ドコノコ presents

TOBICHI2 イベント開催記念

猫写真家 沖昌之と 作家 浅生鴨 が

猫を求めて歩いた沖さんぽ

01. カメラを持って、沖さんぽ。

この度、写真集『必死すぎるネコ』を出版された
沖さんの写真を見ていると感じるのが
「どうしてこんなのが撮れるんだろう?」
ということ。
今回、浅生鴨さんと一緒に、
沖さんの日々の撮影へ同行させていただきました。
「沖さんぽ」。
それでは、はじめます。

左)猫写真家・沖昌之先生
右)作家・浅生鴨さん

駅で集合して、
「はじめまして」のあいさつをしながら、
お散歩スタート。
少し歩いていたら、すぐにファーストキャットを発見!
もういた!
見えますでしょうか? ネコちゃんを探せ!

ジャングルの中にいます。
「いつもここでお昼寝してるんですよ」と、沖さん。

沖さんについていくと、またいた!

なぜだか、沖さんのほうへ近づいてくる。

WHY? どうして??
またたび香水とかついてます?

スリッ。

どうして!
もちろん、おやつを持っているわけでも
ごはんを毎日あげているわけでもないです。

それを、撮る鴨さん。

ああぁ、どうしてなんだ。
おなかまで出してしまった。
か、かわいい。
顔なじみだからでしょうか。

と思って近づいてみたら‥‥
あ、こっちにもどんどん近づいてくる!

鴨さんも、撮る。

ああ、すでにたのしい!

©masayuki oki

住宅街で暮らしていて、
飼われてるんだか、飼われてないんだか
わからないけど、初対面のわたしたちにも
やさしくしてくれてありがとう。

さあ、どんどんいこう。と思ったら、

おばちゃん登場。
「この家の人が、いま入院してるのよね。
だから、おなかへってるんだわ、このコ」
と、教えてくれました。

「はらへったにゃ」って言ってる?

「あらら」と相づちを打ったら、
「あげてる人いるわよ、だいじょうぶ」とおばちゃん。
地域で、見守っているのですね。

なんて話してたら、また撮影!
這いつくばって、撮る沖さん。

を、撮る鴨さん。

あぁ、進まないよ!
気が済むまで撮って、
さあ、どんどん行きましょう。

沖さんのなじみの公園にやって来ました。
さっそく、ねこたちがいつもの定位置(らしいです)で、
出迎えてくれました。

奥にいるのが鴨さん。
鴨さんから見ると‥‥

鴨さんのカメラは、
遠く離れてても、
スナイパーのように狙いをさだめて撮れるのです。

この公園は、沖さんに
「ネコのおもしろさ」を教えてくれた
「ぶさにゃん先輩」という、言ってしまうとぶさいくな
でも、それがかわいいネコさんとの出会いの
場所でもあります。

©masayuki oki

いまは、どこかのお家でしあわせに
暮らしている、ぶさにゃん先輩。

「ぶさにゃん先輩が、いろいろ教えてくれたんです」
と沖さんは言います。
たしかに、教えてくれそうな顔してますよね。
お花がお似合い。たまたま頭に乗ってたのかな?

この公園は、ぶさにゃん先輩をはじめ、
沖さんの数々の名作がうまれた場所です。

たとえば、コレ。

©masayuki oki

何でもないように見えるけど、
みごとなシンクロ!
撮ろうと狙って撮れるものではないですよね。

コレも。

©masayuki oki

なんで?どうしたの?
うしろのひとも、そう思ってるよ。

こちらも。

©masayuki oki

よーくご覧ください。
解説しますと、ネコがトンボを追って、
飛んでいるところです。このあとのことは‥‥
もちろん、ドボン。

こんな瞬間も!

©masayuki oki

は~すごい。
一緒に暮らしていて、
撮りたいと思っているのに、
ノビをしているネコの写真を1枚撮るのも
けっこうたいへんなのに!

では、公園の中へ入ってみます。
顔なじみさんたち、こんにちは。

貫禄あります。

撮ってると、近づいてきちゃう。

沖さんのお気に入りのコ。

「このコが、好きなんですよ~。
どうしてこんな顔してるんだろうなぁ」

なんて言ってたら、
あ、また沖さんが!

