2013/08/22 21:08
しゃべる前に考えろ

「どんなふうに国語が得意だったかというと、
 教科書はもらったその日に
 読み終わっていたほどです。
 だって、教科書って、イイトコ取りでしょ?
 だから、1日で、国語は終わってた」

そっかぁ。特に物語はおもしろいですもんね。

「そう。でも、理数系は弱かったし、
 とにかく集中力がなくて
 落ち着きのなさはプロ級だったから
 先生にも親にもよく怒られてたよ」

あのぅ、よく思うんですけど、
どうして落ち着きのない子って
怒られちゃうんでしょうか?

「動体視力でとらえるもの、つまり、
 動いている奴が目立つからです。
 目立つから怒られる。ただそれだけです。
 ジッとしている奴らのなかにも
 ぜんぜん集中していない生徒はいます。
 でも、あれは耐えてただけです。
 勉強はできていない」

目につくものだから怒られるんですね。
それが最も悪いこと、ってわけじゃない。

「そう。しかも俺は、口がまわるタイプだったから
 父親に
『しゃべる前に30分考えろ』って言われて、
 壁に向かって正座させられたことがあります」

西田さんのおとうさんって、
スポーツの実況アナウンサー、
だったんですよね?

「そう」

目の前のことをすぐにしゃべるお仕事の人に。

「そこまで言わしめたんだからよっぽどだよね」


2013/08/22 20:25
決め手に欠ける

では、エロ太くんならびにこんにゃくくんの
成績はどうだったのでしょうか。

「基本、オール4で、決め手に欠ける。
 ただ、本がたくさんある家だったので
 国語だけは得意でした。
 ぼくは、本に興奮するタイプでね。
 本棚に並んでいたのですが、
 宇能鴻一郎、そして川上宗薫、
 めくるめく、そういったエ‥‥」

エロ、ですね。

「エロ作家の名作を読みあさりまして、
 ジョン・クレランド/吉田健一訳
 『ファニー・ヒル』って、当時は発禁本でしたけど、
 すばらしい作品に出会いまして、
 いま読み返してもあの頃の興奮は
 戻ってこないですけれども、
 6年生のときに、あれに出会ってよかった。
 人の本棚をあさることのおもしろさを知りました」

エロに行く前は、もともとは?

「もともと大好きだったのは星新一さん。
 それからエロ太時代に小松左京さん、筒井康隆さん。
 あのころのSF界はそうそうたる流行作家の新刊が
 本屋さんの棚に並びました。
 小松左京さんの『エスパイ』、読んだ?
 読んでないの? エスパーでスパイだよ?
 ドキドキするよ?
 あれを小6の水疱瘡のときに布団で読んで、
 エッチなシーンが出てきて俺はびっくりだよ、
 活字でもオッケーってわかって」

はぁ、あの‥‥。

「つまりね、
 活字でそれほどの想像力をふくらませることが
 できるようになった。
 その小学生の体験は
 ぼくの国語力をアップさせたと思います」
 
 


2013/08/22 19:55
ポンちゃんとやっこだこ

エロ太くんは、
小学校でエロ話をして‥‥

「はい、それで、家では
 くまのぬいぐるみと自作映画を見てました」

え?

「いやー、ぼかぁね、
 小学5年くらいから、自分なりの
 寝るときの儀式がありましてね。
 まず、ポンちゃんという名のクマのぬいぐるみに
 今日あったことをお話するんです。
 それからいっしょに映画を見るの。
 それは、自分の心のなかで映し出す
 空想映画だよ?
 いつも、はじまってしばらくすると
 寝ちゃうんだけれどもね。ハハハ。
 それから、やっこだこがさ、
 ベッドサイドに飾ってあったの」

は?

「やっこだこ。凧だよ、カイト。
 それがなんだかちょっと怖くて、
 自分じゃ触れないんだけど、
 ひもがまわって歪んでいたりしたら
 親を呼んで『直せ』なんて言ってた。
 それをある日、親が怒って
 バリバリに折ってしまったわけ」

凧を。

「そう。その、バリバリに折られた凧をね、
 パジャマのポケットに入れて‥‥」

え?

「小さくたたんで、
 パジャマの胸のポケットに入れて、
 毎晩、お守りみたいにして寝てました。
 パジャマを洗濯しても決して凧を
 ポケットから出すな、と
 親には伝えていたので、
 洗濯するたびに、縮んで、とけて、縮んで、
 とうとう小さく、小さくなって、
 それが消えてなくなったときに、
 ぼくは大人になった、というわけです」

‥‥‥‥‥‥‥‥怖いです。

「そう言うだろうなと思ったよ」


2013/08/22 19:33
エロ太

成績の話をする前に、まず
おでんを食べていただきつつ、
どういったお子さんだったか、
うかがってみましょう。

「ぼくは転勤族の子どもで、
 広島から東京に越してきて、
 東京でも引っ越しをしました。
 ですから、外ヅラがいい。
 初対面で明るく軽く、人と仲よくなるのが得意。
 
 ぼくは、頭がいいってことは、
 世の中を知るってことだと思うんですよ。
  
 その転校で、ぼくは小学校ごとに
 格差があるということを知りました。
 つまり、レベルの違いにおどろいた。
 エロ話のレベルの違いに」

え?

