「鹿はこう」

「ちがいますよ。
熊なら、こうです」

「これ、何かの足あとですよ。
鹿かな？」

熊じゃない？！

ちょい待って、田口くん！
足跡をたどって歩くから。
ここでどちらかが転倒し、
脳しんとうを起こしたら、
もうふたりとも、おわりだから！

雪道からのォォ、
うみー！！

こんな景色、
いままで知らなかった！

夢だけど、
夢じゃなかった！

「ここ、めっちゃ、
すべりますので、
気をつけてください。
凍ってますんでー」

ええええ。急に雪道！

はぁぁぁー、越喜来湾が、
ほんとうにきれいだ。
山から海が見えるって
すてきなんだな。

ただずんでいたら、先のほうで
「スガノさーん」と声が。

だんだんと、道が、
葉っぱめいてきました。

ときどき地図で、
現在地を確認します。
道の曲がり具合と、
ほかの道路との交差が目印です。

私はひそかに
Google Mapを開きました。
さっき行きそうになったまっすぐの道だと
33分で着くと出ましたが、
我々はぐねぐねのほうの
トレイルを歩いています。

まだぜんぜん、半分も来ていない。

「うおぁおあぉぉ、駅だ。
あそこ、さっきまでぼくらがいた、
恋し浜駅ですよ！」

といって、
パシャッ、パシャッと、
たぐちゃんは写真を撮っていました。