須賀敦子さんの「遠い朝の本たち」に引用されている、 サンテグジュペリの『戦う操縦士』の一節を、 転職活動中に何度も思い出し、指針にしました。
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「建築成った伽藍内の堂守や 貸椅子係の職に就こうと考えるような人間は、 すでにその瞬間から敗北者であると。 それに反して、何人にあれ、 その胸中に建造すべき伽藍を抱いている者は、 すでに勝利者なのである。勝利は愛情の結実だ。 ……知能は愛情に奉仕する場合にだけ役立つのである」
自分が、いまも大聖堂を建てつづけているか、 それとも中にちゃっかり座りこんでいるか、 いや、もっとひどいかも知れない。 座ることに気をとられるあまり、 席が空かないかときょろきょろしているのではないか。 …自分がこうと思って歩きはじめた道が、 ふいに壁につきあたって先が見えなくなるたびに 私はサンテグジュペリを思い出し、 これを羅針盤のようにして、 自分がいま立っている地点を確かめた。
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須賀敦子さんの文章そのままに、 ついつい目先の「有利な条件」に目が向きがちで 自分の理想を後回しにしまいそうな時に、 この文章を思い出していました。 知っていて良かったと思った文章です。 |