あとがきばなし その3 ひとりで暴走ぎみにものごとを考えていた少年、 みうらじゅんさんが、 いつのまにか、エースを飾らなくてはいけない存在に。 周囲を殴り倒してでも進むという、 そんな怖い技まで身につけて、ここまで走ってきました。 今日は、じゅんの恩返しの最終回です。
 
  みうらは意外と長距離ランナーなんだよね。
そこがほかとはちょっとちがった。
 
 
  ブレイクすることはなかったですからね、別に。
自分にブレイクする要素がありませんでしたから。
 
 
  一見根性がないんだから、
すばやくササッと終わって
「疲れちゃった」と言ってもよかったんです、
ひとりっ子なんだし。
だけど、たとえエロスクラップでも
短距離では終わらせなかった。
42.195キロを、みうらは
走っているような気がするんだよ。
 
 
  パッと見てうまい絵が
描けるわけじゃない人間です。
ですから、糸井さんは僕に
「とにかくたくさん描け」と言ったでしょう。

僕は、糸井さんの言ったことを
すべて実践したと思っています。
「俺はたくさん描けと言ったけどここまではもういいぞ」
と、糸井さんが言うところまで
僕は行こうとしているわけですよ。
「まだやってんのか、あれ」と、
糸井さんをギャフンと言わせたいんです。
 
 
  俺が最初に
みうらのエロスクラップを見たのは、
たしか2巻か3巻のときだったと思う。
5巻になるだけでも、えらいんです。
そこで、もういいよ、ということになったっていい。
 
 
  でも、糸井さんは
4巻になっても
「ああ、たくさんやってるね」って
褒めなかったと思うんです。
 
 
  うん、褒めないね。  
 
  とりあえず100巻なんだろうな、と思った。  
 
  飲んで帰ってきて、疲れてフラフラしているのに
エロスクラップを貼っている姿はね、
えらいと思うよ。
あれは、みうらのひとりっ子の部分が
そうさせているわけだよね。
 
 
  あのプレイは完全に
ひとりっ子成分によるものですね。
そのエロスクラップが、昨日180巻を越えました。
自分すらギャフンですよ。
 
 
  180か‥‥。あれはもう、意味を越えてる。
エロですらないよね。
 
   
  あれでエッチなことをするわけでもなく、
貼り終えて「フーッ」と、額の汗を拭いて終わりです。
 
 
  俺も「ほぼ日」をはじめるときに
ぜったいにうまくなんかできるわけがないと思ったから、
とにかく毎日やろうと決めたんだよ。
一日も休まずにやれば「えらい」と
言われると思った。
 
 
  うん、覚えてます。
「ほぼ日」をはじめるときに、
「俺、毎日やるから、とりあえず」
と、糸井さんは言ってました。
毎日やって、もういいよ、といわれるくらいまでやって、
それがちゃんといま、力になっている。
「糸井さん、やってんなあ!」と思って見てましたよ。

こうやって、糸井さんみたいに、
やっている人がいる限り
俺もやんなきゃな、と思いますもん。
 
 
  やな存在だな、俺。  
 
  いやですよ。
糸井さんが「もうやめた」と言ったら
僕もやめやすいけど、
まだいるんだもん、そういう人が。
四十肩も痛いけど、五十肩も六十肩もあって、
そのほうが痛くなっていって
六十肩になると、きつすぎてもう何も言わない、
そんなかんじですよ、糸井さんは。

あの渋谷の飲み屋で
糸井さんが「ほぼ日」をはじめる前に、俺に
「もいっかい、やるわ」
と言ったことは、よく憶えています。
あの瞬間、完全に糸井さんは角刈りでしたよ。
 
 
  俺も兄弟がいないから、
みうらにそんなこと言ったんだな(笑)。
 
 
  びっくりしましたよ。
「俺なんかに、こんなこと言ってるわ、この人は」
と思いました。
先輩後輩関係なく、
糸井さんはそういうことを「言う人」だから
好きなんです。
年下の奴に、そういうことを言える人って
なかなかいないです。
だからいまも、こうやって若い奴らが
糸井さんには
ついていってるんだと思いますよ。

僕は、ここ3〜4年
ある程度安定したところがあって
「田舎に行って」とか、つい漏らしたりしていました。
ダメじゃん。
ここで、
正しいかわいいおじいちゃんにはなれないんだ、
ということは、はっきりしておかないと!
縁側で詰め将棋しているおじいさんには
僕はなれないんです。
糸井さんも、きっとダメですよ。
 
 
  うーん、でも、どうなるかは
わかんないよ?
 
