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番外編 東京観光写真倶楽部
浅草撮影会レポート


前回は、写真集の読み方のお話をしました。
当たり前の話なのですが、写真集というのは、
何枚もの写真によって構成された“本”のことですよね。
それでも、そうなった時に
不思議なことに、一枚一枚別に観るのとは
全く異なった印象を、あるいは新しい何かを
伝えることだって、出来るのです。

そしてぼくは最近、
そんなことが写真集以外の方法でも
出来るのかもしれないと思っています。

そこで今回は、次回の「写真集を作ってみよう」
というお話の前に、
それを少しでも知ってもらえたらと思って、
現在、ぼくの中でも回を追うごとに面白くなってきている
『東京観光写真倶楽部』の浅草で行われた
撮影会の模様をレポートしてもらいたいと思います。

では、事務局の岡本さん、よろしくお願いします。


はい、みなさん、こんにちは!
『東京観光写真倶楽部』事務局の岡本です。

『東京観光写真倶楽部』は、
菅原一剛さんが部長を務める写真倶楽部です。
以前、「写真がもっと好きになる」の
番外編として掲載された、
秋葉原での撮影会のレポート

ご覧頂いた読者の方もいらっしゃると思いますが、
今回は6月に行われた
浅草での撮影会の様子をお届けしたいと思います。

集合場所はもちろん、ここ!

浅草といえば“雷門”‥‥ということで(笑)、
この日の集合場所は雷門前。
心配されていた雨も降らず、集合場所では
「良かったですねー」
という弾んだ声が聞こえていました。



‥‥とはいうものの、空はどんよりと曇っていて、
「こんな天気で良い写真が撮れるのだろうか?」と
暗澹たる面持ちの参加者も少なく無い様子です。



ところが
菅原部長からの言葉が、その不安を一掃してくれました。



「“観光写真”というと真っ青な空や
 コントラストの高い写真を思い浮かべがちですが、
 今日みたいな曇り空だからこそ写せる写真もあります。
 僕は、今日は“湿度”を意識して
 撮ってみようと思っています」



これから始める撮影のヒントをつかもうと、
参加者の方々の表情も真剣そのもの。
もちろん私もその1人でした。



何はともあれ、
まずは『東京観光写真倶楽部』撮影会恒例の
集合写真の撮影です。
さあ、今日も楽しく撮影ができますように!



記念撮影の後、各自撮影に出発です!

撮影スタイルは、実に人それぞれ。
とりあえず作戦をたてるヒト、
いきなりシャッターを押し始めるヒト、
本当に様々なのです。







はてさて、この日の浅草は、
みんなの目にどんな風に写ったのでしょうか。

おっ!まずは菅原部長の撮影現場を目撃。



そしてなんと!京都から参加してくれたMDさんです。




(▲クリックすると拡大します)

菅原:どうやら久しぶりにカメラを持ったようで、
   なかなか思ったような写真が
   撮れなかったみたいですが、
   きっとそんなことは、撮っていれば、
   そのうちに”偶然”が、解決してくれるはずですよ。


こちらは2人で参加してくれたNKさんとHNさん。



まずはHNさんの写真。


(▲クリックすると拡大します)

菅原:これって、東京の絵柄ではないですよね。
   ぼくは、このあんず屋さん、見逃していました。
   ちょっと食べてみたかったかも。



そしてNKさんの写真です。
(▲クリックすると拡大します)

菅原:いきなり煙をかぶるのも
   どうかと思うのですが、
   そんな何でもあり感も、浅草ならではですね。


築地以来2度目の参加になるNKJさん。




(▲クリックすると拡大します)

菅原:またまた煙りものが続きます。
   やはり煙を撮るときには、光が欲しいですね。


韓国出張の合間に初参加してくれたMTさんです。




(▲クリックすると拡大します)

菅原:これは究極のローアングルですね。
   まさに猫の視点で、
   猫を見たっていうことでしょうか。
   でも、ぼくはこの写真けっこう好きです。

こちらも初めて参加してくれたNKTさん。
撮影は順調ですかぁ?




