2013/08/22 17:11
質問コーナーその2

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高1の女子です。
数学嫌いではないのに、数学ができません
(点数が‥‥)
親からもから「数学嫌いでしょ?」と
言われ続けています。
どうしたら数学と
うまく付きあっていけるのでしょうか。
また、点数が悪いので
行きたいと思っていた理系に進むことも
止められています。
夢ももういっそ諦めるしかないのかな、
とも思います‥‥

どうすりゃいいんでしょうか?
───────────────────

「難しい問題ですが、自分の経験からして
 『嫌いではない』という部分を
 『好き』にまでもっていけたら
 きっとわかるようになるし、
 テストの点数も上がってくると思います。
 なので、こういうのは、どうでしょうか。
 数学の分野には
 何人もの数学者が360年もかけて解いた
 フェルマーの定理とか
 おもしろい話が、たくさんあるんです。
 そういう物語や
 数学に関する読み物をもっと知って、
 自分の中の『好き度』を上げていくんです。
 教科書の問題を解くより
 回り道になるような気がするかも
 しれませんけど
 でも、自分の中の『好き度』を上げていけば
 きっと、成績も上がると思う。
 好きこそものの上手なれと昔から言いますし」


2013/08/22 17:10
質問コーナーその1

それではそろそろ、
読者のみなさんからの質問コーナーに
参りたいと思います。

理系の質問が来ているので
いくつか、お答えいただきましょう。

────────────────────
センター試験で、
理系の教科を伸ばすコツはありますか?

(匿名希望)
───────────────────

「これは、具体的に切羽詰まっていた
 僕がやったことなんですけど
 やはり、あれこれ手を出さずに
 教科書をちゃんと勉強する。
 これに、尽きるのではないでしょうか。
 基本のところを押さえておけば
 なんとかなる問題って、案外あります。
 そのあと、難しすぎない問題集を
 一冊とおして、最後まで解いてみるんです。
 そして、解き終えたら、
 もういちど、最初からやってみる。
 基礎が身につきますし、
 これだけはやったという自信にもなるし」

なるほど。

「ああ、目の前には
 大海原が広がってるなあと思っちゃうと
 不安な気持ちになりますよね。
 でも、ひとつこれと決めて
 それだけはやったと思うことができれば
 大海原だって、意外に何とかなるかもと
 思えるんじゃないでしょうか」


2013/08/22 17:03
教科書なんて屁である。

ハリ先生、ひとつ質問なのですが、
こんなこと聞いても
仕方ないかなとは思うんですが、
ぼく、数学の問題を解くとか、
何がおもしろいんだか
まったくわからなかったんです。

ハリ先生は、あの単純な計算問題なども
「ああ、おもしろい」と‥‥?

「いや」

おもしろくない?

「先ほど、都築卓司さんの
 『はたして空間は曲がっているか』に
 衝撃を受けたと言いましたが‥‥」

はい、聞きました。

「だって、空間は曲がっているんですよ?
 そんな話にくらべたら、
 教科書に書いてある計算の問題なんて
 まるで『屁』のように感じました」

教科書は、屁‥‥。

「ですから、
 都築先生の考えてることのレベルに
 達するためには
 こんな、問1とか問2みたいな
 つまんないところで
 つっかかっているわけにはいかない。
 そう思って、
 どんどん先に進んでいったんです。
 そういうところは、ありましたね」

なるほど‥‥。


2013/08/22 16:37
ハリ先生の阪大時代。

では、どうやってそこから阪大へ?

「将来はデザイナーだと思っていたのに
 美大は難しそう。
 では、どこの大学なら入れるんだろう‥‥と
 自分の成績をよく分析してみたら
 ひねった問題は解けないんですけど、
 基礎的なことは、
 わかっていたみたいなんです。
 そこで、あれもこれもと欲張らずに
 教科書を中心に勉強しました。
 物理や数学が
 もともと好きだったってこともあるし
 運も良かったんだと思うんですが
 なんとか大阪大学工学部の環境工学科に
 合格することが出来ました」

ハリ先生の「憧れ力」が役だったわけですね。
でも「環境工学科」とは、なぜその学科に?

