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2014/08/21 19:39 負けず嫌い

東大卒の会社員であり
最強の市民ランナーでもある松本先生。
高校3年生のときには、
陸上の「1万メートル」で
日本全国の高校生の中で
第5位という記録を出したそうです。
乗組員のランナーが解説します。

「これは本当にすごいんですよ。
 5位といっても、残り4人は
 オリンピックにも出られるくらいの
 四天王と言われた人たちなんです」

はー。すごい。
松本先生の生活にスポーツが入ってきたのは
いつ頃からなんですか?

「もともとサッカーが好きで、
 小学校からずっとやっていたんです。
 でも、走るのが速かったので、
 ロードレース大会にも
 ちょこちょこ出ていました。
 中学のときゴールデンゲームズという
 大会に出たんですが、
 目の前で、スーパー高校生といわれていた
 佐藤清治選手の走りを見たんです。
 もう、かっこいいな、と思って」

「佐藤清治!?
 松本さんが影響を受けたのは
 佐藤清治だったんですか!!!」

どうしたんですか、西本さん。

「伝説のランナーですよ。
 みなさん『佐藤清治』と
 ぜひ検索してみてください。
 僕のランナー仲間で、
 『佐藤清治と話したことがある』
 という人がいるんですけど、
 それだけで尊敬を集めるくらい、
 伝説の人なんですよ」

はー。
その佐藤選手の走りに影響を受けた、と。
やっぱり、松本先生は
目指す人というか
ライバルのような人がでてくると燃えるんですか。

「そうですね。おそらく家族構成も
 影響しているのかもしれませんが、
 僕、4人兄弟の末っ子なんです。
 だから、ものすごい負けず嫌い。
 走るのでも、勉強でも
 一番にならなくちゃと思ってきました」

はー。なるほど。
文武両道の根底にあるのは
「負けず嫌い」なんですね。

2014/08/21 19:33 あたらしい先生です。

つづいて「勉強の夏」サイドは、
会社員・松本翔先生がいらっしゃいました。
の知人とのことですが、
どんな方なんでしょうか。

「一言でいうと、すごい方ですよ。
 高校3年の12月に全国高校駅伝に出場し、
(しかも、1区というエースが走る区間!)
 その翌月の1月にセンター試験、
 2月に2次試験を受け、
 東京大学文科1類の法学部に現役合格!!」

おぉー。東大!

「しかも、受験されたこの年度は
 法学部の定員が減らされたのにも関わらずです。
 だいたい、ランニングをしている人間というのは
 睡眠時間は削れませんから、12月までは
 深夜の勉強なんてできないわけです。
 ですから、12月に駅伝に出て、
 現役東大合格なんて、普通はありえません。
 その後、東大でも1年生のときに
 箱根駅伝に出場。
 卒業後も、社会人として働きながら
 各地の大会に出ておられます。
 フルマラソンの自己ベストは、2時間13分38秒。
 実業団に所属している選手よりも速い。
 こんな市民ランナー、どこにもいないんです」

自身もランナーである西本は熱く語ります。

つまり、正真正銘の「文武両道」の
先生ということですね。
どんなお話が聞けるのか、たのしみです。

前置きが長くなりましたが、
松本先生、よろしくおねがいします!!!

2014/08/21 18:48 なぜ涌井さんは編集者になったのか。

最後に、涌井さんに、
どうして文藝春秋の編集者になったのか
きいてみました。
まず……大学でも陸上を?
だからNumber編集部?

「たしかに大学も陸上をやってました。
 4年間、体育会陸上部です。
 けれど大学では記録は出ませんでした。
 二回生の時におおきな肉離れをしてしまって。
 でもたのしかったな。
 京都を走った思い出がいっぱいあります。

 じつは大学院に行こうと思っていたんです。
 司馬遼太郎の記念財団の
 論文コンテストで入賞して
 奨学金が出ることになったんですね。
 50万円の予算で1年研究して発表しなさいと。
 ぼくはオランダに行きました。
 司馬さんの著作『街道をゆく』や
 『土地と文明』で知った
 干拓して土地をつくるということ、
 土地を個人が私有することにかんして、
 合意形成のしかたがほかの国とちがうこと、
 共同事業のコンセンサスはどうする?
 みたいなこと。
 そういうことを司馬さんが書いてらしたのを、
 あらためて考えてみたくって。
 そしてその発表の場に、東京でしたけれど、
 いろんな出版社の編集者が来ていたんです。
 そこに、文春の当時の役員がいて、
 『きみおもしろいな』って。
 『先生はだれ? なんだあいつか!
  あいつを論壇デビューさせたのは俺だよ』
 なんて。
 そして京都に戻って先生に言ったら、
 その人のことを教えてくれた。
 『あのひとは化け物みたいな人間で、
  ぼくはあの人に文章を鍛えられたんだ。
  すごい人だよ」って。
 ふつうに一対一の人間として
 ぼくの尊敬している先生が
 すごいと言うその人と、
 その人がいる会社に、
 とても興味がわいたんです。
 そして先生が言いました。
 『文春の編集者になるには、
  大学院に行くくらい
  勉強しなくちゃいけない。
  でも……だったら
  行く価値はあるんじゃない?」
 って」