コロン。

あ、向き合いだした。
すごい!沖さんが、すごいことになってる!

それを撮る、鴨さん。

あぁ、もう、グラビア撮影にしか見えない!

沖さんが撮った写真がこちらです。

©masayuki oki

リラックスしてるなぁ。

それを鴨さんが、遠くから、狙う!

どアップ!

「ネコって、できるだけ寄って撮ると
かわいくないですか?」と鴨さん。
すごくよくわかります。

静かに、おしゃべりをするでもなく、
それぞれにネコたちの写真や、
人間の写真を撮るのに夢中になり、
時間が過ぎていきます。
と、そのとき。

奇跡が起こったのです!
ちょうちょを追いかけて、
ネコがハッスルしはじめました。
沖さんが最前列で、それをしっかりとおさえます。
静かにカシャカシャと、シャッターがおりる音。

そして、沖さんが撮ったそのときの
奇跡の写真がこれです。

©masayuki oki

す、すごい!!!!

蝶とダンス。

©masayuki oki

©masayuki oki

ものすごく連写してるわけでもなく、
静かに、カシャンカシャンと、
息をひそめて、シャッターを押す沖さんを見ました。
ひとりでいるときも、わたしたちが見てるときも
同じように、こんなふうに撮ってるんでしょう。

なんか、関係ないものも見つけて、
写真を撮ったりしつつも、

どうしてここに、とんかちが。
沖さん曰く、いつもは刺さってないそうです。
鴨さんへの、スペシャルプレゼントかな?

さてさて、沖さんぽ、少し移動します。
いつもの河川敷へ。
すると、遠くからも、見える見える。ねこ。

いたいた、ねこ。
ひとつのチームのようです。
沖さんが近づくと‥‥すぐに撮影が始まります。

てゆーか、

えーっ!
すごい‥‥。
鴨さんも、いろいろ撮ってみます。

鴨さんが、
「ちょっといいかなぁ~?」と言いながら、
控えめに、近づいて、
OKっぽいと感じると、ふいっといなくなる。
去っていくネコの背中に向かって、
「あーすまん、加減がわかってない」とつぶやく鴨さん。

そうなんですよ。
いい感じになったと思って、
調子に乗ると、急にひっかいてきたり、
怒って移動しちゃったりするのがネコです。
ちょっとした加減なのです。

耳に切れ目が入っているのは、
避妊去勢手術をして、
地域で見守られている印です。

「あれがボスで、あっちのコが、
ボス争いを挑んだんだけど、負けてました」
この河川敷のコミュニティについて、
教えてくれる沖さん。

ボス。顔が大きくて、よく鳴く。

右が負けたコ。耳も寝て、警戒しています。
どんまい。

カメラを片手に、
またそれぞれネコとの時間を過ごしました。
沖さんは静かーに、ネコに混ざっていました。

やっぱりすごい状況‥‥。
いつもこれをひとりでやってるんですね。

鴨「見て見て、ライオンみたいですよ」

ズームで、アップシリーズを続ける鴨さん。
たしかに、ライオンみたいでかっこいい!
ネコってば、やるじゃん。

ほんのすこしの時間でしたが、
「奇跡!」と言いたくなってしまうような
すごい瞬間の写真が
何枚か撮れました。
「撮れました~」とよろこぶ沖さん。
その写真がこちら。

©masayuki oki

ネコと暮らしたことがある人ならば
わかるであろう、頭突き。
頭突きのしがいのなさそうなヒモに‥‥。

シンクロナイズドクラッチング!
爪、とぐにゃー!

©masayuki oki

あぁすごい。
なじんで、待って、撮る。
それだけだけど、毎日の積み重ねですね。

もうすぐごはんの時間かにゃ。

わたしもこんなのが撮れましたよ。

日も暮れてきたし、帰りましょうか。
来た道を戻ると、
はじめに寝ていたコが、
まだ同じ場所で、寝ていました。

「おつかれにゃー!」と言ってくれているかのよう。

沖さんぽ。ほんと短い時間でしたが
ものすごく濃い時間でした。

(つづく)

2017-10-11-WED