「当時、ロキシー・ミュージックの
 ブライアン・イーノなどが
 環境音楽というジャンルをやっていて
 すごく新しく見えて、好きだったんです。
 環境音楽というのは
 たとえば空港に流したらマッチする音楽、
 みたいなものですが、
 つまり、作者のメッセージが前に出るより
 ある空間のためにつくる音楽です」

はあ。ここでも「好き」がきっかけですか。

「環境工学部ってどんなことをやってるのか
 ぜんぜん知りませんでしたが、
 そういう、自分じゃなくて空間のために‥‥
 みたいな新しい考えかたに
 触れられるかもしれないなあと思って」

なるほど。「環境」とついてれば。

「あとはまあ、他の学科に
 ピンとこなかったというのもあります。
 『冶金』みたいな学科もあったんですが
 本当はぜんぜん違うんでしょうけど
 当時の僕には
 完全に鍛冶屋のイメージしか沸かなくて」


2013/08/22 16:02
ハリ先生の卓球時代〜
電動野球盤時代。

ちなみにですがハリ先生、
高校時代って、何部だったんですか?

「中学から6年間、卓球部でした。
 世界チャンプにもなった
 ニッポンの河野満選手に、すごく憧れてね。
 プレースタイルも
 河野選手の『前陣速攻型』にしたり、
 河野選手のラケットの写真を
 ためつすがめつ、えんえん眺めたり‥‥。
 そんな6年間でした」

卓球とは、意外ですね。

でも現役で阪大の工学部に入るからには
受験勉強もしてたんですよね?
物理も数学も、好きで得意だったわけですし。

「いや、僕はデザイナーになりたくて。
 デザイナーに憧れてたんです。
 将来はきっとデザイナーになるんだろうな、
 くらいに思っていました。
 でも、高校3年生に上がってから
 美大の受験には
 デッサンがあるということ知ったんです。
 そんな練習、してなかったんです」

まずいじゃないですか。

「だから、そのことを知ったとたんに
 すてばちな気分になりました。
 無理じゃん、と。
 そこで、毎日毎日、放課後になったら
 友だち数人と集まって
 エポック社の電動野球盤に耽りました」

それは‥‥逃避行動?

「いま思えば、完全にそうです」


2013/08/22 16:01
じゃあ物理は?

ハリ先生は
「近所のカッコイイお兄さん」に憧れて
数学ができるようになったと。

それじゃあ、物理は?

「そもそもは‥‥中学のときに」

それ、まだ、物理やってない時代ですよね。

「ブルーバックスという
 科学の入門書的なシリーズがありますが
 あのなかに
 都筑卓司さんという先生が書いた
 『はたして空間は曲がっているか』
 という本があります。
 で、その内容に衝撃を受けたんですよ」

はー‥‥どんな衝撃を?

「なにしろ、その本の結論が
 『曲がっている』だったんですよ!
 衝撃じゃないですか?
 だって、僕らの住んでるこの空間が
 『曲がっている』っていうんだから」

うん、たしかに。

「まだ中学生でしたから、
 むずかしい理論とかはわからなかったけど
 でも、そういうことがわかりたいと
 とても強く思いました。
 憧れたんですよ、わかる人たちに。
 そんなきっかけで
 物理のことが好きになっていきました。
 で、好きになってしまえば、
 あるていどは、わかる‥‥とういか
 わかるまで、やめないじゃないですか」

好きだから。

「そう」


2013/08/22 15:57
ハリ先生の高校時代。

それではさっそく、
お話をうかがっていきましょう。

ぼくは高校時代に
物理と数学に挫折したので聞きたいのですが 
ハリ先生は、
つまり、あのなんだかわけわからん教科が
お得意だったということですね。

「いや、はじめ、数学は駄目でした。
 あんまり駄目なので
 近所に頭のいいお兄ちゃんがいるので
 見てもらえと、親に言われて。
 そのかたは、京都大学医学部にかよう、
 コバタさんというかたで」

ははあ。
そのかたに教わって、できるように?

「そうですね、
 教えかたもわかりやすかったんですが
 なんといっても、カッコ良かった」

‥‥カッコ良い?

