エアキャップとダンボールを かばんにつめて。
岡尾美代子さんの、旅と雑貨とお買い物の話。



第二回 旅に持って行く4点セットの話。
── 外国から家具を
持って帰ってこられたということですが、
具体的にはなにを?
岡尾 椅子です。
── 小型のスツールとかではなく?
岡尾 ふつうの椅子です。
テーブルで使うような椅子といったらいいのかしら?
係の人、預け入れの荷物の1つとして
カウントしてくれました。
さすがに、裸のまま預けたわけではなくて、
しっかりとくるみましたけど。
── なるほど、まさか機内持ち込みは無理ですものね。
岡尾 (笑)むかしは、飛行機の規則が
もうすこしゆるやかだったので、
椅子も機内持ち込みをしたことがある、
という友達の話もきいたことがあります。
── わ〜、それは、
いまだと、信じられないような話ですね。
岡尾 大きいものは、まず無理ですものね。
── でも家具が預け入れにできるって知りませんでした。
わたし、メモをしておきます。
旅先でいい椅子を見つけても大丈夫、と。
(註:荷物の大きさと重量、そして
 航空会社の規定により、超過料金がかかります。)
岡尾 そうそう、機内持ち込みといえば、
カゴなどは、なるべく機内に持ち込みます。
足下に置いて‥‥足をカゴの中に入れて。
── 足湯みたいに!
岡尾 足湯。
そうですね。そんな感じです。
道中、足を入れたまま、微妙な体制で
帰ってきたこともありますよ。
── 私もそうですが、小柄な体型が
飛行機でトクをすることがある一例ですよね(笑)。
足が入るってことは、
けっこう大きいものもいける‥‥。
岡尾 おそらく、妙な人に見えてしまいますけどね(笑)。
あとは、ほうきも持って帰ってきたことがありますよ。
これも、ふつうにカウンターで預かってくれました。
たぶんなんですけど、
サーフボードとかスキーとか
そういう長いもの、預ける方もいらっしゃるでしょ、
だからだと思うのだけど。
── わあ、「長いもの」!
これも持ち帰りは無理だと完全に思っていました。
お話を聞いていると、岡尾さん、
持って帰ってこれなかったものは
無さそうな気配がするのですが。
岡尾 いえいえ、そんなことはないんですよ。
これは無理だ、と泣く泣くあきらめたものも
たくさんあります。
じつは、このあいだひとつあったんですよ。
── なんだろう?
岡尾さんでもあきらめないといけないものって‥‥。
岡尾 ケーキのショーケースなんです。
ガラス製のものです。
桟がついてて、段になってて、小さい棚のような。
「RICH CAKES」って文字が入っていて
それがとてもとてもかわいかったんです!
たぶん、ほんとに実際にケーキ屋さんで
使われていたヴィンテージだと思います。
── 「Rich Cake」っていいですね。
場所はどこでですか?
岡尾 ロンドンでした。
ほんとにいい感じだったんですよ。
持って帰れるものならば、
いまでも買いたいですね。
── ガラスで、しかも大物ですものね。難しそう。
岡尾 ほんとに! ファーストクラスに乗って、
ということでもないかぎりムリ(笑)。
── ファーストクラスに乗って
大きなケーキのケースを持って帰るって、
すごく、かっこいいですね!
岡尾 (笑)‥‥あとなんだろう。
これは、家具ではないんですけど。
初めてかな、2回目だったかな?
フランスにいったときに、
生牡蠣を入れる、
木で作られたかんたんな箱みたいなのを
魚屋さんで見て、どうしても欲しくなったんです。
持って帰りたいなと思って、
お願いして、頂戴したんです。
ところが、これは、ものすごく匂いがすることがわかって、
結局、ホテルでさようならしました。
これも、あきらめた思い出のひとつ(笑)。



