2012年12月16日
16:24
3曲め

そして、
糸井重里といっしょにつくった
「こんなところにいてはいけない」を
演奏したあと、
矢野さんはこうおっしゃったのです。

「次の曲は、どのような構成で
 動機でつくられたのか、
 考えて聴いてくださいね。
 よーく聴かないとわかんないよ」

そして、演奏されたのは
「ラーメン食べたい」です。

2012年12月16日
16:29
わーわー

すばらしい
「ラーメン食べたい」
でした。

大拍手です。

2012年12月16日
16:35
今日は


「今日は仕事をしている
 矢野さんを見てもらいます。
 うみの苦しみを見てもらいますので、
 ギクシャクすると思います(笑)。
 よろしくお願いします。

 でね、いまの『ラーメン食べたい』という曲、
 ふつうああいう歌を書くと
 りくつっぽくなるんですよ。
 どうして矢野顕子はああいう歌を
 書けるんでしょうか」

矢野さん
「この曲は、国語の教科書に
 載ったことがあるんですけど、
 どんなところに載ったと思います?
 『感じたことを思いのままに書いてみましょう』
 ってコーナーなんです(笑)。
 ラーメン食べたいってね、なんのひねりもない
 じっさいそのとおりなんですよ。
 
 ラーメン食べたいってときは、
 ラーメンしか食べたくないじゃない?
 うどんで代用きかないんです。
 いまの『あ”ーーー』という気持ちを
 歌にしたんですよ」

2012年12月16日
16:43
言葉には

矢野さん
「たとえば、
 ラーメン食べたいでもなんでもいいんですけど、
そういう欲望に

温泉入りたい、
ラーメン食べたい、

とメロディをつけてみるんです。

言葉には、言葉じたいにリズムがついてるんです。

たとえば、こういうリズムとふしにすると、
あんまりラーメンのありがたみがないでしょ?

でも、
ラーメン食べたい♪
とすると、ラーメンの雰囲気が出てくる。

その欲望を、そのまま乗っけてみるんです。

言葉は意味と同時に
リズムを持っているんです。
それを、ころがしていく、
耳でもてあそぶんですよ。

それが、曲作りのひとつの方法です」

2012年12月16日
16:48
音楽のベース

矢野さん

「たとえば クラプトンのギターの
 ここならできる、とか、
 ちいさいときにピアノをやってたとか、
 この歌ばっかり聴いてたとか、
 ほとんどの人には、それぞれの
 音楽のベースというものがあります。
 つまり、土壌。
 日本に住んでいるかぎり、
 これだけ音楽が流れているわけだから
 みんなに音楽力があります。

 わたしが幼稚園児のときにつくった歌が
 あるそうなんですけれども、
 (今日の遠足どうだったの?
  と聞かれて歌ったそうです)
 そのときにも、自分が持ち得た
 こどばの律でつくったわけです」
 
 

2012年12月16日
16:54
「ラーメン食べたい」の秘密

糸井
「『ラーメン食べたい』は
 矢野顕子さんの作詞ですけど
 あの歌のすごいさは、
 ラーメンというものがひとりの象徴だからです。

 鍋とは対極にあるもので、
 ひとりきりで最初から最後まで食べる。

 あの歌の最後に
 私のラーメンを責任持ってひとりで食べる、
 という歌詞が出てきます。
 それで答えはでているわけだけども。

 あの歌にみんなが共感するのは
 みんながひとりぼっちになったことがあるからです。

 その共感ひっくるめて
 ラーメンという食べものを
 ものすごく表現しているのです」
 

2012年12月16日
17:03
言葉をあそぶ心

矢野さん
「言葉の意味を考えるというより
 言葉を遊ぶ、という欲求が
 私にはあるわけです。
 ころがしたくなるんですよね」

糸井
「耳でころがすの?」

矢野さん
「耳の中で、ころがすんです」

2012年12月16日
17:10
調子

糸井
「よく、散歩中の犬に『行くよ』とか
 『おとうさん待ってるよ』とかいうと
 言うこときいたりするんだえけど、
 あれって、言葉の意味を理解してるんじゃなくて
 言葉の調子でいうこときいてるんじゃないかな、
 と思うんだけど」

矢野さん
「そうねぇ。
 そうすると、言葉というより、
 調子が人を動かすのかしら」

糸井
「そうかもね!
 だって、英語の歌だって
 意味がわからなくてもぼくら感動してるもの」

矢野さん
「そうだよ」

糸井
「たとえば、ここの紙に住所が書いてあるんだけど、
 宮城県気仙沼田中前‥‥」

矢野さん
「住所?」

糸井
「歌ってみて」

矢野さん
「♪みやぎけ〜ん〜 けせ〜んぬ〜ま〜
 たなか〜ま〜えぇ〜♪」

場内大拍手。

2012年12月16日
17:11
言葉に歌を

糸井
「今回、ほぼ日を通じて
 言葉の募集をしました。
 さっきアッコちゃんが住所を歌ったのと同じように
 ひとつの言葉をどう歌にするか
 やってみていただきたいんですけれども。
 
 この言葉です」

気仙沼にいます。

2012年12月16日
17:11
だって

糸井
「英語の歌だって
 意味がわかんなくても
 ぼくら、感動してるもの」

矢野さん
「そうよねぇ」



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