 
  ならないですよ!
糸井さんには「おじいさん」という言葉がもつ
安全さがないです。
おじいさんはもっと、やさしいもんですよ。
 
 
  だって、今日も、みうらとの打ち上げ用に
2時間も、指圧してきたもん。
 
 
  関係ないじゃないですか(笑)。  
 
  これから、俺の歳になるまで
みうらはあと10年あるわけだけど、
みうらの10年後のほうが
俺の10年後より、おもしろいと思うよ。
俺はたぶんいまやっていることの
延長線上にいると思うけど、
みうらはいちどバンドをやっているから、
転がりの不規則性が増えていて、
とてもたのしみです。
これからはもっと、保証のないことばかりやれば
いいんじゃないかな。

俺はうしろを見ないタイプだったから、
みうらが俺の知らない間に
こんなことになっていたんだ、という
おもしろさがあって、この企画はとても楽しかったです。
もしも、みうらが次に
「ほぼ日」に出てくれることがあるとすれば、
もっともっと遊んでいいと思う。
 
 
  ええ。たくさんの人たちが
このページを見てくれたのがうれしかった。
まだまだ言ってもらったら
「恩返し」、出せますからね。フフフフ。
 
遠く、愛知県から
ファンファーレのような音が聞こえてきます。
どうやら「愛・地球博」が終わろうとしているようです。
万博YEARを記念して、はじまったこの企画も、
そろそろおしまいのときがやってきました。
2005年の愛知万博に、みうらじゅんという
サングラスをかけた長髪のひとりの男が
オレンジ色の年表をひっさげて
「じゅんの恩返し」という名のイベントをやったこと、





一見意味のないようなスタンプを
山のようにつくって披露したこと、
インターネットで
平均10分という長さのひとりしゃべりを
50回もくり返したこと、
それをたくさんの人たちが見てくれたこと、
iTunesのポッドキャスト配信で
よくわからないまま1位をとったこと、
どれもこれもが、
頭のどこかに刻まれて、閉じられていきます。
みなさんからのあたたかいメールがたくさん
「ほぼ日」に届いています。
ばらしく、私の心をくすぐっています。
いままで、言いまつがいしか覗いていなかった
自分が情けないです。
毎日楽しみにパソコンを開いています。
これからもご活躍ください。
(きゃさりん)
ありがとうございました(みうら)

50個の恩返し」で終わってしまうんですねぇ。
『keep on ロックンロール』の精神で、
このまま、ずーーーっと
やってしまってもいいんじゃないのか、と
思ったりもするんですが。
終了とかじゃなくて、「今月の恩返し」とか
「今年の恩返し」とか
「四半期ぶりの恩返し」とか、
形をちょっと変えて、続けていってほしいです。
(ナカノセイジ)
大変、ありがとうございました(みうら)

の生活の活力源の「恩返し」連載が終了するとの事。
毎日みうらさんの「恩返し」を
読み・聞きするのを楽しみにしているので、
連載終了は生活のオアシスを削られるようで
大変つらいです。
(Yasuko)
本当、ありがとうございました(みうら)

が家のPCも、やっとブロードバンドになりました。
ダイヤルアップ接続から、一気に光ファイバーです。
うれしいです。
みうらさんが淀みなく動いています。
北島三郎記念館の話も聞けました。うれしいです。
なのに、じゅんの恩返しが終わってしまうのは、
さびしいです。
(くろまめ)
またどこかでお会いしましょう(みうら)



さて、糸井重里とのあとがき対談のあと、
打ち上げの席で、みうらさんが
どんな本音を語っていたのか、
ここでみなさんに、
こっそりお教えすることにしましょう。
「オマケの動画」
をクリックしてごらんくださいね。
(穴ぐらのような暗い場所で撮影しましたので、
 ビジュアルはほとんど意味がありません。
 音声のみ、と思って、おたのしみください)

4月25日からきっかり5ヶ月間の連載でした。
このページを訪れていただいたみなさん、
ほんとうにありがとうございました。
みうらさんへのメッセージやこのページへのご感想を
ぜひ、postman@1101.comまでお寄せくださいね!

