社長に学べ!
おとなの勉強は、終わらない。


第9回 ひとつの図にはひとつのメッセージ

原田 この機密事項の図は、
図だけ渡したとしても、
経営者レベルの人間なら
そこに何が書いてあるかは
ほとんどわかります。

マクドナルド本社の役員クラスに
図だけをポンと渡しても、
すぐにフィードバックが来ますから。
糸井 そういう図を描くことは
昔からやっていたんですか?
原田 きっかけは、
英語ができなかったからだと思う。

若い頃、海外に行かされて……
その時もやっぱり
チョーク&トーク(図を描きながら説明)を
よくやっていました。

英語でしゃべれないじゃないですか。
だから絵にしていました。

二〇代のエンジニアの時代、
まだ英会話なんてやったことないのに、
いきなりアメリカで
共同プロジェクトを担当させられた時も、
技術者どうしですから、
回路図を描いたりすれば、
絵でほとんど伝わるんです。

コツはあるんです。
ひとつの図にはひとつのメッセージ。

これを日本人は、集積回路のように
いっぱい情報が入っている図を
作ってしまいがちですから。

誰が見ても、説明しなくても、
絵を見ただけで
ひとつのメッセージが
わからないといけません。

社内会議で配る資料は、
パッと見て質問して
議論をはじめられるようにしなければ、
一ページ目から順に説明してもらうことほど
退屈なことはないでしょう?

プレゼンテーションって、
相手への説明ではないんです。
相手との議論をはじめないと
いけないものですから。

マクドナルドに入った時に
ホワイトボードがないことに私は驚いて、
ここ(社長室)にも入れたし
会議室にも入れたし……最近、みんな、
当たり前のように使うようになりました。

さっき言った
「言語を変えよう」
という私の提案についても
アメリカに学んだところがあります。

伝えるための言葉というのがあるんです。
アメリカで議論する時には、
「うちの課題は」ではなく
「うちの挑戦は」
「うちのビジネスの機会は」
と表現しなければ聞いてくれませんから。

意識の起点が、
不満を言おうとしているのか、
次になにをしようと思っているのかで
ずいぶん違いますから。
糸井 このインタビュー、
読者にとって、勉強になるだろうなぁ。
まじめに聞いた人はトクしますね。
原田 ええ。
  (つづきます)


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2005-01-03-MON



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