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勉強の夏、ゲームの夏。2015

読者のみなさまから寄せられた、
マジでガチな勉強の質問、相談に、
「ほぼ日」とかかわりのある
「意外に高学歴な人たち」が答えます。
勉強の質問がありましたら、
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2015/08/21 16:35勉強の質問に答える1

それでは石川先生、
ここからは、読者のかたからの質問に
お答えいただけますでしょうか。
みなさま、ご質問、
本当にありがとうございます。

石川
「はい、まずはこちらのかたですね。
 ‥‥えーと」
ーーーーーーーーーーーーー
娘たち(小学4年、2年)が、
漢字ドリルをノートに書く宿題に
てこずっています。
特に4年の娘は150字を
2時間かかってしまいました…。
普段から寄り道しすぎる人ですが、
ちょっとかかりすぎな気がします。
着実に進んでいく方法はありますか?
(さの)
ーーーーーーーーーーーーー

石川
「ああ、これはですね。
 さきほどのWhyとHowの話ですね。
 Whyで考えると、いろんなことが
 つまらなく見えはじめる、というか。

 ここは娘さんの問題というより、
 お母さん自身が
 娘さんのやっている姿について
 『なぜ?』じゃなくて、
 『どうやって?』で
 見るようにするといいんじゃないかなと」

それはつまり、どういうことでしょう?

石川
「お母さん自身が、
 時間がかかっている娘さんの様子を
 Why──つまり
 『なぜこんなに時間がかかる?』
 と考えはじめると
 どうしても、娘さんの行動が
 無駄に見えてくるんですよ。
 たぶんイライラすると思います。

 でも、そうじゃなくて、
 Howで考えはじめると、
 きっといろんな発見があるんです。
 どうやったらここまで
 時間をかけてできるんだろう?と
 だって、150字のドリルに
 2時間かけるなんて、優秀じゃないですか。
 時間がかかって、それでいいんです。
 ふつうできないですよ」

たしかに、そうですね。

石川
「そうやってお子さんのことを
 Howで観察しはじめると、
 お子さんの考えかたのくせが
 だんだん見えてくると思います。
 で、このお子さんの癖というのが
 『どういうときにワクワクするか』
 に通じているはずなんですね。

 で、人って『興味』が
 ものすごくだいじです。
 研究者にしたって、
 頭がいい人よりも、
 ワクワクする人のほうが
 結果的にはすごい研究をするんです。

 で、その子自体のワクワクすることが
 その子の本質的な強みだと思いますから、
 お母さんとしては、
 そこを考えてあげるのがよいかと思います」

ああー、なるほど。

石川
「以前、為末大さんが
 『努力は夢中に勝てない』と
 言っていたんですけど、
 まさにそのとおりで、
 夢中でやってきた人には
 どんな優秀な人でも勝てないんですよ。
 優秀な人は、自分の限界を予測できるから、
 『のびしろ』が縮まるんです。
 夢中な人は、狂ったようにやれますから、
 優秀な人はかなわないんですね」

2015/08/21 16:28東大へ行く方法

ちょっと話が戻りますが、
石川先生は、どうして東大に
進んだんですか?

石川
「じつはぼくの行っていた高校が進学校で、
 生徒の8割くらいが
 東大に行く学校だったんです。
 だから、とくに選択肢がなかったんですよ。
 つまり歌舞伎役者の家にうまれて
 歌舞伎役者になる‥‥みたいな」

ああ(笑)。
何かすごく大きなきっかけなどが
あったわけじゃないんですね。

石川
「そうなんです。
 そういえば以前、東大生100人に
 『どうして東大に来たんですか?』
 というインタビューしたことが
 あるんです。
 そうするとみんな、割としょうもなくて」

割としょうもない(笑)。

石川
「たとえばある人は、
 自分が好きだった女の子が
 頭がいい人が好きだったらしいんですね。
 で、その女の子にさらに聞いたら
 その女の子の家庭教師が
 東大生だったらしくて、
 『自分も東大だ!』と思ったりとか」

ああ(笑)。

石川
「じつは、わりとそんなふうに
 ほんとにちょっとしたきっかけで
 『あ、東大に行きたい』と
 思ってきた人がわりといたんです。

 で、きっかけって、
 そんなふうにチラッとあれば十分で、
 あとはもう、日々の勉強を
 たのしんでできたかどうかで、
 東大に来たかどうかが
 決まっていたようなんです。
 動機はそのくらいの
 ちいさなものでよかったんですね」

へええーー。そうなんですか。
あと、じゃあみなさん、
すごくたくさんの選択肢を考えて、
そこからベストを選んだ、
などではないんですね。

石川
「そういう人はそんなにいなかったですね。
 ‥‥というのも、人ってなんでも
 『選択肢が多すぎると、
  悩んでばかりでやらなくなる』
 ものなんです。
 だから、どこに行くか悩まずに
 たのしく勉強をした人のほうが
 東大には来てたんです」