では最後に、この企画のクルーを
紹介いたします。

みうらじゅん
糸井重里
●コンテンツ協力
みうらじゅん事務所 臼井良子
アーク 溝江功一 井上千恵
シヤチハタ株式会社 山口高正 田中崇
●特別協力(愛地球博 万博イベント)
シヤチハタ株式会社
エプソン販売株式会社
アーク
株式会社堀内カラー東京メディアセンター
●ほぼ日スタッフ
企画&進行      杉江厚子
進行         小池花恵
           元木恵里
           斉藤淳史
アートディレクション 山口靖雄
webデザイン、制作  南郷瑠碧子
制作         西田佳人
動画&音声配信    佐藤智行
取材&文       菅野綾子

では、みなさん。
では、では、みなさん。
みうらさんとともに、
ふたたびお会いできる日を心から夢見て。
みうらじゅんさんの、
「じゅんの恩返し」でした。

ありがとうございました!!

(じゅんの恩返し 完)

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がご当選されました。
おめでとうございます!




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2005-04-25 その1 みうらさん、その服‥‥
2005-04-26 その2 糸井さんに、入口がちがうぞ、と言われ。
2005-04-27 その3 DTは、まあすなわち、
人間スポンジといわれている状態です。
2005-04-28 その4 おかん、それは、よせ。
2005-05-02 その5 スタンプ好きは、もともと朱印帳から。
2005-05-06 その6 情報不足の功罪。
2005-05-09 その7 どんぶりな、ごり押し。
2005-05-10 その8 世の中はB&T(ボケとツッコミ)で、できている。
2005-05-11 その9

土着が、いやおうなしに混じってる。

2005-05-12 その10

奈良や平安はもういい。昭和を大切に。

2005-05-13 その11

学校でヒゲオヤジの偉業を教えてください。

2005-05-16 その12

個性はカテゴリーで浮き彫りに。

2005-05-17 その13

糸井さんと「いやげ物」は同じ。

2005-05-18 その14

いてもいいよ、と言ってくれる時代。

2005-05-19 その15 もう若くないことに気づくまで。
2005-05-20 その16 プレイバック京都。
2005-05-23 その17 糸井重里という人は。
2005-05-24 お知らせ 愛知万博におじゃまします。
2005-05-26 恩返し1

いちばん最初に恩返し。
年末恒例、「大脱走」。

2005-05-27 恩返し2

もう一度ドラマはみんな
「ウルトラQ」に戻るべきだ。

2005-05-30 恩返し3 土門拳と饗庭葦穂の、ふたりの鬼才。
仏像に恩返しです。
2005-05-31 恩返し4 爪につまった泥を
落としてくれた、切手。
2005-06-01 恩返し5 この人だけはダメと親に言われた
奥村チヨさんに恩返し。
2005-06-02 恩返し6

みうらさんのベースは
吉本新喜劇にあり。

2005-06-03 恩返し7

「巨人の星」のおかげで
目に焼きつけることができたもの。

2005-06-06 恩返し8 小川ローザは半端じゃなかった。
2005-06-07 恩返し9 笑福亭仁鶴さんは
ビートルズみたいだったんだよ。
2005-06-08 恩返し10 大伴昌司さんは
とんでもないことをしていました。
2005-06-09 恩返し11 真夏の夜のテレビで出会ったハマーフィルム。
2005-06-10 恩返し12 僕の長髪は、何を隠そう、
吉田拓郎さんの真似なんです。
2005-06-13 恩返し13 カセットテープが
僕のファーストアルバムです。
2005-06-14 恩返し14 僕はイラストレーターですが、
横尾忠則さんになりたかったんです。
2005-06-15 恩返し15 何でも無理矢理かっこよくする
ジョン・レノン。
2005-06-16 恩返し16 男桜満開だった、
チャールズ・ブロンソン。
2005-06-17 恩返し17 浅間山荘事件のおかげで
僕はいま、鉄球騒ぎを起こしています。
2005-06-20 恩返し18 にせもののマカロニ・ウエスタンが
いろんなもののルーツになった。
2005-06-21 恩返し19