そうして文春の編集者に。
新入社員の半数はいきなり週刊誌、というのが
わりと自然なことだそうですが、
例に漏れず涌井さんも週刊文春編集部に配属。
毒入りギョウザ事件を追ったり、
秋葉原の通り魔事件に急行したり。
2年間フルで週刊誌で鍛えられて、
いま、スポーツ誌の
『Number』にいるというわけです。

もともと走っていた人だから、
いまの環境はぴったりですねえ。

「そういえば受験勉強しているときも、
 家のまわりとか走ってましたねー。
 ダイハツの工場があって、1周2キロなんです。
 そこを30分くらい。
 頭だけ使っているというアンバランスが
 生理的に気持ち悪かったんですね。
 運動が習慣になっていると 
 脳にいいことが
 あるんじゃないかって言いますよね。
 脳を鍛えるには運動するしかないって。
 ずっとパソコンの前にいるより、
 走ってるときに
 「こんなふうに考えてみてもいいな」という
 アイデアが浮かぶことがありますからね」

そして、やっぱり走ってる人は、
カラダ、すごいなー。
ああ、いろいろ反省しきりでございました!

2014/08/21 18:47 ノートってなぜ取るの?

そして、涌井さんにもう1問。

………………………………………………………………………
〈おたより〉

ノートって、一体
何の為にあるものなのでしょうか
勉強したことをまとめるのなら
すでに要領良くまとまっている本や
教科書を穴があくまで読めばいいし
書いてもう一回読むなんてことあるんですか?
計算なら広い面積があった方が
やりやすい事もあるので
あると捗るとは思いますが
ちょっと前に流行った、東大に合格した人の
ノートがどうしたこうした
という本がありましたが、
全く意味がわかりません
ノートって何ですか?
(匿名さん)
………………………………………………………………………

「あたまじゃなくって体で覚えるのに
 ノートっていいと思うんですよ。
 自分のからだを一回とおらないと
 ほんとうの知識にならない感じがするんです。
 ぼくの場合」

なるほどー。

「テレビでみたり新聞で読んだりしたことでも
 取材をして、選手に会って話をきいたことが
 自分の字でノートにあると、
 ちゃんと『蓄積された』感じがする。
 からだを通った知識のほうが身になるからこそ、
 ノートをとるという行為があるんだと思います」

涌井さんは、高校のときの
ノートはどんなでしたか?

「ぼくは英語はひたすら英作文をしてました。
 京大の入試は英語150満点で
 5問しかないんですね。
 長文のなかに線があって訳せとか、
 日本語を英訳しろ、というような。
 だからいろんな文章を
 日本語から英語にする練習をしました。
 そのときにあたまで覚えるのではなく
 体で覚えるのに
 ノートは必要でした。
 これって体育会系の発想かなあ?」

いやいや、ぼくも英語を
さらさらと書くこと自体が好きで、
勉強じゃなくてサボってるようなつもりで、
つまり落書きみたいな感じで
英語のノートを書いてました。
でもそうするとやっぱり覚えますよね。
楽しいし。

「世界史なんかだと、
 どうしても覚えにくいところは
 家系図的に書いたりね。
 そして、さっきも話しましたが、
 『あのノートのここにあった』という記憶が
 テストのときにぱっと浮かんで答えが出たり。
 むりに取る必要はないと思いますけれど、
 『わかったつもりに
  なっているけどわかってない』ことを
 耳から手におとしこんでまとめるのって、
 すごくクリエイティブな作業ですよ。
 受験勉強はそこまで体系的に
 まとめることじゃないけど、
 いいトレーニングになりますよ。

 断片的な話や
 かならずしも体系だっているわけじゃない話を
 再構築して体系づけるのがノートですから、
 ぼくはやっぱりそれをやるのが好きなんですね。
 大学時代の話ですが、
 自分の興味のある哲学や歴史だと
 『このノートすごいね』って
 ともだちに言われるくらい
 きれいに書いてました。
 いまこの話をしていて、
 『ちゃんとノートつくりたいな』
 って思いました。