はああー。

石川
「あと、小さな頃から
 『絶対東大!』みたいな感じで
 来た人は、大学に入って
 燃え尽きた人が多かったですね。
 東大に入るのが目的だったから、
 目標がなくなっちゃったんです。 

 これ、オリンピック選手も
 そうなんですけど、
 金メダルをとったあと
 燃え尽きちゃう人たちが
 けっこういるそうなんです。
 で、最初から
 『2回金メダルをとる!』と
 決めているような人は、
 心が折れずにいられるらしいんですけど」

うおお、おもしろーい。

2015/08/21 16:26勉強がおもしろくなるポイント

石川
「‥‥で、考えてみると
 『勉強』においても
 『ふつう』ってものすごく
 大事なんですよね。

 勉強って、
 めしべとおしべがどうだとか、
 1+1が2だとか、
 学ぶ内容というのはもう、ある意味、
 すっごくふつうのことなんですよ。

 ただ、お笑いも、
 すごくふつうのことのなかに
 『おもしろい!』を
 発見するようなものだったり
 するんですね。

 たとえば笑い飯に
 『奈良県歴史民俗博物館』という
 すごくおもしろいネタがあるんですけど、
 それも、ほんとに、
 奈良県歴史民俗博物館という
 ふつうの場所に、
 ものすごくおもしろいことを
 発見するようなものなんですよ。
 
 そんなふうに普通のことのなかに
 『すごくおもしろい!』を
 発見できるかどうかってのが
 ほんとにだいじなんですね。

 たとえば、ニュートンが
 万有引力を発見したのも、
 りんごが落ちるというふつうのことに
 『りんごが落ちるって、
  ふしぎじゃね?』
 と思ったことがポイントですし。

 そんなふうに、ふつうのことに
 『ふつうのことってよく考えると
  ふしぎだな』
 という視点を持てるようになることが、
 勉強がおもしろくなるポイントだと
 思っているんです」

ただ、その「ふしぎ」という視点って
どうやったら持てるんでしょう?

石川
「そこは、たぶん
 『バカになること』が大事だと
 ぼくは思ってますね。
 理性で物事を見ると、
 ものごとって、つまんないんですよ。
 さきほどのWhyとHowと同じですよね。 
 理性で見ると、
 『ああ、めしべね』
 『あ、おしべね』はい終わり、になる。
 でもそこを感覚を使って見ると、
 『うわ、めしべ!』
 『おお、おしべ! うわぁ、ふしぎ!』
 となるんです」

2015/08/21 16:12勉強とお笑いの共通点

石川
「それで、ですね。
 勉強って
 『興味』→『驚く!』→『納得!』
 という3段階だと思うんですが、
 これ、ぼくは
 お笑いと一緒だと思うんですよ」

あ。えええ??
それって、どういうことでしょう?

石川
「お笑いは
 『つかみ』→『ボケ』→『ツッコミ』
 ですよね。
 これ、勉強の
 『興味』→『驚く!』→『納得!』
 と、対応していると思うんです」

へえええーー。
その発想、すごいですね。

石川
「それで、『勉強』と『お笑い』が
 呼応しているんだとしたら、
 ぼくは、じゃあどうやったらその
 『興味』が生まれるんだろう?
 ということに興味を持ったんですね。

 そこでぼくは、
 お笑いのキングコングの西野さんと
 電波少年の土屋プロデューサーに
 お会いしたときに、
 『つかむ』ってどういうこと?
 と、話を聞いたんです」

つまり、興味のしくみを知りたくて、
お笑いのプロフェッショナルの人たちに。

石川
「ええ。そしたらこう教えてくれたんです。
 『つかみのためには、
  ふつう、という部分が大事だ』と」
 お笑いは、最初にいかにも
 おもしろいことを言いますよ、
 とはじめてしまったら、
 ハードルを上げるだけで
 損をするだけ。
 さいしょにまず、ふつうの話で
 『あ、ふつうのこと言うんだな』と
 お客さんが思っていたところで、
 予想外のことを言う。
 そうするとようやく
 『おもしろい!』となるらしくて」

ええ、ええ、ええ。

2015/08/21 15:58興味を持たせるのがうまい先生

中学に入って、石川先生が
勉強に興味を持つようになったのは
どうしてなんでしょう?

石川
「中学でぼくは、すごくいい塾の先生に
 出会ったんですよね。

 その先生は、
 とにかく教え方がうまかったんです。

 長期的な目標を伝えるのではなく、
 その日に生徒ができることをさせて
 『あ、解けた!』というたのしさを
 感じさせてくれるんです。
 それでぼくらも、
 できるからたのしくて、
 もっとやりたくなる、みたいな
 いい循環が生まれてて。

