弁護士をしていますが、 とある会社の整理を受任したばかりで、 とても忙しくしていたとき、 弁護士も事務員も 電話をとれなかったことがありました。
そのうちの一本が顧問先だったらしく、 後から「相談があるので会社に来てほしい」 と言われました。
事務所全体がとても忙しかったので、 内心、面倒だなと思いましたが、 顧問先の要望だったので しかたなく出かけました。
約束どおりの時間に会社に着いても、 すぐに社長と会えるわけでもなく、 1時間ほど待たされました。
やっと社長室に通されて、 受けた相談は、 電話でも簡単に答えられるようなことでした。
少し拍子抜けした私に、 その社長は、 「こういう関係でいたいんだ。 だから来てもらったんだ」と言いました。
その顧問先の社長は、 法律事務所の電話がつながらないことは、 基本的な信頼関係を 失うことになるんだぞということを、 そのとき教えてくれたのでした。
事務所に戻ってから、午前3時までかかって 会社整理の業務処理をしました。
妙に清々しい気持ちで 家に帰ったことを覚えています。 |