ときどき地図で、
現在地を確認します。
道の曲がり具合と、
ほかの道路との交差が目印です。

私はひそかに
Google Mapを開きました。
さっき行きそうになったまっすぐの道だと
33分で着くと出ましたが、
我々はぐねぐねのほうの
トレイルを歩いています。

まだぜんぜん、半分も来ていない。

「うおぁおあぉぉ、駅だ。
あそこ、さっきまでぼくらがいた、
恋し浜駅ですよ！」

といって、
パシャッ、パシャッと、
たぐちゃんは写真を撮っていました。

「スガノさん、見てください。
こんな大きなてんとう虫、
見たことありますか！！」

あるよ。

こういった、
登りカーブの先の、
開けたところに出ると必ず
田口くんは
「おおー」と言う。

「ほら、こんなに大きな松の枝が、
道路に落ちているでしょう。
これが、通行止めのあかしですよ」

あかしですよと言われても。

ひぃえええ。

「こっちの、通行止めになっている道が、
トレイルロードです」

といって、ずんずん進む、たぐちゃん。

あんなに地図を見ていたのに、
田口くんは道を間違えました。

引き返します。

ぎょええ。

「でもね、スガノさん。
あしたは、あそこに行きますからね。
あの山の上。
白くなってるとこ」

白って、雪のことですか。

「しかも明日は降りますからね」