織の人数が増えると
階層ができるじゃないですか。
三〇〇人だと
だいたい三階層ぐらいになっているから、
トップと現場の間をつなぐ
中間管理職が要りますよね。

ところが、
この中間管理職の人材というのが、
はじめのベンチャーのころには
そろわないわけでしょう?

……正直にいってしまうと
その時期には当然
「まともなやつがこない」わけです。

なるほど。

当たり前ですね。
わけのわからんものに
集まってくるのは
「それなりの人材」ですから。

中間管理職には
「○」のやつもおれば
「△」のやつもいるけど、
その時点では
ほとんどが「×」なんです。

「×」が部長だ課長だということで
チームを率いるのですけど、
三〇〇人ぐらいまでは
リーダーがひとつずつを
個別にフォローできるんです。

いいチームは任せておけるし、
ダメなチームは
直接フォローができるので、
三〇〇人ぐらいまでなら、
優秀なリーダーが
ひっちゃきになってがんばれば、
ほんとは組織なんて要らないんです。

はい。

ところが、三〇〇人をこえたら、
もうちゃんと任せられるやつにまかせないと、
仕事ができなくなってしまいます。

ぼくも、三〇〇人ぐらいまでの頃には、
社員の顔と名前をぜんぶおぼえていました。

ところが三〇〇人をこえて、
社員の数が四〇〇人や五百人になってくると、
エレベーターで会っても取引先なのか
社員なのかわからなくなりました。
だからあいさつできないんです。

「お世話になってます」
と社員にいうのもおかしいですし。
ベンチャーをはじめたころの
スタイルというのは、
さきほどの「×」の人も含めて、
みんなと一体になって
会社を動かしているという感じが
たのしいんです。

ところがそれ以上の人数になっているのに
同じスタイルで会社をやっていると、
管理職の下の階層の人のなかに
「もう、辞めます」
と言いだす人がちらほら出てきます。

なにもケアできないまま、
人事から
退職報告のレポートがくるわけです……。

そこで、悲しみがくるんですか?

はい。
「え? いつ辞めたの?」と思います。

それと同時に、
とんでもないやつが会社に入っていたり……。

三〇〇人のころまでは
採用もひとりで決めましたが、
ある時期から採用の権限を委託するでしょう?
組織は権限を委託した時におかしくなります。

できるやつに任せられないと
おかしくなるというのが
三〇〇人の組織の規模の先にあることで、
中間管理職がいない、もしくは
いても名目だけの状態で拡大すると、
組織は潰れますね。

ぼくがディレクTVを
やりはじめたころは、
ちょうど社員が六〇〇人ぐらいです。
ひとりのリーダーが
できる限界までがんばっているのに、
なにかがヘンなんです。

当時は借金も少ないし
利益はガンガン出ていて、
まわりにも
誰もやかましいやつはいないという、
ゴキゲンな中小企業の
オッサンだったはずですが
「おかしいな」とは直感で感じていました。

ディレクTVをやっているころ、
当時、六〇〇人の規模だった
CCCの新卒採用に
五二〇〇〇通の応募がきました。

そのうちの一万人ぐらいが
セミナーにきて、
千人ぐらいをぼくが面接して……
そこでいきなり三〇〇人も採ったんです。
企画会社の燃料は人だと思っていましたから。

極端だけど、正しいです!

正しいでしょう?

ただ、そうすると
三人にひとりが新入社員なんです。
六〇〇人のなかに
三〇〇人が入ったのですが、
それでもなんとかなると
ぼくは言っていました。

五万人のうちの三〇〇人ですから、
そこそこ優秀ですからね。

当時は
企画インフラなんてなかったんだけど、
三〇〇人も入れたら、
すでにいる六〇〇人の社員たちが
そういうものを
「いくらなんでも、
 もう作らなければいけない」
と思うだろうと。

やらなければいけない状況に
追いこんだらやると考えていたんです。
だけど、残念ながら……
どういう結果になったかわかるでしょう?

つまり、女性の新入社員は、
上司とデキちゃったりして……。

(笑)あいたたた!

それで、
野郎のほうは野郎のほうで、
なんか、わけのわからんことやりだすし。

わかるなぁ!

ただ単に
「かっこいい子」「おしゃれな子」が
社内に、どんどん増えるんですよね(笑)。

(笑)そうそう!

2005-04-11-MON