 これ、何がポイントかというと、
 勉強への興味を持たせるのが
 うまかったんですよね」

興味を持たせるのがうまい。

石川
「ええ、ぼくは勉強って、
 まずは『興味』が
 いちばん大事だと思うんですよ。

 運動でも準備体操ってありますけど、
 勉強もやりはじめる前に
 『興味』をふくらませるのが
 とても大切というか。
 知りたくて、たまらなくさせる。

 『興味』ってすごく大事で、
 そういう気持ちになると、
 研究だって、すすむんですよね」

なるほど。
研究もですか。

石川
「ええ、ぼくの友人に
 天才物理学者がいるんですけど、
 その人の方法もそうなんですよ。

 彼はおもしろくて、
 たとえばふつうは
 ルービックキューブをわたされたら、
 とにかく回しながら
 解こうとするじゃないですか。

 でも、彼は最初に、じっと待つんです。
 『解く準備が整うまで待つ』んです。

 どうやったら解けるか、
 考えながらじっくり待って、
 で、ものすごく解きたくてたまらなく
 なったときに、初めて解く。

 勉強も、そんなふうに
 『解きたい気持ちになる』という
 準備運動みたいなことが
 たぶん、すごく大事なんです」

へえええーー。おもしろい。

2015/08/21 15:46静岡おでんと研究者

‥‥と、そんなタイミングで、

おでんを運んできてくれました。
「勉強の夏、ゲームの夏」恒例、
静岡おでんです。


「これこれこうで、
 あれやこれやが入っています。
 雑多な味がポイントです」

石川
「この組み合わせはなんですか?」


「ああ、これはこういうのと
 ああいうのが入っていて‥‥」

石川
「あ、なるほど‥‥(何か考えている)」

石川先生の姿勢には、
常に研究者としての
視線(興味?)がありそうで、
こういうときも、おもしろいです。

2015/08/21 15:36WhyじゃなくてHow

石川
「あと、こどものころの僕が勉強に
 まったく興味がなかった理由ですけど、
 よく勉強については、
 『どうして勉強するのか?』ということが
 言われたりしますよね。
 そして大人からは
 『いい大学に行くため』とか
 『いい会社に行くため』とか
 『できないよりできたほうが』とか
 いろいろ言われる。
 で『だから、勉強しろ』って」

ええ、ええ。

石川
「でも、子どもに限らず、
 人って、理屈では納得できないんです。
 ゲームだって、理屈じゃなく
 たのしいからするわけで。
 そういうものなんです。
 ものごとってWhyで考えると
 つまんなくなるんですよ。
 
 たぶん、Whyじゃなく、
 Howで考えたほうがいいんですよ」

WhyじゃなくてHow。
つまり「なぜ」ではなくて「どのように」?

石川
「ええ。
 前に登山家の栗城史多さんに
 聞いたことなんですが、
 Whyの考え方で、
 『なぜ山に登るの?』と言われても
 大した理由なんてない、と。
 でもHowの、
 『どのように山に登るんですか?』
 なら、いくらでも話が
 おもしろい方向に広がっていく。
 
 Whyで考えるとつまらなくなって、
 たのしくしたいならHowだと。
 ぼくも、ほんとにそうだと
 思うんですよね」

はああー。

石川
「Whyで考えはじめると、
 たいてい『ごもっとも』な答えにしか
 なんないんです。
 そうやってWhyで考えていくと、
 いろんなことってほんとに
 つまんなくなるんですよ(笑)」

2015/08/21 15:34結論だけ教わっても、興味が持てない

石川
「ふつうの人が当たり前にすっと
 いくようなことを、
 ぼくはいけなかったんですよね。

 たとえば、
 『光はレンズを通すと屈折します』
 ということでも、
 小中学校では
 『屈折するものなんです』で
 結論だけ教わって
 終わりなんですよね。

 でも、ぼくは
 『なんで曲がるの?』
 『どうやって曲がるの?』
 『光って何?』
 みたいなことまで知りたかったんです。
 そこがわからないと、すっといけなくて。

 ほんとは『光って何?』について
 考えはじめると、
 アインシュタインの相対性理論にまで
 行きつくんですけど。

 そういうところでつまづいて、 
 勉強に興味が持てなかったんです」
 
ああ、なるほど‥‥。

2015/08/21 15:13勉強に興味が持てなかった

石川
「ぼくは中学受験にはじまり、
 高校、大学、大学院、
 それも海外への留学ということで、
 受験というものを
 ものすごくしてきています。

 ただ、勉強がたのしくなったのは 
 中学に入ってからですね。

 それまではぼく、勉強について
 ほんとに興味が持てなかったんですよ。
 『勉強しろ』って
 すごく言われてましたけど、
 興味がまったく持てなくて。
 
 なぜ勉強するか、みたいなことを
 説明されても、
 ぜんぜん興味が持てなかったんです」

あ、そのあたりのこと、
ぜひ聞かせてください。

2015/08/21 14:59勉強の質問、はじめます。

そして台所に寄って

「今日は静岡おでんがあります」
「あ、いいですね」
など、今日のふしぎな中継について
お伝えしたあと、
質問部屋に戻ってきました。

ちなみに、石川先生は、
東大に行かれたのち、
アメリカのハーバード大学の
大学院に進まれています。
まずは、そのあたりの
石川先生にとっての勉強の歴史から
教えていただけますでしょうか。

石川
「はい、わかりました。
 ちょっと思い出してみます」

2015-08-21-FRI