(▲クリックすると拡大します)

菅原:そうなんですよ。
   この日は朝からドンヨリと曇っていたのですが、
   途中で一瞬だけ晴れたのですね。
   このたった一枚が、
   そのことを思い出さしてくれました。


おっとNGさんは何を撮っているのかな?




(▲クリックすると拡大します)

菅原:こんな風に、小さいものと大きいものの関係が
   いきなりひっくり替えってしまうのも
   写真ならではの視点ですよね。


撮影中に中古カメラをゲットしていたYHさん。




(▲クリックすると拡大します)

菅原:これ、いい写真ですよね。
   この一枚から、いろんなストーリーが
   生まれてきそうです。

ん? さすが撮影しなれているYEさんとTHさんです。



そんなTHさんの写真はこちら。


(▲クリックすると拡大します)

菅原:この犬、何とも言えない
   哀愁が漂っていますね。
   もしかしたらこいつが、
   一番いろんなものを観ているのかも。
   そんなことを思い出した、一枚でした。

そしてこちらがYEさんの写真です。


(▲クリックすると拡大します)

菅原:これは地元の
   “日本のおばちゃん”健在、
   っていう感じでしょうか。
   何だかとっても、
   下町っぽい写真ですよね。

そうなんですよね。
撮影中に私が出会った参加者の皆さんは、
なんだかとっても楽しそうだったんです。

それに気づいたときは
「良い写真を撮らなくちゃ!」と
ガチガチになっていた自分がちゃんちゃら可笑しくて、
肩の力がふーっと抜けたみたいでした。

それから後は、
「浅草を撮ってやろう!」
と思っていた気持ちが自然と消えて、
浅草観光を楽しんでいる自分がいました。

街を、目で観て楽しみ、
そしてカメラのファインダー越しにまた楽しむ‥‥

「“観光写真”‥‥。楽しすぎる‥‥」


(▲クリックすると拡大します)
(私の写真です)

菅原:そうなんですよね。
   こんな路地がたくさんあって、
   そこを歩いていると、いつの時代なのか、
   どこなのかもわからなくなるような、
   ちょっとした迷宮への入り口。


などと私が感慨にふけりながら写真を撮っている頃、
他の参加者の皆さんは
こんな風に浅草を観光していました。

皆勤参加のWJさん。


(▲クリックすると拡大します)

菅原:何でもない、ふとした光景なのですが、
   見ていると、何だか妙に落ち着いた気分になるから
   不思議です。


初参加のOFさん。


(▲クリックすると拡大します)

菅原:そこにある世界の色彩はとても鮮やかなのに、
   決して派手には見えないですよね。
   こんなに地味なショッキングピンクを
   初めて見ました。


こちらも初参加のTTさん。


(▲クリックすると拡大します)

菅原:本当だったら、このメタルな感じは
   一般的な浅草の印象ではないのですが、
   そこは浅草、これもありな感じがします。


毎回参加してくれているWMさん。


(▲クリックすると拡大します)

菅原:ぼくは、この人の写真大好きなんです。
   いつも絶対にいい写真を撮ろうとする前に、
   まず最初にその世界の中を、
   漂うようにさまよっているのですよね。
   そして今回も、とても温かい眼差しと共に
   一番浅草を楽しんだのではないでしょうか。


SAさん。


(▲クリックすると拡大します)

菅原:この浅草寺は本当に面白くって、
   仏教も神道も入り交じっていて、
   中にはしっかり柏手打っている人もいました。
   それが浅草なのかも。


事務局のTIさん。


(▲クリックすると拡大します)

菅原:なぜだかこんなところでも、
   時代が止まっています。
   それにしても、山口百恵さんも、
   吉永小百合さんも、
   今のアイドルにはない、
   圧倒的な存在感がありますね。