レインボーマンを見直すと、
きっと見えてくるよ、何かが。

2005-06-22 恩返し20

好きになるまでやめるもんか。
そしてボブ・ディランは神様になった。

2005-06-23

恩返し21

いまなら言える。縛りが似合う女
谷ナオミが大好き大好きでした。

2005-06-28

恩返し22

漫画家デビューに導いてくれた
ウシに恩返し。

2005-06-30

恩返し23

外国人を除いて、いまでも
いちばん怖い、糸井重里さん。

2005-07-05

恩返し24

「ガロにしか載らない」そんなふうに
人びとに言わしめた雑誌。

2005-07-07

恩返し25

ハニワは横に転がって動く。
もとはそれだけで描いた漫画でした。

2005-07-12

恩返し26

大人がふたり、買うにも捨てるにも、
勇気をふりしぼったペットふとん。

2005-07-14

恩返し27

ビートたけしさんのような人がいると
僕は落ち込むんです。

2005-07-19

恩返し28

バッテリーの熱で卵が焼ける。
それほどファミコンにハマりました。

2005-07-21

恩返し29

ゲーム界を背負ってひた走った
働き者のマリオに恩返し。

2005-07-26

恩返し30

宮本茂さんに賞をあげない
ノーベル賞は、意味がないです。

2005-07-28

恩返し31

バカレコードを買いあさった僕は
確実に不審人物でした。

2005-08-02

恩返し32

どの時代のどの街にも似つかわしい、
桐箱に入った国宝、桂米朝師匠。

2005-08-04

恩返し33

わしは見とるぞ、見とるぞ!
ほら、松本清張さんの声が聞こえます。

2005-08-09

恩返し34

カエルには、
恩返しされた 経験があるんです。

2005-08-11

恩返し35

ジャンルを得ることで、
らくがおは、 たくさんのヒーローを生みました。

2005-08-16

恩返し36

無理がモロ見えのカスハガは
僕の民俗学の入口になりました。

2005-08-18

恩返し37

いやげ物は、僕が買いましたので、
みなさん、安心してください。

2005-08-23

恩返し38

「シベ超」のような映画を
おもしろい、というんです。

2005-08-25

恩返し39

バカを際限なく大きくしてくれる、
スライド機に恩返しです。

2005-08-30

恩返し40

突拍子もないとんまつりが、
日本各地で執り行なわれています。

2005-09-01

恩返し41

まだやってる!
大木こだま・ひびきのブルーズ漫才。

2005-09-06

恩返し42

君は、その"しあわせ"で、
崖っぷちに立てるかい?

2005-09-08

恩返し43

ニャンまげは
キャラクター界の革命児です。

2005-09-13

恩返し44

ブームよ、来い来い。
みんなが知ってて知らないテングー。

2005-09-15

恩返し45

海女で、
みうらさんの 「好き」メソッドが判明。

2005-09-16

恩返し46

日本の文化と土着の信仰が生んだ、
ゆるキャラは芸術です。

2005-09-19

恩返し47

これぞ正真正銘のライフワーク、
グラビアンに恩返し。

2005-09-20

恩返し48

伝来ミスというすばらしい文化を
いまなお伝える、飛び出し坊や。

2005-09-21

恩返し49

生前偉かった人も、耐え忍ぶ。
熾烈な毎日を送る銅像。

2005-09-22

恩返し50

とんまな息子をいつも見守る
最後におかんに恩返し

2005-09-23

あとがきばなし1

すでに25年以上のつきあいのあるふたりを、
しみじみとした空気がただよいます。

2005-09-24

あとがきばなし2

50の「恩返し」を振り返って、
みうらさんと糸井の話はつづきます。


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みうらさんの「DTF[非童貞編]」DVD発売中!

「DTF[童貞編]」に続く、
みうらじゅん=MJの青春ソング集第2弾。
MJが学生時代に作曲したフォークソングから
“非童貞時代”を中心に約100曲余りを収録した
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みうらじゅんさんの活動が随時紹介されているHPはこちら

2005-09-25 SUN
(c) Hobo Nikkan Itoi Shinbun 2005