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2014/08/21 12:53 さっそく質問が。

ええと、この絵のコーナーでは、
実際にヒロセに絵を描いてもらって
それを追っていこうと思っていたのですが
こんな質問が届きました。
メール、ありがとうございます。


ヒロセ先生、こんにちは。
絵について教えていただけると
伺ってメールしました。
絵を描くのがずっと苦手でした。
学生時代はなんとかやり過ごしたのですが
困ったのは姪っ子が生まれてからです。
アンパンマンやばいきんまんを描いてと
可愛い顔でねだってくるのです。
下手だからと言って描かない訳にはいかないのです。
どうしたら上手く描けるのでしょうか。
コツを教えていただけると嬉しいです。
よろしくお願いします。
(ほーちゃんのおばさん)


「トレースすればいいと思います」

えっ?


「アンパンマンの上に紙を重ねて、
 トレースすればいいと思います」

あの、先生、なんていうんでしょう。
そういうことって、やっちゃいけないことでは?


「ぜんぜん。やっていいと思います。」

いや、うまく描けるかもしれないけど、
その、美術的にはどうなんですか。


「美術史的に言って、まったく問題ありません。
 人類は500年前からトレースをしています」

ええっ!


「500年前くらいの
 スーパーリアルと言われる絵は、
 ほとんどがピンホールカメラを
 つかったトレースです。
 対象を設定して、壁に穴を空けて、
 反対側の壁に映った絵をなぞるんです。
 アングル、フェルメール、
 そして、近代のウォーホル‥‥」

ヒロセ先生はデイビッド・ホックニーの
『秘密の知識』という本を見せてくれました。


「ほとんどの『リアルな名画』は
 こういった技術をつかってます。
 おもしろいのは、それによって、
 西洋の美術の技術は
 飛躍的に上昇したってことです。
 で、さらにおもしろいのは、
 こういうスーパーリアルな絵が
 150年前くらいから減っているってこと。
 なぜか。カメラが発明されたからです。
 つまり、『そっくりな絵』というのを
 もとめられなくなった。
 ある意味、カメラの発明によって、
 絵は『見たまんまのリアル』から
 解き放たれたんです。
 だから、150年前から、
 絵はどんどん自由になって、
 おもしろくなっていったんです。
 ほんものそっくりに描くよりも、
 なにをどう表現するかが重要になったから」

はーーーーー。先生、すごい答えだ。


「つけ加えると、東洋では、
 トレースという概念がありませんでした。
 だから、日本画なんかだと、
 とにかく、対象を何度も何度も描く。
 何度も何度も見て描いて、
 見なくても描けるくらいになってから
 本番として描く。
 そういう流れがあるから、みんな、
 『トレースはダメ、ずるい』みたいな
 イメージがあるのかもしれないね。
 アンパンマンの話に戻ると、
 上手に描いてあげたいなら、
 トレースしていいと思う。
 で、これも大切なことだけど、
 アンパンマンを100回、
 真剣にトレースしたら、間違いなく、
 アンパンマンを描くのがうまくなると思う。
 見なくても描けると思いますよ」

ああ、すばらしい回答です、先生!

2014/08/21 12:14

図工の授業でショックを受けたヒロセ。
しかし、その後は得意の
絵の才能をいかんなく発揮。

描く絵は当然のように
コンテストなどに出展されて入賞。
ひとりで徹夜して雑誌をつくって
クラスの友だちから人気を博したり。

「絵描きになりたいなあ」と
ふつうに思っていたそうです。

中2のときに描いた風景画は、
「どういういきさつか忘れたけど」
フランスに展示されたこともあるそうです。

あと、中3のときには
「町内の靴屋さんに
 『看板描いてくれ』って言われて
 ペンキで描いたよ。
 2メートル×3メートルくらいの看板。
 それが、絵でお金をもらった最初かなあ」

高校では美術部。
絵の予備校に通いながら、
「油絵よりデザインの人たちのほうが
 たのしそうだったから」という理由で
グラフィックデザインの道へ。

そのころ敬愛していた湯村輝彦さんが
多摩美術大学のグラフィックデザイン科
だったこともあって、多摩美の門を叩きます。

「そういや、19歳のとき、俺、
 レコードのジャケット描いたよ」

この取材ではじめて聞いた話。
みつかるかなあ、と言いつつ検索してみたら
ありました!