 でも、強制されるといやですよね
 もし先生から「こう書け」って
 言われることがあっても、
 やっぱり自分でくふうしてみるといいかも。

 よくまとまったものを読めばというよりも、
 自分の体にちゃんとどうやったら
 勉強したことが定着するのか、
 それを自分のやりかたでできればいいんです。
 それはノートじゃなくてもいいけれど、
 ノートでやっているひとが多いんでしょうね。
 だから『ノートをつけなさい』
 って言われるんでしょうね」

2014/08/21 18:46 下水道について作文を書け。

つづいて、こちらのおたより。

………………………………………………………………………
<おたより>
二年生の息子の課題に、
「下水道について」作文を
原稿用紙二枚に…というものがあります。
下水道について、
息子が何か感じている様子もなく、
どんなアプローチをしたら良いか
アドバイスお願いします!!
(ゆでこママ)
………………………………………………………………………

「この課題がおもしろいですよね!
 この課題をだす先生、
 学校がおもしろい」

はい、ぼくもそう思います。
たぶん小学校2年生なんですよね。
下水道、そりゃ興味ないだろうなあ。

「そうですよ。下水道についてなにか感じる
 機会はないですよね。
 たぶんおかあさんご自身も
 なにも感じていないはず。
 だから『おかあさんも、
 下水道のことを知らないと思うので、
 いっしょに調べてみる』
 というのが、まず言えることですよね。
 アプローチは無限にある。
 下水道の『下』ってなに?
 じゃあ『上』はあるのかなあ? とか。
 下水道っていつできたんだろう?
 そこではたらいている人に話をきこうか」

なるほどなるほど。

「あ! こういうのはどうかな。
 『下水道のないところに行ってみよう!』。
 汲み取り式のところに行ってみるんです。
 ほんとにこれを、車で回収してるの?
 すごいよ! そういう驚きはあると思うな。
 上下水道ってすごいインフラだから」

2014/08/21 18:45 高学歴は得をする?

さて、そんな涌井先生に、質問を
ぶつけてみましょう!

………………………………………………………………………
<おたより>
ほぼにちさんや、その周辺の方々は、
高学歴の方が多いそうですが、
ぶっちゃけやっぱり高学歴の方は、
就職などで得したことの方が多いのでしょうか?
勉強をしなければと思うのですが、
勉強をしたって、
何になるんだ…という思いもあるのです。
そこで、ズバリ訊きたいのです。
やっぱり勉強が出来た方が、大人になって
世の中を渡って行くようになった時、
得をするのでしょうか?
私の疑問、ぜひ解決して下さい。
よろしくお願いします。
(にゃんこのしっぽ)
………………………………………………………………………

「得すると思います」

おお、ハッキリ。

「得というとちょっと
 他人任せの言葉ですが、
 もちろん就職活動で
 大学の名前だけで見てもらえない、
 ということがないのは得なんですけれども、
 そういうことではなくてね。
 受験勉強をきちっとやっていると、
 世界史の興味のない時代だとか、
 生物の遺伝子のことだとか、
 いろんなことを自分なりの
 体系をつくって覚える。
 それがトレーニングになるんです。
 いまぼくは編集者ですが、
 いろんな仕事で、きょうは陸上の取材、
 あすはサッカー、
 部署が変わったら殺人事件を追え、
 みたいなことがある。
 ものごとをどう理解するか、
 という点において、
 これは偏見かもしれないけど、
 しっかり勉強したひとのほうが。
 総じて理解するスピードが速いと思います。
 速さだけが重要ではないけれど、
 ものごとを理解するときに
 Aと言われてわからなくても
 『とりあえず受け止めて考えてみよう』
 という態度がとりやすいと思います。
 拒絶しない。
 わからない、では自分なりに調べてみよう。
 そういうことが受験勉強とつながっているし、
 そういう思考方法が
 身に付いているからですよね。
 受験勉強でも興味のないことを
 どう体系づけて覚えるかは
 自分なりに考えたほうがたのしいし、
 おぼえやすい気がする。
 先生におそわるよりもね。
 それが受験勉強の
 効用なんじゃないかと思います」

2014/08/21 18:44 高校時代よく読んでいたのは‥‥?