「まず、コバタさんはいつも、
 ものすご〜く先の尖ったエンピツを
 5〜6本、持っているんです。
 ナイフで削っていたのだと思うんですが
 『円錐』の部分が、
 ふつうのエンピツの2倍くらいあって。
 で、そのエンピツで
 難しい数式を解いていくんですが‥‥
 証明終わりのマーク、あるでしょう?」

へ? なんですかそれ。

「あるんですよ。
 黒い四角(■)のマークなんですけど
 証明が終わったときに、
 その四角を
 その尖ったエンピツでチョチョッと書く。
 その仕草が、ものすごくカッコ良かった」

ははあ。

「そうですね、あれは、
 一種の『スタイル』に憧れたと言っても
 いいかもしれない‥‥。
 ぼくも、あんな尖ったエンピツで
 難しい証明問題を解きたいと思ったんです」

‥‥数式の解きっぷりに魅せられた。

「もちろん、証明問題の解法そのものも
 すごくエレガントでした。
 あんなふうに数学を解ける人になりたい。
 そう思って、がんばったんです」


2013/08/22 15:54
続きましては、ハリ先生。

さてお次は、ほぼ日の服関係全般を
担当するにご登場いただきます。

ぼくは以前から、このハリさん、
いや「ハリ先生」をとても尊敬しています。

その理由は「ハリ先生が理系だから」です。
しかも
「大阪大学工学部」という難関大学の出身。

私事で恐縮ですが、わたくし、
高校時代、理系のクラスを選んだのに
物理と数学ができず、
けっきょく大学は文系に行ったという
「理系くずれ」なこともあって
物理や数学や
ドップラー効果やサインやコサインを
理解できる人に
無条件のリスペクトを抱いてしまうのです。

そんなわけで、さっそく
インタビューを進めてまいりましょう。

テーマはもちろん「理系」であります。


2013/08/22 15:42
ちひろ先生、
ありがとうございました!

というわけで、ちひろ先生、
ありがとうございました。
質問は以上です。

「ありがとうございました」

ええと‥‥
つまり総じて言うと、
ちひろ先生は勉強については‥‥

「あんま興味ないです」

はい(笑)。
でも、5回受験を繰り返した
しつこさも、あるんですよね。

「勉強って一生するものですよね。
 だからやっぱり、
 好きなものを知ることが、
 勉強なんだと思います」

ちひろ先生は早くから、
好きなものを見つけられてよかったですね。

「はい。
 そう思います。
 ですから見つかってない人の場合
 どうしたらいいのかは、
 わたしにはわからないです」

ありがとうございます。
厳しくもありますが、真実だと思います。
ほんじつはありがとうございました。

「こんな話で大丈夫でしたか」

たいへん、大丈夫でした。
これからも、
モノマネとかするかもしれませんが
よろしくお願いします。

以上、加納ちひろ先生でしたーーーーー。


2013/08/22 15:31
質問4
「子どもが宿題をしない」

ちひろ先生に、
こちらが最後の質問です。

────────────────────
こんにちは、勉強の質問、させてください。
うちの次男、高校2年、のことです。
宿題というものを一切やりません。
それはもう長い話で、
小学校1年ではじめて宿題が出た時からです。
親として、励まし、手伝い、
説教をし、脅し、あの手この手で、
いろんな面からアプローチして
頑張ってきました。
ですが、結局、奴は全く動じず、
動かざるもの山のごとし、なのです。
成績は中の中という位置で、
本人に危機感が皆無、
先生方と相談しても、
まあいいんじゃないですかと、
反応は鈍いです。
私は成績うんぬんではなく、
約束したことを守る、という意味で、
きちんとやって欲しいのです。
残りわずかな夏休み、
何か打つ手はありませんでしょうか?
(つる)
───────────────────

「すごいアウトサイダー(笑)。
 すごい信念のようなものを感じます。
 納得がいかないんじゃないでしょうか。
 夏休みだから、休む。
 他人よりも自分と向き合っているような
 そういう高校生なんじゃないでしょうか。
 まあいいじゃないかとわたしも思います」

はい。
ですが、後半がポイントで、
お母さんとしては「約束を守ってほしい」と。
ちひろ先生も親になったときに
これは思うかもしれませんよね。

「まだ親になってないので
 なんとも言えないんですが‥‥。
 これがいい方に向かえばいいと思います。
 この信念の強さは
 ガマン強さとも言えます。
 疑問をもたず、なんでもこなす人よりも
 面白い気がします」

なるほど‥‥。
このかた、いいお母さんですね。

「はい」

ちーちゃんのお母さんも
こんなふうに見てたのかもしれません。

「(笑)」

お母さんから勉強で叱られたことは?

「あんまりないです。
 ‥‥やっぱり、そうですね。
 本人がきちんとしてたら、
 そっとしておけば
 いいんじゃないでしょうか。
 わたしはそう思います」


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