HOBO NIKKAN ITOI SHINBUN

編んで着て(ときどき)うろちょろするわたし

ニットデザイナー・三國万里子さんが
日々のあれこれを写真と文章でお届けします。
編みものの話はもちろん、洋服のことや
街で見かけた気になるものなど、テーマはさまざま。
三國さんの目を通して世界をのぞくと、
なんでもないことにたのしさを見いだせたり、
ものづくりへの意欲を呼び起こせたりする‥‥かも?
期間限定、毎週火曜と金曜に更新予定です。

三國万里子さんのプロフィール

2018-11-16

こんにちは、三國万里子です。
仕事はハンドニットのデザイナーで、
ほぼ日では「Miknits」という
編みもののキットとグッズを扱うお店を
仲間と一緒にやっています。
なかなかかわいい、いいお店なので、
よかったらたまにのぞきにきてくださると
とてもうれしいです。

さて「編んで着て
(ときどき)うろちょろするわたし」という
コンテンツをここに始めることになりました。
ごあいさつ方々、どのようにして
この場所ができたのかをお話しさせてください。

ひと月ほど前のこと。
ほぼ日で担当していただいている渋谷さんに
「三國さん、インスタグラムをやってみませんか」と
声をかけていただきました。
「それは同時に、ほぼ日でコンテンツにもします」とのこと。
そうね、何かしらできるといいよね、
でも自分に、人にお見せできるようなものがあるかなあ、と
しばし考えました。
わたしは都内の私鉄沿線の賃貸マンションに
家族3人で慎ましく暮らしていて、
日々取り立ててゴージャスなことなどないし、
スーパー主婦でもないし、
キラキラした人付き合いもありません。
わたし自身は仕事も家事も楽しくやりはしますが、
とくに「ここがすごい」といえるようなことはない、
ふつうの女で、母で、職業人です。

ないない尽くしですみません、
でもお話を引き受けました。
それは、わたしにも何か言えるようなことが、
ちょっとはあるかもしれないと思ったからです。
それはわたしの中の
「ものが好き、着ることが好き」という部分についてです。

わたしのクロゼットには年月をかけて集めてきた
洋服やアクセサリーがそれなりに
(おそらく一人の女性のワードローブとしては十分に)あって、
引き出しを開けてそれらを見る時、
わたしはほのぼのとうれしい気持ちになります。
「やあやあ、また会えた」
という気持ち。
あなたたちを着ることで、今日のわたしは出来上がる。

ブラウスを一枚手に取り、そこにスカートを合わせ、
気温に応じてニットの厚さを考え、
下着を決め、合う靴は何か、アクセサリーはどうしよう、
コートは、バッグは‥‥。
とたあいなく、ひととき集中します。
それは一人でする「おままごと」のようなことです。
着ることは、誰にとっても
それぞれに楽しいことであると思うのですが、
わたしは多分その楽しさが、平均より濃いのではと思います。
もう若くもない割には、
「似合う服がわからなくなった」
というようなことがないのも、
毎日小さく悩んでは
答えを出し続けているからではないかと思います。
そして、その小さく悩むことがわたしには楽しいのです。

そういうわけで、ここでは、
わたしの「着る」にまつわることを
主に書いていこうかな、と思います。
偏愛し、仕事にまでなっている「ニット」は、
中でも登場の機会が多いことが予想されます。
わたしがデザインした Miknitsのニットも
しょっちゅう現れると思いますが、
それらも他の、諸々の服たちと
同列に眺めていただけると幸いです。
(もちろん、いっちょ編んでみるか、と思っていただけたら
それはとてもうれしいことですが)

さて、すみません、始める前に
ひとつ言い訳をしておきます。
ここにこれから書く文章には、
洋服や、ものの説明の一部として
しばしばブランドや、お店の名前が出てくると思います。
それはある人にとっては意味があり、
他の人にとってはなんのことやら、
ということだろうと思います。
わたしには、それはものの来歴と結びついている
確かなことでもあり、書くわけですが、
もしみなさんにとって面倒なら
読み飛ばしていただければと思います。
おままごとに使う「あかまんま」の花が
イヌタデのことだ、なんて知らなくても
遊びにはなんの差し障りもなく、
お赤飯召し上がれ、
ぱくぱく、ちょっと固いわねえ、
なんてやって終われるのが、遊びとして
気楽でいいと思いますから。

ええと、あと言っておくことはあるかな?
そうですね、「うろちょろ」の内訳として、
「買う」や「見る」
「会う」や「作る」なんかがあるんじゃないかな、と思います。

まだどうなるか、自分でもわからないですが、
楽しんでもらえるといいなあ、と思います。

どうかよろしくお願いいたします。