「ほんとうに、引っ越した先の駒込の小学生、
 なんっっっにも、やらしい話を
 知らないんですよ。
 だから俺は、エロ太って呼ばれてた」

こんにゃくの前はエロ太だったのか。


2013/08/22 19:31
こんにゃく

博報堂でコピーライター、
その後、雑誌の世界に転職、
「BRUTUS」の編集長でキレ者、
さぞ小さいときから
賢くていらっしゃったのではないでしょうか。

「いえいえ、ぼくは中学のとき
 こんにゃくというアダ名を
 先生からつけられました。
 そのくらい、落ち着きのない子どもでした」

授業中におしゃべりするわ、手紙まわすわ、
怒ると泣くわ、という
中学生だったそうです。

「とにかく、集中力がない。
 のべつ、しゃべってました。
 のべつ、しゃべってました」

2回言うほど、しゃべってた。


2013/08/22 19:27
キメキメです

このあと何かの発表会、
そして、さらに
日本の経済界の重要な方との会食を
控えておられるため、
本日はキメキメのスーツであります。

西田善太先生、かっけー。

1987年早稲田大学商学部ご卒業で
あらせられます。


2013/08/22 19:24
オオトリ登場

本日の「勉強サイド」の
オオトリの方がやってきました。

マガジンハウス
「BRUTUS」編集長、
西田善太先生です!

ダンダカダンダンダーン。


2013/08/22 18:47
ありがとうございました!

7つも質問にこたえてくださった
プレジデント社の
八尾研司先生と
斉藤賢太郎先生。
ありがとうございました!

「もうひとついいですか?」

と斉藤先生。はいどうぞどうぞ。

「ひとことなんですけど‥‥。
 英語より敬語です!」

おお。英語より敬語。

「英語が喋れるより
 敬語がちゃんと使えるほうが
 日本で生きていくなら必要です!」

おおー。と感動していると、
八尾先生がひとこと。

「それよりさ、おまえ、
 遅刻なくそうよ?」

「どっひゃー!」

おあとがよろしいようで。
ありがとうございました!


2013/08/22 18:40
電卓がうまく打てない原因は?

では八尾先生に最後の質問です。

こんにちは。
簿記3級の勉強をしているアラサーです。
小さなころから計算や数字が苦手で、
簿記も3回くらい挫折して、4度目の正直(!?)で
ようやっと本試験の形式までたどり着きました。
しかし電卓がちゃんと打てません。
答案を見ながら電卓をたたいているのに
なぜか合計が違う値になります。
いい電卓を買いなさいと言われそうですが、
電卓に何千円もかけられるほど余裕もありません!
(ちなみに今は簿記2級に合格した父から
もらった電卓を使っています。)
どうやったら電卓が正確に打てますでしょうか?
打ったりたたいたりするのがいけないのでしょうか。
コツを教えていただきたいです。

(なたね)


「これも東大生だったらどうするか?
 っていう視点で考えてみましょうか」

はい、おもしろそう。
そうしてください!

‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
できる子だったら
「どのキーが壊れているか見つける」
のでしょうね。
どれかのキーが壊れているに違いないと、
まずそれを疑いなさい。
ほんとに壊れていないとわかったら
電卓じゃないから電卓を買う必要はない。
だったら動きの癖のはずです。

打てないキーがあるはず。
たぶん1箇所です。

それを一個一個つぶしていこうという
冷静な気持ちになってください。

「打ったり叩いたり」
って言うんだから分析はしてるんですよ。
指の大きさと合わないのだったら、
買い替えたほうがいいのかもしれないけど、
その電卓いいじゃないですか。
使いましょうよ!
それで1級とったらかっこいいじゃないですか!
原因がわかれば解決方法もあるでしょう?

でも‥‥、壊れてたら
買いかえましょうね。


2013/08/22 18:36
できる子の特徴って?

ちょっとここで斉藤先生が寄り道トークです。

‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
前に東大生のアンケートをやりました。
東大に行ってインタビューを
朝から晩までやったんです。
何百人のアンケートが手元にあったので
これだけあれば大丈夫だろうと入力し
性格の傾向やなにやら分析しました。

これで勉強ができる人の共通点が見つかる!
と思いきや、みつからなかった。
なにもかもが傾向が見当たらなかった。

最後の最後にフリーアンサーを見たんですね。
そのフリーアンサーでわかったのは
彼らは「自分のこと」がわかってるということ。
どういう勉強の方法が合ってるか、
どういうことが苦手か、
どういうときに集中力があがるか、
自分自身がよくわかってるんです。
ダメでもいいんです。
サボり癖があるなら
それをどうするかを考えているんです。

頭のいい人って、
知識があるかどうかじゃなくて、
自分が使える脳と体を理解して、
100%動かせる職人みたいなもの。
限られたリソースで
最大限の成果をあげることができる人です。

つまり「客観」の能力がすごくあるんですね。

それってね、
思春期に手に入れる能力なんですって。
こどものころは「自分が」だけど
思春期は「あの人は自分をどう思っているだろう」
と考えるようになる。けれども落とし穴があって
「あの人は自分のことをこう思っているに違いない」
と、大事な判断すら
「客観」にまかせることがあるんです。
それってよくないですよね。
はじめて手に入れた「客観」に
ふりまわされちゃうんです。思春期って。

それをふりきるにはどうすればいいかっていうと
いちばん簡単なのは親と喧嘩することです。
中途半端につながっていた親と離れることで
客観の視点を持てるようになる。
「自分は自分 人は人」
っていうよく言われる言葉、
そのままなんですけれど。

ガリ勉っていうのは応用力がないことだけど、
自分に客観性がもてれば応用がききやすくなりますよ。
人に意見をするときに
客観の視点をもってるから
精度が高くなるんですね。


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