桐ヶ谷仁さんという方の
1983年のアルバム。
この絵を描いたのが19歳のヒロセです。

2014/08/21 11:58 幼少時のエピソード、その2。

ヒロセが小学校1年生のとき。

ヒロセは幼稚園に行ってませんでした。
「だから、ふつうの子が習うような
 絵の描き方を知らなかったんだよね」
と彼は言います。

小学校1年生の図工の授業で先生が言いました。
「太陽の絵を描ける人!」
ヒロセは自信満々で手を上げました。
そして、前に出て、黒板に太陽を描きます。

「白いチョークを横につかってね、
 こう、もやもやもやっと、
 あかるい太陽の光が
 空に広がってるところを描いたの。
 そしたらね、みんながクスクス笑うんだよ。
 『ちがうよね?』『ちがうよ』って。
 で、描き終わったら、全員が
 『ちがいまーす!』って。
 ショックだったなあ。
 で、正しく描けるっていう子が出てきて
 なんと! 赤い丸を描くんだよ!
 そこから、こう、放射状に線が出てて。
 俺、じぶんがおかしいんだと思った。
 だって、俺、太陽は赤には見えなかった。
 百歩ゆずって夕陽だって、赤ではないよ」

絵の神童、ヒロセが味わったはじめての挫折。
いまなら、それでいいんだと思えますけどね。

2014/08/21 11:54 幼少時のエピソード。

ヒロセが4歳くらいのとき。

ある日、こたつで、
大好きな叔父さん(デザイナー)に、
姉が手紙を書いていたそうです。

なんとなくそれを見ていたヒロセ、
ヒマだったので、そのとき机の上にあった
「千円札」の絵を、模写したそうです。
伊藤博文の肖像画だけでなく、お札ぜんたいを。

で、それを姉の書いた手紙に同封して
叔父さんに送ったそうです。
受け取った叔父さんはその千円の絵を見て、
「うまいなあ!」と驚いたのですが、
あまりにうまかったので
これは、千円札の上に紙を重ねて
なぞって描いたんだろうと思ったそうです。

ところが、絵に、千円札を重ねてみると、
そもそもサイズが違ってる!
じゃあこれは4歳の甥っ子が見て描いたのか!
叔父さんは驚いて、家に電話してきたそうです。

2014/08/21 11:48 ヒロセのプロフィール。

弊社のヒロセは、
もともと絵やデザイン、
作品づくりを専門にしていた人です。

ええと、学歴的には
多摩美術大学グラフィックデザイン科卒業。

「いやあ、俺、子どものころから
 絵がうまかったからさ!」と
くったくなくしゃべる彼のエピソードが
ぼくはとても好きなんですが、
幼少時の話をふたつ、紹介しましょう。

2014/08/21 11:44 絵の先生は、この方。

本日、「絵」について
いろいろ教えてくれるのはこの人、
ほぼ日のデザイナー、ヒロセです。

うちの会社は、おもしろ絵もふくめて
ササッと絵を描ける人が多いんですが、
技術的には、圧倒的に、段違いで、
ヒロセがうまいのです。
というか、美術の人でもあったし。

そのあたりまずは
ちょっと紹介しましょうかね。

2014/08/21 10:39 お絵かきの勉強を。

こんにちはーー。
さあ、ゲームの夏です。勉強の夏です。
みなさん、宿題、順調ですか?

夏の宿題の意外な難関、
それは「絵」じゃないでしょうか?

美術の宿題はもちろん、
絵日記、自由研究、観察日記と、
「絵」のウェートは意外に高い。

今日は、ほぼ日でいちばん絵のうまい人に
「どうやったらうまく描けますか?」
ということを訊いていきます。
レポート担当は永田です。
どうぞよろしくお願いします。