NMさんも毎回参加してくださってます。


(▲クリックすると拡大します)

菅原:最近めっきり減りましたね、
   こんな感じのお煎餅やさん。
   そしてこの写真からも、
   しっかりと残っていって欲しいなー
   という思いが伝わってきました。


AJさんは今回初参加です。


(▲クリックすると拡大します)

菅原:修学旅行の生徒さんたちでしょうか。
   浅草で女子高生というのも、
   似合っているような
   似合っていないような。
   でも彼女たちは、
   そんなこと関係なしに楽しそうですね。


KMさん。


(▲クリックすると拡大します)

菅原:この写真を最初に観たときに、
   “造花”なのかと思いました。
   でも、よく見ると明らかに”生花”ですよね。
   もしかしたら、それこそが「浅草マジック」?

初参加。TYさん。


(▲クリックすると拡大します)

菅原:これも”迷宮の入り口”シリーズ。

こちらは皆勤参加のCKさん。


(▲クリックすると拡大します)

菅原:何の変哲もない床屋さんなのですが、
   こんな感じも最近は少なくなりました。
   それにしてもこの床屋さん、
   何だか、2階でも切ってくれそうな感じが
   しませんか。


初参加のSMさん。


(▲クリックすると拡大します)

菅原:迷宮の向こうには、
   またもうひとつ別の迷宮が、
   見つかったのかもしれませんね。


こちらも初参加のHHさん。


(▲クリックすると拡大します)

菅原:この写真は、ちょっと出来過ぎです?
   しかもモノクロで、あのちょっと”?”な
   “花やしき”に、風情が出てしまいました、

事務局のSHさん。


(▲クリックすると拡大します)

菅原:何だか、色の感じと構成が、
   マチスとデュシャンが混ざったみたいです。
   浅草が、現代美術しちゃったら
   こうなるのでしょうね。


TYさん。


(▲クリックすると拡大します)

菅原:しぶっ。

FAさん。


(▲クリックすると拡大します)

菅原:ちょっとこの写真、ドラマ感じませんか。
   まるですべてが仕込んだみたいです。
   これもまた、ちょっとした
   “決定的瞬間”でしょうか。


CBさん。


(▲クリックすると拡大します)

菅原:いったい彼らは、
   どこに向かっているのでしょうか。
   迷宮に迷い込まなければいいのですが。


初参加です!HIさん。


(▲クリックすると拡大します)

菅原:店内がガランとしている分だけ、
   この過剰な装飾が、ちょっともの悲しいですね。
   でも、視点がはっきりしたいい写真だと思います。


おためし参加のHAさん。


(▲クリックすると拡大します)

菅原:きっといろいろとさまよっているうちに
   迷ってしまったのかもしれませんね。
   でも、写真のいいところは
   行き止まりがないことですよ。


いやあ‥‥
同じ時間に、ほんの数キロ四方の中に
散らばって歩いていても、
観ているものはこんなにバリエーション豊かなんですね。

それでいて、どの写真も、確実に“浅草”。

これってスゴイことじゃないでしょうか。

だれか1人の撮影者が切り取った浅草も
もちろん“浅草”に違いはないのですが、
こうやって同じ時間に、同じ場所で、
複数の撮影者が撮影した写真を俯瞰してみると、
より立体的な“浅草”の姿が見えてくるのだと思います。

菅原部長が話している
『東京観光写真倶楽部』の写真の複眼的な面白さは
こういうことなんだと感じることができました。

1人の眼では決して観ることのできない“浅草”‥‥
その姿を擬似的にでも体験できる楽しさがここにはあります。

観光写真倶楽部の
HPにもいらしてくださいませ!