「そこからは勉強しましたよ!
 自分でいうのもなんだけど。
 受験勉強体制に、
 夏休みくらいまでは戸惑っていたけど、
 9月くらいには
 『こういうふうに勉強していけば
 なんとか間に合う」という感じがあって。

あと、陸上のおかげなんだけれど、
ほかの受験生に比べると、
ちょっとズルい話があるんです。

リレーで関東大会に行ったでしょう。
決勝で6番までが
インターハイに行けるんだけれど、
ぼくらは0.06秒差で7位。
インターハイには行けなかった。
すごくくやしくて泣いているときに
慶応大学陸上部のマネジャーが来て、
「大学はどこを考えているんですか」
って言うんです。
「京大です」
「もしよければうちの大学に
 自己推薦やAO入試があるから
 受けてみたら?」
もともと慶応の総合政策学部には
興味があったので
10月に陸上部の寮に前泊させてもらい
その入試を受けて、
合格通知をもらっていたんです。
だから、ほかの私立を受けなくてよかった。
センター試験と
京大の二次試験の勉強に絞れたんです。

センター試験は
英語、国語、数学1A、2B、
生物、現代社会。
京大受験の二次試験は、
国語、英語、数学、世界史。

おや、手元にあるのは世界史の参考書?

「そう、これが、つまらない授業のときに
 読んでいた本のひとつなんですよ」

第一学習社
『グローバルワイド
 最新世界史図表』‥‥。

わあ、すごく緻密な参考書ですね。
これ、オトナになると
面白いなあって思います。
涌井さんは当時から
これが面白かったんだー。
でもこの参考書、
赤線とかひいてないですよね。
すごくきれいです。

「そう、ただ、見てたんです。
 ほかの教科の授業中に
 この世界史の資料を見るのが大好きで!
 で、そういうのって、意外といいのは、
 試験中に答えがなぜか出てこない、
 もうすこしで出そうだっていうとき、
 『資料集のあのページに出てたな。
  エル・グレコの横にあった‥‥
  レンブラントだ!」みたいに、
 純粋記憶じゃなくて位置記憶っていうのか、
 ページまるごと
 覚えるみたいに見てたんですね」

ほかにも、「この過去問に似たヤツ、
図書館で勉強したとき見たな」とか、
時間と空間で思い出したりもしたそう。

「出てこなかった知識がぽこんと出てくる、
 それが感覚的に好きだったなあ」

なるほど! ぼくもちょっとだけわかるのは、
国語便覧を読むのが好きだったことです。
ぼくの場合は落書きだらけなんですけどね。

「受験勉強はじぶんで覚えるしかないでしょう。
 数学でも方法論がわかったら、
 あとはどうやって答えにたどりつくかを、
 パターンで体におぼえこませる。
 だから『教わる』より
 いろんなパターンを知るかということが大事。
 そしてそれは、自分でできるわけです」

高3時代の涌井さんの勉強方法は、
学校で勉強をして、
学校がおわったら市立図書館へ行って、
閉館時間が来たら、
当時受験生向けに開放されていた
群馬県庁の会議室にみんなで行って勉強。

「そうすると女の子がいるんです!
 男子高のものにとっては、それがうれしい。
 『教えて?』みたいに
 言ってきてくれたりすると、
 高校生なりの自尊心をみたしてくれるんです。
 楽しかったなあ」

2014/08/21 18:43 なぜ京大へ?

涌井さん、そこまで勉強ができて、
群馬の子だったら
「東大に行く」というコースが
妥当かなって思うんですけど、
京大なんですよね。
それはなぜだったんですか。

「えーっと、
 京大のほうがかっこいいから!」

ありゃ。

「授業を受けたい先生が
 3人いたんです。
 ぼくの年代は、
 ベルリンの壁崩壊の記憶はないんですが、
 高2のときに911同時多発テロがあって。
 そのとき、はじめて歴史の
 大きな瞬間を目撃している、
 という実感があった。
 当時から新聞や雑誌を読むのが
 好きだったのだけれど、
 そのあと本を借りたりして調べていっても、
 わりとみんな言うことが
 同じだなあというなかで、
 ちょっと変わったことを言うひとが3人いて。
 そのひとたちが、3人とも、
 京大の総合人間学部にいたんです。
 だから、そこに行きたい! って。
 総合人間学部っていうのは
 文系と理系が融合したようなというか、
 運動科学や身体哲学、国際政治みたいな、
 ちょっと本流ではないけれども、
 面白い人たちがあつまっていたんです」

なるほど。
そうして京大に狙いをさだめた
高校生の涌井さんですが、
陸上を引退したのは、高校3年の6月、
関東大会の群馬県予選をもって。
(ちなみにあこがれていた
 4×400Mリレーで、
 まさかの優勝!
 しかも自己ベストである
 49秒07の記録を
 たたきだしたそうです。
 残念ながらインターハイには
 進めなかったそうですが。)

その6月の部活引退から、
本格的な受験勉強へ。
どんなこと、してました?