── 考えてみたらそうですね(笑)!
それを持ち込んだらきっと‥‥。
岡尾 そうとな迷惑を飛行機会社にかけていたかも‥‥。
でも、そういう、
日常で普通に使われている箱なんかは、
見つけると、時々持って帰ります。
── 海外では、思わぬものが
「かわいい!」ってなりますね。
向こうの人には当然すぎて
「これが素敵なの? どこが?」
って思われるようなものが。
岡尾 そうでしょう?
── 旅先でのお買物について、
もうちょっとお聞きしたいのですが、
「買うかもしれない」という期待のある旅に出るときに、
あらかじめ準備していかれるものがあれば、
教えてください。
岡尾 たとえば、往きのトランクには、
エアキャップ。
── いわゆる「プチプチシート」ですか。
あれを、かばんに入れて?
岡尾 はい、持っていきます。
なんでかっていうと、旅行にいった先で
エアキャップって入手が面倒なんです。
梱包材料屋さんなんて、わからないですもの。
── たしかに!
日本だと‥‥ホームセンター的なところか、
街中だと東急ハンズとか。
あるいは通販で。
でも海外でそれを探すのは、至難の業!
岡尾 でしょう?
見つかっても、日本で買うより
値段が高いことも多いです。
それから、ちっちゃい段ボール。
── 段ボールもですか?!
岡尾 そうなんですよ。
たたんだ状態で、いくつか入れていきます。
たとえば、ビンものや陶器などを買った時に、
エアキャップで巻いて、
いったんダンボールにいれてから、
トランクにつめたほうが、割れにくい。
── おおー。なるほど!
岡尾 トランクのなかでダンボールごと動いたりしても、
中にはいっている大事なものには
影響が少ないんです。
── おおー。
これは、次の旅行からまねができます!
エアキャップ、ダンボール。
持っていく分には軽いから平気だし、
使わなければ捨てても惜しくない。
岡尾さんの「旅の7つ道具」的なもの、
ほかにもありますか?
岡尾 ガムテープ、マジック(油性ペン)。
郵送するときもそうだし、
ダンボールに入れて空港で荷物を預けるときにも、
必要になるんだけど、
いざというときにないのが、ガムテープとマジック。
あとは、なにかと重宝するハサミです。
そのためだけに買いに行くとなると、
お金ももったいないし、面倒ですから。
── 時間ももったいない!
岡尾 そうそう。
すごくかさばるものでもないし、
ぽんっとかばんに入れて、
安心したほうがいいなあと思います。
── エアキャップ、ダンボール、
ガムテープにマジック。
岡尾式持ち帰り4点セットですね。
この4点セットは、どんなカバンにおさめられて、
旅立ちを迎えるのでしょう?
勝手に「すごいカバン」を想像していますが‥‥。
岡尾 そんなことはないですよ。
たぶんお二人が想像されているような、
めちゃめちゃおっきいのでは‥‥ないです(笑)。
予備のバッグを持って行ったりすることもありますけど、
大きさはほんとにふつうだとおもいます。
そうそう、予備のバッグといえば、
飛行機で荷物を預けるとき、
意外とみなさんご存じないことがあるんですよ。
── わあ! なんでしょう?
岡尾 最近は、飛行機の荷物を預けられる重さや個数が
厳しくなっていますよね。
でもね、じつはその制限の数の次の1個が、
わりと安く預けられることがあります。
航空会社によってばらつきはあるとおもうんですが、
郵便局で送るよりも安い場合があります。
わたしは良くそれを使ってるんですよ。
※岡尾さんがよくご利用になっているANAでは、
 6/1から預ける荷物のルールが変わってしまったそうです。
 エコノミーだとトランク1個。追加の2個目が15000円。
 けっこう高くなってしまったそうです。
 みなさんも、使う航空会社のページに情報が乗ってますので、
 事前に調べてみてくださいね。
── 知りませんでした。
岡尾 北欧なんかは、船便がない国もあって、
郵便代がびっくりする金額になったりします。
── フィンランドから小包を日本に送ったときに
ほんとうに驚きました。高価で。
岡尾 パリなどのように、ヤマトさんなど、
日本の宅配便会社がすぐ見つかる国ならいいんですけれど。
旅行にでる前に、
お乗りになる飛行機会社の荷物の料金を
調べてみるといいんじゃないかしら?
── 空港のカウンターで、
エクストラでお金を払って
預け入れるなんていう考え、
まったくありませんでした!
「きっと高いに違いない」っていう
強迫観念ばかりがあって。
知っていれば、覚悟して、
大物にも挑戦できる!
岡尾 でも、みなさん、
そんなに買物をされるんですか?
── もちろん、大好きです。けれども、
岡尾さんとはくらべものにならない程度だ、
ということがだんだんわかってきました。
それでも、いままでお聞きした知識がなくて
あきらめたものが多くあります。
ああ、次回の旅行がとても楽しみになってきました!
岡尾さん、この4点セットを持って、
いま行くとおもしろいよ! という、
おすすめの国はありますか?
岡尾 そうですね。
どこだろうな。

(岡尾さんのおすすめの国、どこだろう? 次回に続きます。)

2013-07-15-MON


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