もちろん、撮影者1人1人の“眼”にも興味は尽きません。

この日の浅草での撮影会は
『東京観光写真倶楽部』にとって通算4回目の撮影会でした。
こうやって回を重ねてくると
何度か参加してくださっている方がどんな写真を撮るのか、
その人個人の“眼”のスタイルを追いかけるのも
楽しい作業になってきています。
そして『東京観光写真倶楽部』の撮影会では
毎回、参加者全員の写真に対して
菅原部長からコメントを頂いていますので、
その人の写真がどんな風に変化していくのかも、
『東京観光写真倶楽部』としては楽しみの一つだと思います。

この「第4回 浅草撮影会」の参加者の方々の写真も
菅原部長によるセレクト、
およびコメントつきでご覧頂けます。
是非『東京観光写真倶楽部』
ウェブページをのぞいてみてください。

この日の撮影会も
そうこうしているうちにあっという間に終了の時間。

再び集合した雷門前は
朝の集合の時とは比べものにならないくらいの
混雑ぶりでした。



カメラをぶら下げている撮影会参加者は
一般観光客の皆さんの、格好の「記念撮影要員」。
ひっきりなしに撮影を頼まれ続けます。



予定していた撮影終了後の集合写真撮影は
余りの混みように断念。
業務連絡を済ませて、この日は解散となりました。

そして解散後。
参加者の皆さんが
ご当地のおいしいもの屋さんでの昼食を楽しむべく、
各々浅草の街へと消えて行った‥‥という事実も、
事務局に集まった写真から明らかとなっています(笑)









ということで
この日のレポートはここまでとさせて頂きますが、
実はこの「浅草撮影会」を皮切りに
『東京観光写真倶楽部』の撮影会は
“下町シリーズ”に突入しています。

最後にそのココロを菅原部長に聞いてみましょう。

「下町シリーズっていうか、
 これだけ長く東京に住んでいて、
 ぼくにとって東東京(ひがしとうきょう)というのは、
 今まで全く縁がなかったのですね。
 だから今回の浅草にしたって、
 それこそ明らかにいつもの
 “日常を観光する”ではなくて、
 むしろいろんな意味での
 “観光”そのものだったのです。
 しかも、それはどうやら
 他の多くの部員の人たちにとっても同じだったようで、
 写真もすごくいいんですよね。
 だったら、続けてみようかと(笑)」

そんなわけで、
すでに葛飾区柴又での撮影会も済ませ、
まもなくその時の参加者の方々の写真を
『東京観光写真倶楽部』の
ウェブページにアップする予定です。

『東京観光写真倶楽部』が観た柴又の姿はどんなものか
そちらのほうも是非ご期待ください!

ではでは今日は
最後までお付き合いくださいまして
本当にありがとうございました。


東京観光写真倶楽部 事務局 岡本絵里子

‥‥あ!
菅原部長も、たくさん撮っていましたよね。
それも、ぜひ、みなさまにごらんいただきたいと思います。
というわけで、最後に、部長の作品をごらんくださいませ。
写真をクリックすると、拡大しますよ。
(拡大した写真をクリックすると、
 次の写真にすすみます。)

『東京観光写真倶楽部』

『東京観光写真倶楽部』はウェブページ上で
随時、新規部員さんを募集しています。

これまで通りの撮影会はもちろん、
写真を持ち寄っての合評会や
プリントのワークショップなども企画中です。

また、撮影会やイベントは、
現在、東京近郊のみでの開催を予定していますが、
今後は、ウェブページ上での参加が
可能なシステムも検討しています。
その上で、
『東京観光写真倶楽部』ならではの写真の集合体を
オリジナルの写真集にしてみよう! ‥‥とか、
はたまた部員さんに企画に参加して頂きながら、
『東京観光写真倶楽部』の
オリジナルグッズを制作しちゃおう! ‥‥など、
いろいろ、もろもろ楽しい企画が動き中。

全てのイベントや企画は
『東京観光写真倶楽部』のウェブページ上
お知らせしています。
興味を持って頂けたら、
是非ぜひ上記URLにアクセスしてみてください。

皆様の参加を楽しみにお待ちしています!

2006-08-18-FRI
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