2014/08/21 18:42 つまらない授業のときは本をよむのだ。

高2になるときに文系に進んだ涌井さん。
そうなってくると教科がしぼられるので、
きらいな化学は
やらなくてよくなったりすることで
好きな科目に集中でき、
文系3クラス120人のうち
10番以内くらいに
入れるようになっていたそうです。

ううむ、陸上部もやってるのに‥‥。
つまらない授業とかはどうしてたんですか。
寝てなかったんですか。

「あ、うちの部活、朝練はなかったので、
 昼間眠いということはなかったんですよ!
 でもつまらない授業ってありますよね。
 そういうときにはひたすら本を読むか、
 自分で勉強をしてました。
 小説は村上春樹さんや
 江國香織さんを読んでいたなあ。
 ぼくは本を読むのが好きで、
 高1と高2のとき、
 全校生徒図書館貸出しランキングで
 2位だったんですよ」

ああ、ますます文武両道。
あの、予備校とか塾とかには
行ってなかったってことですよね?
陸上部と学校だけで。

「あ! いっこだけ特別なのは、
 中3のときに英語に
 ちょっと苦手意識がわいたとき
 町の英語塾に通い始めたんです。
 ちょっとおもしろい先生がやってる塾で、
 すごくテンポがいい授業で、
 『これさえわかれば全部わかる』
 っていうのかな、
 そういう教え方が上手な先生で。
 そこで発音や文法をならったら、
 高校では英語もつまずかなかった。
 高校時代もずっと、週に1回、通いました。
 最初『おまえほんとに英語のセンスないな!』
 って言われていたのが、
 センター試験200満点で190点以下を
 取る気がしない!
 というところまでいけました」

はふー!

2014/08/21 18:41 部活ばっかりの高校時代。

「前橋高校の陸上部に入って、
 自己申告で短距離を選びました。
 高校1年の5月、
 群馬県のインターハイ予選で
 違う高校の先輩、
 それはのちに全国優勝する先輩なんですが、
 その人が400mを
 走っているのを見て感動したんです。
 人が走るのを見て感動するって、
 自分でも驚きました。
 レベルがちがうんです。
 4日間あるうちの最終日の最終種目である
 4×400mリレー、
 通称マイルリレーでの、
 全高校が注目する
 応援合戦のなかで見ていて、
 『リレーを走ってみたい』
 って強く思いました。
 それが部に入って
 400mを選んだ理由です」

400mって、
ものすごくつらいって言いますよね。

「無酸素運動と
 有酸素運動の境界線っていうか。
 とある医者で、作家でもあるかたに、
 400mや800mをやっていると
 医学的には、寿命縮んじゃうよ
 って言われたことがあるんですが、
 そのくらいつらい種目なんですよ。
 で、その400mを、
 3年間、ずっとやってました」

高校で体育会系の部活をずっとやってたら、
授業中ねむくって、
家に帰ったらご飯食べてバタンキュー、
みたいな生活になりそうなものですが、
勉強はどう両立させてたんですか。
現役京大入学ってことは、
きっとできたと思うんですけど。

「両立、っていう意識はなかったです。
 もちろん高校を選んだのは大学にいくため。
 部活も、たのしいことをふつうにやってる。
 そもそもプレッシャーは、
 陸上に関してはないんですよ。
 それで将来食べていこうとかはないわけだし。
 だから高1、高2は、帰って食べて寝て。
 テスト前に勉強するくらいで、
 部活が中心でしたよ」

当時の前橋高校では、
入学してすぐテストがあって、
それはいきなり東京や
埼玉の私立高校の入試問題を
解かせるというものだったそうです。
ものすごく難しいので、ぜんぜんわからない。
みんなめちゃくちゃ、出来ないそう。
でもそれは先生たちからの
「おまえらはこういうのを解いてきたやつらと
 受験でたたかうんだ」
と、わからせるための方策。
「じぶんは頭いいんだ! と思っている
 いなかの高校生が、井の中の蛙だったって、
 思い知らされちゃうんですよ」

そしてさいしょの定期テストでは、
320人のなかで、
69番か70番だったそう。
(よく覚えてますよね‥‥)
そのときは「こんなに上がいるんだ!」と、
ショック、かつ、ワクワクしたのを
いまでもよく覚えているそうです。